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夏季休暇、始りました




夏季休暇に入りました。ヒューお兄様が初日の早朝に旅に出ちゃった様なのだけど、どこに行ったのかしら。

お父様が「良いところらしいよ」と言っていたし、お友達のところかな?


私はデビュタントの用意とやらでドレスの採寸だとか、マナーの再確認だとか、試験で順位落とさない様にお勉強だとかでなんかやたらと時間がなくて他のこと考える余裕ないです。

あと、やたらと周囲の警備が増えました。寮も部屋変わることになったしね。クリス様には一応裏ルートからお手紙を送っておいた。裏ルートとか言ったけれど、要するに絶対に私が手紙を送ったことを言わない人に頼んだだけなんですけどね。


家は誘拐の件から後、人を徹底して厳選して入れているから安心だけれど、外は危ない云々でお勉強なくても軟禁だったかもしれない。



「お嬢様、よろしいですか?」

「ええ。どうしましたか?リズベット」

「フィーネお嬢様の寮での護衛が決まりましたため、紹介させて頂きます。……入りなさい、ドロシー」



短い黒髪にラズベリー色の瞳を持つ色白のとんでもない美少女が顔を出す。無表情で、騎士を思わせる凛とした雰囲気がある。



「ドロシーと申します。フィーネお嬢様」



目の前で跪いて首を垂れる彼女に、「顔を上げて」と声をかける。



「わたくしはフィーネ。ごめんなさいね。わたくしが狙われたばかりに、あなたには苦労をかけます」

「いいえ。自分はお嬢様にお仕えできて嬉しく思います」



側にいるバベルに目を向け、私に視線を戻した彼女は軽く口角を上げた。



「そこの執事などよりも役に立ってみせます」



そして喧嘩を売った。

バベルは慣れた様に「そうですか。頑張ってくださいね」と言って私の机の上に紅茶の入ったカップを置いた。


リズベットいわく、「まだ侍女としてもう少し訓練が必要なところもありますので、正式な配置は新学期からになります」とのことなのでそれまでには仲良く……は期待しないのでそれなりの仲になっていて欲しい。いや、ライバルっていう感じなら認め合ってるから別に良いのかしら?


そんな感じで過ごしていたら、デビュタントの前日にドレスとアクセサリーが届いた。

デビュタントのドレスは白と決まっているので、真っ白のプリンセスラインのドレス。パールが散りばめられたシンプルながらも豪奢なそれは、愛らしいドレスだと思う。ティアラ、ネックレス、イヤリング、指輪にはルビーがはめ込まれている。全身でいくらなのか考えるのを放棄した。

赤い石はクラウス殿下とクリス様の瞳を思わせる石なので独身貴族令嬢人気が非常に高い。これつけて行って大丈夫なのかしら、と思わなくもないけれどみんな付けているのなら逆に目立たない気もしている。



「お嬢様、公爵家の姫君で在らせられるのに、アクセサリーやドレスを見ると泡を吐いて倒れそうな顔をなさいますねぇ……」

「そうかしら……?でも新しいものを買って頂くとついつい恐れ多い様な気がするのよ」



まぁ、これでも慣れたのだ。何せ、年齢一桁台から宝石を身につけてきたので。

でも、いつもより高そうな宝石を見ると本能レベルで震えてしまう。みんなそうではない?


これを着るんだよなぁ、と思うとやっぱりドキドキするけれど、素敵なドレスが着れるのは嬉しくもある。デビュタントの次に白いドレスが着れるのは結婚式だしね!


そういえば、ミーシャさん「お金ないので!」とか言って学院の最終日に颯爽と帰って行ったけれど、クラウス殿下ルート・アルお兄様ルート・ゼファード様ルート・クリス様ルート・アルス様ルートは潰れたと考えて良いのかしら?

この五人は「去年、実家都合(資金難)でデビュタントができなかったヒロイン。でも攻略対象が彼女のためにその準備を行い、手を引いて会場の真ん中で愛しげに彼女を見つめながらダンスを踊る」みたいなイベントがあるし、スチルもあった。

なお、残り半分の攻略対象は夏季休暇も最後の妖精祭イベントがある。


片付けてもらって部屋に戻ると、バベルがドカッと私の机に本のタワーを置いていた。



「何ですか、これ」

「旦那様より、お嬢様に目を通しておいて欲しいと預かって参りました」



お父様が言うのなら頑張るしかない……んだけどやっぱりちょっとげんなりしてしまう。

普通、貴族の子女が嫁ぐときってこんなに知識とか必要にされないって聞いたのだけれど気のせい!?

将来いるって言われてきたし、王子妃向いてないと思うからって言われてきたけどこれ本当に王族以外に嫁ぐのに必要なの?



「お父様達の考えることがわたくしには分からないわ……」



世の中、覚悟が必要な事だってたくさんあると思うので、願わくば婚約者の当てがあるならあるでさっさと教えてくださいまし……。

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