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王族の人達が来ました



時間というものはあっという間に過ぎるもので、お勉強の合間に庭先でお爺様とお茶を飲んだり、図書室で読書をしたり、部屋で刺繍をしたりしていると王族ご訪問の日になっていた。お父様とお母様、ヒューお兄様とローズお姉様は陛下達と一緒に来られるそうだ。今回は王様、王妃様、クラウス殿下とその護衛の方々が来られるそうだ。


王族の各領地への訪問は数年に一度は行われていて、我がグレイヴ公爵領に来られるのは二年ぶりだと聞いた。問題児系陛下であるが、王様として職務に多忙な日々を過ごしているのには違いない。お父様いわく、「仕事はできるんだよ、仕事は」とのことだ。笑顔が怖かった。


この日のためのドレスに袖を通し、アクセサリーとお化粧で武装する。



「髪は大丈夫?」

「大丈夫です」

「ドレスは似合っていて?」

「大変お似合いです」

「靴は?」

「こちらを用意しております」



できる男バベルに最終チェックをしてもらって、扇を手に取った。私は立派な淑女!いけます!たぶん、おそらく、きっと!!


部屋のドアをノックされて返事をすると、アルお兄様が入ってきた。も、もう来ちゃうのか。



「可愛いよ、フィーネ。よく似合っている」

「ありがとうございます、アルヴィンお兄様。お兄様もとても素敵ですわ」



本当は綺麗系になりたかったけど、アルお兄様からの褒め言葉は嬉しい。


外が騒がしくなり、私達は出迎えのためにお爺様も加えて三人でお屋敷の前に立つ。

王家の紋章のある豪奢な馬車とうちの紋章のある馬車が到着している。

兵達が左右に分かれ、道を作る。


王家の馬車から美しい男が出てくる。赤茶の髪、宝石の様な赤い瞳。クラウス殿下と似た顔付きが血を感じさせる。

続いて、クリス殿下に似た面立ちの美しい女性が出てくる。美しい真っ直ぐな金の髪で、瞳はアクアマリンのようなブルー。王妃様もとんでもない美女である。

そして、最後にクラウス殿下が出てくる。


公爵家の馬車からお父様達が出てきて、ちょっとホッとする。頼りになりすぎる両親なので側にいてくれるだけで強気でいられる気がする。


出て来られた陛下達に礼を取ると「面を上げよ」と柔らかい声がした。

そのお言葉に頭を上げる。


お父様が陛下達にご挨拶をして、お屋敷の中に案内のため入っていく。



「やあ、久しぶりな気がするね。兄上、フィーネ」

「わたくしもですわ。よもや、わたくしのデビュタント姿を見ずに出かけてしまうだなんて思いませんでしたわ……」

「姉上も祝いにと手紙を寄越したのにおまえという奴は」

「……ローズ」

「あら、わたくしは可愛いフィンの味方でしてよ?」



気まずそうに話しかけてくるヒューお兄様にちょっと意地悪を言って見せると、アルお兄様とローズお姉様も便乗してきた。



「次に白いドレスを着るときは結婚式なのですよ?少しくらい意地悪を言っても罰は当たらないと思いますわ」



そう言うと、「悪かったよ」と苦笑した。その家の娘のデビュタントって結構大きなイベントなのでちょっとくらい突いてやるのだ。



「それでは、私たちも家に入るぞ。あまりのんびりしていては、母上に叱られるな」



特に私とローズお姉様は「貴族令嬢が日焼けなんて!」と怒られてしまうこと請け合いなので、急いで入る。

ふと、視線を感じて振り返る。



「どうかしたの?」

「いえ……気のせいのようですわ、お姉様」



幽霊とか……いないよね?

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