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大人しく治療させて欲しい



剣術大会のルールとしては、剣術のみで勝ち上がれ、という至極シンプルなものだ。だからこそ、いつもヒューお兄様に煮え湯を飲まされている方々も上を狙えると思っているのか、みんなギラついている。



「リオンハルト殿下は出場しなくてよかったのですか?」

「母上がこういう場所をお好みではありませんので、陛下から止められてしまったのですよ。母上も母上ですが、陛下も私をいくつの幼子(おさなご)だと思っているのか……」



優雅な形をして、剣術の成績上位者である王子殿下は溜息を吐いた。陛下も焦がれた女性には甘いらしい。

ソフィア様と王妃殿下は現在は協調関係にあると聞く。月日が経つと共通の敵がいる状態であれば人というものは結託するものらしい、とクリス様がボヤいていた。



「こちらにも出ない、役に立とうともしない。そんな王族、誰が認めるというのか。もう少し息子の将来に興味を持ってもらいたいものです」



子の心、親知らずというのもあるのかもしれない。

けれど、リオン様が剣術大会への参加をすることは普通に認められなかった気がする。だって、この大会の上位入賞者って軍部とかにエリートとして入れることが多いらしいのだ。魔法に攻撃適性のない光の魔法使いは基本的に軍部には入れないことになっている。軍の医務関係は別だけれど、彼らが目指すのは前線に出たり、王族などの近衛だ。王族で攻撃魔法の使えないリオン様は目の敵にされただろう。

正直なところ、個人的には光魔法使いだって入っていいと思うけれど。だって、結界めちゃくちゃ便利だもの。



トーナメント形式になっている剣術大会は、進むに連れて怪我人が増えて来る。

一人一人治していると、手を掴まれた。



「ありがとうございます、我が天使よ。あなたの名を知る栄誉を与えてください」

「申し訳ございません。次の患者がいますので……」

「ただ、あなたの名を…」

「迷惑だっつってるだろ!」



ゴッという鈍い音が聞こえると、「大丈夫か?」と声をかけられた。

見上げると、背の高い男性が心配そうに私を見ていた。



「大丈夫です。ありがとうございます、ハルヴィン様」

「友人の妹だ。助けるのは当然だろう?」



そう言うハルヴィン様にもう一度頭を下げて、怪我を魔法で治してから次の人の治療を始めた。


三人に一人くらいの割合で天使、妖精、姫君等の痛い言葉と共に名前を教えてほしいと懇願されていたら、ヒューお兄様に負けて戻ってきていたバベルが引き剥がしてくれた。



「ヒュバード様、何をどうしたらあれだけの強さを得られるのか……」



バベルはそう言って苦笑していた。護衛より強いのはやばい。やばいけど、納得できてしまうのが怖いところである。

ハルヴィン様とヒュバードお兄様の試合が一番白熱したらしいが、ヒュバードお兄様が技巧で競り勝ち、そのまま私の妖精石で回復して次の試合に向かったらしい。


最後がユウとヒューお兄様だったのだけれど、ヒューお兄様が容赦なく勝ってしまいミーシャさんに剣を捧げていた。

……ミーシャさんに喧嘩を売る女の人、もういなくなったんじゃないかなぁ。

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