様々な理由
なんか、要するにですが。
クラウディアお婆様が亡くなって塞ぎ込んでいたアレックスお爺様。
お爺ちゃんっ子だったアラン様(従兄弟)が何とかしてあげたいと思っていたところ、お屋敷に残る絵のクラウディアお婆様にそっくりの私を見つけて、お手紙を送った。そしたら乗り込んで来ちゃった、と。
申し訳ございません、と繰り返し謝るアラン様だけれど、責任の一端としてできればお爺様同士の喧嘩を止めてもらいたいし、お母様も止めていただきたい。
お母様はお婆様に似ていなかったのが理由で放って置かれた過去があるので、私のことはお爺様に絶対見せなかったんだって。
「何はともあれ、タイミングが悪すぎはしませんか……」
「そうねぇ、困ったわねぇ?」
陛下も王妃様も、お父様やお兄様と領地を見て回っているのでここにはいませんけれど、王太子殿下いるんですよ……?
癖が強すぎる。
「なるほど、養子には寄越さんか」
「やっと分かったか、病み筋肉」
「ならば、アランの嫁に寄越せ」
「なんっっっっっにも分かっとらんな貴様!!?」
「そうだ、フィーネは私が妃に望んでいる。アランにはやれんぞ」
サラッと全く覚えのない事を言われて、お母様を見る。
……目を逸らされた。
お爺様を見る。
……また目を逸らされた!?
お姉様を見ると、ニコニコと微笑んでいらっしゃった。
「フィンは本当に純粋で可愛いわね」
「あの……?」
「でも、鈍いのは悪いところだと思うわ」
鈍い。
「殿下達からすると罪深いとすら言えるかもしれないわね?」
「フケイ!?ロウヤ!?」
「誰も不敬罪で牢屋に入れるなどとは言っていないぞ。安心してくれ」
困ったように微笑む殿下。
「不公平だからバラしておくと、リオンハルトからも内々に婚約の打診があるはずだ」
「ユート殿下からも打診があるのよ?」
全員お兄ちゃんだと思っていたので寝耳に水ですお姉様!!?
「どうりで皆様に親の仇を見るような目をむけられるはず……」
「お嬢様はそういう察しの悪いところもお可愛らしいですよ」
「バベル、あなたのそういうところがフィンの成長を妨げるのよ?」
そりゃあ、ナディアも私のことが嫌いなはずだ。エメルダは自業自得だからちょっと何とも言えないけど……。
私がアルお兄様に悪口言ったわけじゃあないからね?
「それで、無理に君を妻にするつもりはない。公爵を敵に回すのは怖いしね。……君には、君の想う人と幸せになってほしい。もちろん、その相手に私を選んでくれれば、それ以上の幸福はないのだけれど」