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巻き込まれた弟王子様(side クリストファー)



「そういうわけだから、ちょっと行ってこい。何、お前ならいけるだろう」



楽しそうにそう言って来やがった父親にうんざりする。微笑みを作りながら、ギルバードはよくこれに我慢ができるなと思った。


クリストファー・リディア。

それが僕に与えられた名前だ。


母と同じ金色の髪は絹糸に、父と同じ赤い目はルビーに喩えられる。

絶世の美女、などと称される顔なんていらなかった。僕は男なのだから。


兄上たちはいいだろう。


母親に愛されて将来を期待される兄。

母親に愛されて好きな人を追える兄。


父にとっても母にとっても都合の良い存在でしかない僕。




クラウス兄上がいい子で育った今、スペアとしての価値すら薄い。それより上に行くことは許されないし、でも無茶振りされてもそれを熟す必要もある。


貧乏くじを引かされている気分だ。



からん、ころん。

音がして振り返ると先程の父親との話題にも出た少女と共にある妖精がいた。

軽く手招きすると、パァと表情を輝かせて側にくる。



「君はご主人と違って餌付けが簡単だね」



フィーネ・グレイヴ。

兄たちの想い人。


強い光の魔力を持つ愛らしい少女だ。

僕の一つ上とは思えないその容姿に一目惚れしたというクラウス兄上には正直ドン引きだ。兄はロリコンなのかと疑った。

リオンハルト兄上の方はまだ理解ができる。助けてもらったことをきっかけに惹かれ始めたらしいし。



花を一輪手折ると、妖精はそれを抱えて舞い上がった。

花を持っていこうと必死だったこの子に渡してやってからふわふわと寄ってくる。


フィーネ自身よりも妖精の方が僕に懐いている気がする事に苦笑した。

まぁ、少なくとも兄たちより僕の方が彼女と近い。妨害がないし。



「ああいうの、勘違いされても知らないぞ」

「僕はされても良いけどね。兄上たちの悔しがる姿が目に浮かぶようだし、正直ちょっと清々する」



自分の妖精に注意されてそう答える。

僕は今病弱設定になっている。学園に通って将来の王妃として、王子妃として相応しいものとそうでないものを見極めろと言われて、だ。


父は面白さ優先で、母は子どもが父のようにならないかを危惧しているように思う。それで、僕に良いことなんてないのにね。


兄たちは病弱なことを気にしてか外に連れ出そうとしてくるが、正直なところ「お前たちのせいだろうが!!」という感想しかない。 

彼らが候補者からサクッと選んでくれていれば僕は女装なんてしなくて済むのだ。



「あーあ。僕もちょっとくらい、良いことがないとやってらんないよね」



そう考えて、良いアイディアが出てきた。

少なくとも、兄上たちは絶対に真似できないだろう。知った時にどれだけ悔しがるか。



「エドワルド、グレイヴ公爵を呼んでくれ」



父上の阿呆のせいで多少交渉材料は持っている。ギルバードの性格からして多少のお願いくらいは呑むだろう。



「楽しみだな、妖精祭!」

「クリス、性格の悪そうな顔になっているぞ」

静かに兄たちと両親におこな弟。クリスの妖精はお喋りするし口が悪い。


エドワルドは一緒に女装している例の彼。

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