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美女は隠しキャラ



ちょっとアルお兄様とバベルが困るほど泣いたせいで私の目は真っ赤だった。冷やしたのに……!

仕方がないので部屋に着いたら魔法をかけようと部屋に急いでドアを開け……閉めた。


さすがに見間違いだと思う。


「……お姉様に泊めてもらえば良いのです。そうしましょう」


きっと疲れているのだと思う。

私の部屋に、お……男の人がいるだなんて!そんな……そんなことあるはずが……!


背を向けて歩き出そうとした途端に、部屋に引っ張り込まれるのだった。

助けてお父様!!


「ねぇ、何か言いたいことはない?」

「助けてお父様……」

「はは、さすがの氷の公爵でも女子寮までは助けに来れないかな」


背が高めで、声は少し低め。金の長く真っすぐな髪は絹糸のようで、赤い瞳は宝石を思わせる……彼女は。


「まさか、まさかこんな美女が王子様だなんて……」


知らなかったとはいえ、少しの期間だったとはいえ。家族以外の男の人と一緒の部屋で過ごしていたなんて……!


「わたくし、およめにいけない……」

「いや、これは僕らの都合だからこちらで責任を持つよ。具体的に言うと兄上たちか僕の妃になればいい」

「王族に嫁いだら公務とか大変そうですし、わたくしに務まりませんわ……」


酷い……私王族以外なら選びたい放題なのに……。

リオン様、臣籍降下するって言ってた。三人ならリオン様一択かも?


そんなことを考えていれば、目の前の少年は面白そうに笑っていた。何が可笑しいって言うのかしら。


「はー……王族に嫁ぐのを嫌がる令嬢とかいるものだね!ギルバードやアルヴィンがそう言って兄上たちや陛下を煽っているものだと思っていたよ。グリンディア嬢とラドクリフ嬢もそう陳情してきていたしね。侯爵家から言われると少しくらい調べないといけないから君を見ていたんだけど……」


欲とかないの、と聞かれた。

あるに決まっている。


「お父様の様な素晴らしい結婚相手を探したいくらいですわ」


いやもうできるか怪しいけれど。悲しい……。


「ギルバードはちょっと難しいよ。うちのクラウス兄上で妥協すれば?」

「クラウス殿下は……ちょっと……」

「何かやったの?」

「……昔、お茶会に来ていた御令嬢に楽しげにカエルを投げつけておいでで……」


絶対近づくまいと思った。


「兄上……」


第三王子クリストファー殿下は複雑そうな顔をしていた。

こうして見ると王妃様にそっくりなのにどうして気がつかなかったのか。いることはわかってたのに、自分の近くにいるとは全く考えていなかった。同室になるとかヒロインに訪れるべきイベントじゃないの。


「まぁ、君に……君の家に損がある様にはしないよ。陛下が」

「陛下が」

「そもそも、僕だっていくら僕が母上の若い時にそっくりだからってこれは厳しいんじゃないか、と陛下には進言したんだ。それを押し通したのはあの人だから責任を取るなら陛下だよ。その責任を公爵家に押しつける様なら、ギルバードは今度こそセレスティアあたりに亡命しそうだしね。なんとかさせるよ、母上が」

「王妃様が」

「第三王子如きに決定権があると思う?」


継承権2位の王子様なんだからあるんじゃないのかなぁ。


「ないよ。兄上、ここ数年ですっかりただの品行方正の完璧王子様になっちゃったからね。父は本当はリオンハルト兄上を王位に就けたい様だし、スペアとしての価値すら今の僕にはない」

「そうでしょうか?」


価値すら無い、なんてそんなことはないでしょうに。


「学問に関していえば、誰よりも優秀だと聞いております。あなたの頭脳が国や、王太子殿下にとって必要となる日も来るでしょう。人の価値など、生きていくその過程で見つけるしかないものです。わたくしの価値をわたくし以外の者が知ってくれている様に、あなたの価値を知っている人もきっと多いことでしょう」


まぁ、私は知りませんけどね!親しくないし。


「……君、本当に王子妃になる予定はないの?」


ありませんってば!

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