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衣装合わせ



ナディア、レオお兄様に振られるわローズお姉様からのガチ説教を食らうわで萎びている。ちょっと可哀想だけどやらかしが過ぎるんだよなぁ。

侯爵も疲れた顔をしていると思う。結構生徒のいる場所でレオお兄様に大声で告白してしまったので。恐らくもう王家に嫁げる感じではない。



「研究の邪魔だからどうにかして欲しい」

「研究の益になるように動かせば良いのでは?方法は見当もつきませんが……」



腕にナディアをくっつけてそう要求してきたレオお兄様に言うと、「本当に何の役に立つって言うんだ」と疲れた声を出していた。目がもう「逃しませんわよ!」って言ってる。いや知らないけど。

後ろからアルお兄様が「仲が良くて何よりだ」と言って過ぎ去っていった。アルお兄様はレオお兄様に興味がなさすぎる。レオお兄様はちょっと嫌そうな顔をしていた。



「面倒だな……」






ナディアはレオお兄様に押しつけて、私たちは衣装合わせである。正直なところ、何もしないのであればレオお兄様が気にいるのであればどうなっても良いと思う。気に入らないようであればレオお兄様は自分で何とかなさるでしょうし。


クリス様にボロボロのドレスを着せれば薄幸の美女になり、煌びやかなドレスを着せれば高嶺の花になるの本当にすごいと思う。生まれる性別を間違えた?と思った瞬間に妖精祭の時の少年の格好を思い出してしまった。

あの、うん。美少年でした。



「とっても綺麗ですわ」

「ああ。うん。ありがとう」



侍女(という設定の侍従)に着替えさせられたクリス様の表情は無だ。疲れた顔をしている。

それでも、青いドレスはクリス様のために誂えたかのようだ。メイクも顔立ちの愛らしさを引き立てていて、これで「第三王子です」なんて言っても「王女の間違いでは?」と言われそう。



「フィーも可愛いよ」



そう言って縦ロールにした私の髪に口付けるクリス様の表情は紛いなしに王子様だった。

くっ、クリス様は!そういうところが!狡いのですわ!!

クリス様と関わると情緒が不安定になる。落ち着け私。



「それに、君がこの格好をした方がきっと綺麗だ」

「お、お世辞はお辞めになっちぇ」

「ふふ、噛んでる」



似合うわけないでしょ、と言いたいところだけれど、クリス様はなんとなく本当にそう思ってくれていそうで照れてしまうのだ。悔しい。

こほん、とドロシーが咳払いをしてクリス様をジト目で見る。



「距離が近すぎるかと思います」

「同性の友人の距離感としてはそこまでじゃないか?」

「公になった時に困るのは私たちの可愛いお嬢様でございます」

「手厳しいなぁ」



溜め息を吐いて離れるクリス様。少しだけ名残惜しく感じて、その事に動揺する。

ドロシーは静かに私の髪を拭いていた。


衣装をクラスでお披露目すると、クリス様は全員に大絶賛されていて照れ臭そうに微笑んでいた。多分心の中では陛下たちに悪態を吐いていると思う。


そして……──



「この愛らしさなら悪役令嬢さを軽減できる!」

「極悪度が下がる!!」

「やはりわたくしたちのフェアリーはこうでなくては!!」



私への評価はこれ一体何なの?

ドロシーとバベルを見るとそっと目を逸らされた。逸らすんじゃありません。

ナディアは自分の父親に怒られるより、同い年の従姉妹に叱られるより怖かったりする。

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