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儀式が終わって



これで神具に三人で魔力を込めて行って終わりかしらって思っていたら、神殿の皆様が感動に打ち震えながら「今年の祭事はつつがなく終了いたしました」と頭を下げた。

どゆこと?


そんなわけだけど、お父様が控室で着替えて待っていなさいっていうので町娘ルックでお部屋にいます。なんで平民衣装?

ベルが機嫌よさそうに私の手のひらで踊っていた。


ノックされて返事をしたら、レイが「失礼いたします」と言って入ってきた。そして、穏やかに微笑んだ彼は私の目の前に跪いた。何故。


レイはアルお兄様の侍従だ。普段はアルお兄様に付き従っている彼がなぜここにいるのだろう。



「この度は、旦那様よりフィーネお嬢様の警護を仰せ付かりました。恐れ多くも、本日はお嬢様の兄役を務めさせていただきます」



そう言った彼の頭上から、青い小鳥がキラキラと青い光の粉を振りかけると、彼の水色の髪は美しい金色に。彼の瞳はエメラルドグリーンへと変わった。


そうだったわ、とため息を吐く。

この魔法があるからこの人は普段アルお兄様の側に在るのだ。



温和で優しい顔を見せてこの部屋に入ってきたけれど、普段お兄様の側にいる彼は滅多に表情を変えず、淡々としている。

その理由は、いざと言うときにお兄様の身代わりとなるためだ。普段からアルお兄様の立ち居振る舞いを観察し、有事の際にはその外見の特徴を自分も纏う。

私を殺してアルお兄様に仕える姿勢は従者としての誇りすら感じる。



「……お父様が進んでわたくしに市井を見せようと思っているわけではないのね?」

「ええ。旦那様は父親に似たのか悪知恵を働かせた少年に押し切られてしまったのですよ」



王子様二人組は割と正攻法で来るタイプだったはずだけれど、と首を傾げるとレイは困ったように手を差し出した。

お父様たちが待っているらしい。



レイに連れられてお父様のところへ向かうと、金色の髪を帽子で隠した赤い目の少年がいた。悪戯が成功したとでも言うような楽しそうな顔で笑う彼の頭には、少年の姿を取った妖精が座っている。



「やぁ、お勤めご苦労様。ここからは僕との遊びの時間だよ」

「クリストファー殿下……」



なんでやねん。

思わずそんな言葉が頭を過った。



「フィーネ」

「お父様!」



小走りで近づくと、そっと手を差し伸べられた。今日もお父様が一番素敵です。



「本当は私が付き添いたいところなのだけれど、私は今からあのク……陛下と話し合いを設けなくてはいけなくてね。レイと影をつけておく。王宮の影も付いているはずだから、レイの言うことを聞いて楽しんでおいで」

「お父様がそうおっしゃるのなら!!」



お父様が言うなら大丈夫大丈夫問題なし!外で遊んで良いなんて言われたの初めてー!どっちかというと「頼むから家にいてくれ」だったので。


それにしてもベルってばなんでそんなにクリス様に懐いているのかなぁ?


クリス様の妖精によしよしと撫でられて嬉しそうにするベルを見ながら首を傾げた。



さぁ!今から妖精祭の本番ですよー!

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