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隣国の皇子と皇女



別に狙っているわけでも無いのに攻略対象とかその周囲の人物とのエンカウント率高過ぎると思うのだけれど、どうしたら……?


本日の授業の復習と明日の予習のために図書室の奥にいくつかある個室の一つ……そこを借り切った。

言っておくけど立派なお金と身分の力です。

使えるものは使えとお父様が言っていらっしゃいました。私のお父様が間違えるわけない。


何か文句を言っていた男爵家子息もいたけれど、生まれ持った身分も才能の一つでしてよ。おまえが目の敵にするからアルお兄様の教室に近い第二図書室行きづらくなったんだろうが。


当初は第二で個室なんて使わずに二人がけの机で勉強していたのだ。入学三日目で因縁をつけられた。一日いるだけで司書のお姉様にやんわりと「あの子がいるときは来ないで」「あなたなら空き教室貸し切ったり出来るでしょ」みたいな内容を言われた。

なんか馬鹿にした感じだったのでサクッと学院側にチクったら部署移動したらしい。新天地で頑張ればよろしい。子爵家の令嬢だって?こっちは身分もっと高いぞ。


「お嬢様もそれなりに遠慮せずに飛ばしますね」

「あんな者がいれば学院の品位が落ちてよ。それに、アレは自滅です」


別にいちいち殴り合いたいわけではない。ないのだけど、アレンとか言う名前の可愛い系陰湿クソストーカーに媚を売りたかったの丸わかりなので。確かに顔は攻略対象だけあってそこそこだし、将来は城の文官候補だ。ああいう、働かなくてはいけないご令嬢からすると家格的にもそう悪くないだろう。

でも生徒を馬鹿にする態度はいただけない。


まぁ、そういうことをしたから私が「家格が下の貴族や平民を馬鹿にしている」とかまことしやかに囁かれちゃうんだけどね!


溜息を一つ吐いて、ページを捲るとドアが開いた。まぁ元々少しだけ開いてはいるんだけれど。だって、使用人とあれこれとか言われるとバベル多分言い出した犯人炙り出して始末してから腹切って死ぬじゃん……。


「匿ってくださいませ!」


先に自分と似た青年を押し込んだ美しい少女は、勢いよく扉を閉めるとそう述べた。

押し込まれた青年は不機嫌そうに顔を顰めて出て行こうとするも、少女に止められる。


「とりあえず、何が起こっているのか教えていただけますか?セレスティア様」


姉が嫁いだ国の皇太子と皇女様が何から逃げてるって言うの。

皇族が逃げるほどのことが学院で起こってるのヤバくない?


「実は……」


妹の方……私と同じクラスであるアナスタシア様が口を開いた。

エメルダとラドクリフ侯爵令嬢とトラント男爵令嬢の三人を中心としたご令嬢から追いかけ回されているらしい。


「我が国の恥ですね……」

「バベル、あなたが言うと処罰の対象となる可能性が出ます。口を謹みなさい」

「お嬢様はどう考えておられますか?」

「嫌がる友好国の皇族を追いかけ回すなんて国の恥です」


助けてお父様。


「ほら、見てくださいましお兄様!やはりあの女達が挙って悪口を言うのですもの。まともな感性を持つ方でしてよ!」

「学院で権力を駆使して個室を一つ潰した女がまともか……?」

「ついでにマナーの分かっていない司書も飛ばしましたわ」

「まともか?」


関わり合いになっても面倒だと嫌われる方向で行こうとすると、バベルが勝手に私の立場だとかを丁寧に説明してしまった。やめて、可哀想な子を見る目でみないで。


「だいたいグリンディアの小娘と芋娘絡みではありませんの。わたくし達と同じで被害者ですわ」

「まぁ、アルもそう言っていたがな。一方の意見ばかりを聞くわけにもいかなかったろう」

「あの女達の言うことに聞く価値などありまして?特にあの男爵令嬢だとかいう芋娘、お兄様に魅了など……!」


アナスタシア様の持っていた扇が音を立てて折れた。

ひめさま、こわい。


「トラント男爵家……あぁ、グロース様のご実家と多少の関わりがあったはずです。まとめて潰しますか?」

「ですから、わたくしを暴君にするのはお止めなさい」


どれだけあの男が嫌いなんだ。私も好きじゃないけど。


「それにしても、友好国の皇族に手をかけようなど、あってはならぬことです。……まぁ、クラウス殿下と同じ学年の御令嬢ですもの。ある程度見られてはいるかと思いますが、お父様と……ジュードお義兄様へ伝えておくべきですね」

「おまえはあのリリアナの末の妹であったな」


そう考えるとさっさと我が公爵家に文句を伝えておくべきだった、と彼は苦笑した。


「覚えていなかったわけではないが、縁者であるという意識が少なかったのでな」

「いえ、そもそもうちに言われましても……ラドクリフ侯爵家以外は他人ですし」

「そちらはお知り合いですのね?」

「ええ……少々複雑なのですが従姉妹です」


先代のラドクリフ侯爵には二人の子がいた。一人は早くに亡くなった一人目の妻の娘であるお母様。そして、後妻から生まれた叔父様。

お母様と叔父様は仲が……すごく、悪い。もうね、お母様は後妻の人と合わなかったらしく、色々あったらしい。よくある話だ。

そんな仲の悪い二人と祖父母であるので母の実家とは疎遠なのだ。


「どう致しますか?」

「わたくしの権限で決められることなどそうありませんわ。お父様にお手紙を送るくらいですね」


チート系のお父様なので、余計なことが起こる前に送っておこう。


それからこの兄妹が個室に入り浸ることになったので、なぜかまた王族との接点ができてしまった。

どうしてこうなったの?

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