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準備は進む



渾身の意地悪な姉の演技はドン引かれるくらいはまった。クリス様に「意外な才能でしたわ」と言われ、アレン様に「これのどこがフェアリーだって?」と言われ、セーラに「流石、フィーネ様!なんでも出来てしまいますのね!」と言われた。

ふふん、私だってやればできるのです!



たまたま通りかかったレオおに…先生は「やっぱりグレイヴ家の娘だな」と妙に達観した目をしていたけれど。

まぁ、ゲームの方でわがままって言われてただけあって、気合い入れたら割とダメな妹を演じることはできる。ただし、後からダメージがやってくる。主に精神的に。


まぁ、それは置いといて。

なぜピンクのふりっふりの衣装を用意しようとするのか。悪役令嬢やるなら赤では?あと、こんな可愛い色のドレス着たら私の場合、普通に童女に見える。



「いえ、単純にそうでもしなければグレイヴ嬢の評判が落ちそうなだけです」



えっ。



私たちがそんな風に劇の準備に取り掛かっているように、お姉様やお兄様達も各々頑張っている。ローズお姉様とヒューお兄様のクラスはバラの香りがするアロマキャンドルを作って売るそうだ。

なんでも、今とある男爵領の修道院から広まったらしい。紫の蝶々のマークがついた箱に収められたアロマキャンドルは確かにとても可愛かった。あと、効能と注意点をきっちり書いてあるところに製造者の本気を感じる。


アルお兄様は何も漏らさないところにガチ度を感じる。




その裏で別に動いている出来事もある。



「わたくしが?」

「ええ。いかがでしょうか?」



担当学年が一つ上のはずの先生に呼び出されて打診を受ける。

学院祭の最後に開催される剣術大会にて

、学院の癒し手として参加しないかというものである。


この大会、理性ブチ切って魔法使い出す人もいるから普通にお嬢様に頼む案件ではない。

お母様直伝の淑女スマイルを浮かべると、焦った先生は誘ったのには理由があるのだと言い募った。



「フィーネさんは強い治癒能力と、硬度の高い結界を張る力があるでしょう?自衛しつつ、任務をこなせる方をピックアップした結果、あなたが一番適任ではないかと…」

「では、彼女だけでなくても構わないということですね?」



後ろからの声に振り返ると、微笑みを湛えたリオン様がいた。



「王族の方にそんな」

「能力だけで決めているのなら私でも構わないはずです。……そういえば先生のご実家はラドクリフ侯爵家の……」

「家は関係ありません!!」



青い顔をした彼女に内心でまたか、と溜息を吐いた。脅しをかけるにしてもやり方が悪いのよね、あの人。

ちょくちょく、ナディアが脅した家関連の人が私の妙な噂をたてたりとかするんだけれど、露見するスピードも中々に早い。結局忠誠も何もなく、ナディアが脅せる範囲の人間に限られるし。



「リオンハルト殿下、そのあたりで辞めて差し上げて?」

「いえ、どんな理由があろうと危険な場所に令嬢を向かわせようとする教師は王立学院の教師として不適格です」

「自分たちより上の爵位の人間にやれと言われて断れるような方はそう多くありませんわ」



あと王家とか騎士団等も同じこと言ってくる。

王家は能力を見せつけてさっさと私を取り込みたいだけだ。私、というかお父様とアルお兄様。

その他のものは単純に能力を認めてくれてる人と、多分お父様への嫌がらせ。それに合わせて私が運悪く死んでくれれば王子様の隣が空くと思っているお馬鹿さんもいる。私がいなくなっても、その席は他の方が得るだろうことは明白なのにね。

レティお姉様を含む他の素行が良い令嬢も確かに存在するし、近隣国の姫が嫁入りしてくる可能性だって全くないわけではない。

少なくとも、マイナス面を打ち消すほどの価値がある令嬢がどれだけいるだろうか、ということだろう。彼女たちはおそらくどう足掻いても王妃様のお眼鏡には叶わないだろう。あの人、誠実さとか倫理観を主に見ているところがあるから。まぁ、王妃様自身もちょっと、頂点に立つものらしい価値観を口に出してくるので基準が本当にそこだけかと言われると違うだろうけど!


それはともかくとして、ナディアはもちろん知らないし、そもそも発表まで機密事項なのだけれど、私はもう剣術大会に癒し手として参加することが今回は決まっているのだ。

クラウス殿下とかユウとか、アルス殿下とかアルお兄様とかヒューお兄様とかハルヴィン様とかも一応剣術の成績上位者参加が決定しているのだけれど、もし彼らがうっかり魔法を使ってしまった場合、殆どの人って対応が仕切れないのです。まぁ、魔法って当人だけではなく、妖精自身が自発的に使っちゃう場合もあるのでそこら辺は不測の事態が起こる可能性ってゼロじゃない。


かといって、国一の結界師を引きずり出すと王族のリオン様だっていうね。


貴族的な価値観でいうと、私は婚約者が決まってるわけでもない女の子で、家を継ぐわけでもないので価値的にはそう高くない。「妖精の愛で子いるし、他国の重要人物がいるので万全を期すため」って陛下に言われると断れないんだよね。

お父様も断りたかった感じだけれど、本当に能力的な問題で私が一番適任だった。



そんなわけで黙ってたら、発表の後に各方面からとっても問い詰められました。

えへへ〜…。



「バベル、ドロシー!逃げますわよ」

「仰せのままに、お嬢様!!」

「ドロシー、お嬢様に逃げ癖をつけさせるんじゃない!!」

ナディアはやることの詰めが甘いタイプ。なので何かやるとすぐバレる(ので意外と実質的な被害は少なめ)。

あと割と考えなしで猪突猛進。自分の家の都合は考えたことがないので、実は父と叔母の確執とか全く興味がありません。

言うことはともかくとして顔と仕草は可愛い。

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