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火の妖精王



クラウス殿下の炎がキラーアントと呼ばれる魔物を焼き尽くしていく。

おお……豪快に燃えるものだなぁ。



「あの、ありがとうございます」



唖然としてしまったけれど、ちゃんとお礼は言わなければと口を開く。クラウス殿下は嬉しそうに頬を緩めて「どういたしまして、姫君」なんて言う。

か、顔が良い……!


元々、メインヒーローなのだから当然なのかもしれませんけど!



「しかし、地下にこんな場所があるなんて聞いたことがないな」



眉を顰めて言うクラウス殿下。そもそも、アントだって、主には洞窟ダンジョンなんかにいるらしい魔物でそれは中級者から入れるとされている。特にキラーアントとなると中級者ダンジョンの中階層に出没する魔物だ。



「ビーの時は誰かが持ち込んだのかと思ったが……。このダンジョンから出ている?しかし、ビーは中級者森林ダンジョンに生息していて洞窟や地下ダンジョンでは確認されていない」

「ビーの件とアント達とは別件という事でしょうか?」



あんな凶暴なの連れてくるのって結構難しいと思うんだけど、去年はいなかったらしいし、ビー達が連れてこられたのって有り得そうな話だなぁ。

アントは分からないけど、地下ダンジョンが人知れず存在していたのかな?でも、スタンピードとかも現状起こってないし、いつの間にできたのかしら。



「とりあえず脱出しなくてはなりませんけれど……ここ、どうしたら出られるのでしょう?」



暗いので、光を灯しながらそう呟くと、クラウス殿下の妖精さんが「任せて!」とでも言うように胸を叩いた。



「何だ、フレイヤ。着いてこいと言っているのか?」



頷くフレイヤを見て、私と殿下は彼女の後を追った。

時折、蝙蝠の様な魔物だとか、幽霊の様な魔物が出て来たけれどなんとか実体のある魔物は殿下が、幽霊みたいなのは私が討伐する事で、フレイヤの案内の元……クリスタルで作られている神殿の様なものを見つけた。



「妖精王ペレスト、ここに眠る……ペレストだって!?建国伝説の……!?」

「ええ、そうよ!よく来たわね、我が子よ!!」



鮮烈なまでの赤を纏った鎧姿の美女がそこに在った。金色に光る瞳が愛しげに細められる。



「あなたが、火の妖精王……」

「おまえのことはフレイヤを介してずっと見ていたわ。胸に秘めた情熱と、恋情を認め、我が愛を授けよう」



一方的じゃない?でも神様ってこんな感じだし……神様じゃなくて妖精王だけれど。


殿下が口を挟もうとしたけれど、彼女は話を聞かず、「さぁ、我が子よ!愛に生きよ!!」とか言って殿下に指輪と加護を与えて高笑いしながら去っていった。

たぶん、妖精王様から名前も賜っていると思うけれどあれ、本人以外には聞こえないらしいから……。実際私には聞こえていない。堂々と指輪を渡す姿は見えたし聞こえたのにね。



「な……何だったんだ?」

「えっとぉ……火の妖精王様の愛で子と認定されたのでしょう。少しアプローチは違いますが、わたくしも以前、光の妖精王様より名と魔導具を賜りました」



あまりにも強烈だったのか、人の返答を聞かずポンと加護と魔導具を与えて嵐の様に去っていった彼女が消えた後を見つめる殿下にそう言うと、「あの杖はそういう事か」と指輪を握りしめた。


その指輪はフレイヤによって右の中指にはめられた。殿下、左で剣を振るってたからね。


殿下の指にはまった指輪は赤く輝き、私達の足元に魔法陣の様なものを描いていく。

一際強く輝いたと思えば、洞窟の目の前にいた。

少し遠くに、学院の男子寮が見える。



「こんなところにダンジョンがあったのか」



調べる必要があるなぁ。あと、あのビー達の事もね!

お父様に緊急で連絡入れないとかな。



「殿下のおかげで無事に帰って来れました。ありがとうございます」



殿下がいなかったらここに転移とかできなかったよ〜。殿下が愛で子だったおかげなので感謝せねば!



「私だって、君の結界には助けられたよ」



向けられた微笑みはキラキラ輝いている様にすら見える。カエル引き摺って申し訳がなかった。これからはカッコいい殿下を応援します。


これがファン心……!盲目的にローズお姉様と家族を推してきたからここで増えると思ってなかった。

でも誰かが推しが増えるのは人生の糧が増えるという事だって言ってたし、別にいいよね!



「では、帰ろうか。フィーネ」

「はい!」



あれ?

そういえばいつの間に「フィーネ嬢」から呼び捨てになったのかしら?


まぁ、別にいっか!助けてもらったし!

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