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知らぬ間に攻略済み



皆様がお帰りになり、落ち着いたけれど……考える事が山積みになってしまった。

いやだって、普通は昔少しだけ助けてくれた、もしくは助けた王子様が自分を好きになるなんて思わなくないですか!?思ってたら自意識過剰じゃないですか!?あと、兄のように思っていた人が婚約を申し込んできているだなんて思わないじゃないの……。

鈍いのは否定しないけどさぁ……。


お父様もお母様も「気にしなくていいから好きな人は自分で選びなさい」とかいうけど、私に近づいてくるまともな方がそもそも王族とお姉様の婚約者と婚約者のいる方とミーシャさんを好きな方しかいないという状況は変わらないのですよね。



「フィーネ、最近悩んでいるようだけどどうかしたのかい?」

「ヒューお兄様」



日々の勉強の後に毎日頭を抱える私を心配したのか、ヒューお兄様が話しかけに来てくれた。前まではよくあった気がするけど珍しいなぁ、と思いつつも最近のヒューお兄様は恋に生きているから私への興味関心が薄れたのかと納得する。



「いえ、急に色々と知ったので混乱しているだけですよ」

「それは仕方がないよ。フィンにはみんなが兄として見えるように誘導してきたからね。特に兄上」



苦笑するヒューお兄様が「俺はやり過ぎじゃないのって言ったんだけど」と続ける。



「実際、王子妃はフィンにはきついと思う。ローズは貴族らしい貴族でどこに出してもそれなりにやるけど、おまえは違うだろう?基本的には、誘拐もあったし俺たちや周囲に守られて甘やかされて育てられた。だから、いくら殿下達がおまえを想っても、悪意と害意に耐え切れるかが心配でならない。けど、望まれているのは確かだから、教育だけは相応しいものをさせなければならない。フィンは苦労したと思うけれど」

「では、何故……」

「確かに、王家に対して貸しがあるからね。断れなくもなかった。だけど……殿下達も、父上が考える程度には本気でおまえをと望んでいたってことだよ」



そんなことを言われると余計に頭が痛くなる。

私……刺されない……?王子様数人誑かした悪女として処刑されない……?

そしてこうやって自分のことばかり考えちゃう私自身のことも嫌いになりそう!


よしよし、と慰めるようにベルが私の頭を撫でる。



「酷な事を言うけれど、いつまでも兄上の庇護を受けたままではいられない。おまえがたった一人の大切な人と一緒になれるよう願っているよ」



優しく微笑むお兄様が、ミーシャさんとくっついていたことを知るのはこの三日後の話だった。婿養子に入るらしい。

妖精祭の前には正式発表があるんだって。


……嘘でしょ!?

なんでそこまで決まっているの……?

エンディングは年度末の筈ですよ!?


ゲームより現実のお兄様の方がやり手という事でよろしいですか、神様。

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