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学力検査




朝食を終えて寮の外に出るとバベルがいました。来てくれてありがとう私の安全基地。炎の魔法と卓越した剣技で私を助けておくれ。お兄様たちの次に頼りにしてる!

……お兄様たちには権力があるから……ね。


「おはようございます、お嬢様。何かご不便はありませんでしたか?」

「大丈夫です。ありがとう、バベル」


バベル一人いるだけで胃の痛さが全然違うんだからね!エメルダ来てもバベルがいたら報復怖くないもん。学院での無敵度が上がっちゃった。


「お鞄をお持ちいたしましょうか?」

「ダメよ。わたくし、自立しなさいとお兄様たちに怒られてしまいます」

「……いえ、あの方々はおそらくお嬢様の自立を求めていないような気がいたしますが」

「そんなことないでしょう?」


普通にお嫁に行ったりしないと困るから怒ると思うんだけれど。リリィお姉様もそれっぽいこと言ってたし。

お母様にとってのお父様みたいな私だけの素敵な王子様……とか見つかればいいんだけれど!


校舎に入って教室へ向かう。昨日の件で引かれてないといいなーと思ったけれどやっぱり避けられるみたいです。ちょっぴり悲しい。

高圧的だったかもしれないけれど、いじめに合う公爵令嬢とか貴族社会的にアウトだもん。


「お友達……できるのかしら」

「お嬢様なら大丈夫ですよ」


本当かなー?でもバベルが言うんだもん信じよ!


教室へ入って席に座る。使用人を連れてきている人の隣は基本的に使用人となる。国の学院内だからそんなに危険はないはずだが、皆無というわけではないらしい。

レオお兄様いわく、政敵の子息などを狙う暗殺者や誘拐犯も稀に侵入することがあるそうだ。「どんなとこでも完璧はないのね」と言うと、「王宮にも入る連中がここに入れないわけないしね」と苦笑していた。あ、王宮に暗殺者やっぱりいるんですね。


まぁ、そういうわけでバベルは護衛としての意味合いが強い。

寮の中?女子寮には夜間結界がかかってるから余程のことがない限りは大丈夫っぽい。

それまでに侵入されてたら死んじゃうな、とも思うけれど、部屋にも結界師という結界を専門として鍛えて職業とした光の魔法使いを雇えば結界張ってもらえる。うちはお父様が雇った。

結界師と呼ばれる人にとっても基本的には危険が少なく、実入りが良い貴族学生のお守りは楽で嬉しいものらしい。


今日は学力検査である。クラスはそもそも魔力順なので学力は関係がない。

学院への入学が決まった時に、一度ここを訪れて魔力検査を行ったからその順番に一番上のSクラスが15人、その下のA〜Cクラスが30人ずつ+各々の使用人のクラスになっている。これも稀な話だけれど、学院に入ってから魔力が吃驚するくらい増える人がいる。その人は年度が変わる時にクラスが上がったりもする。


……バベルなんかは私いなくてもSクラスで授業が受けられるレベルだよ。Sクラスに入れるレベルの魔力をもつ子どもの親は最低でもAクラスレベルの子どもを探してきて引き取ったりする。高位貴族に護衛なしとか誘拐してって言ってるモンだしね。

領地での誘拐の件から後はお父様が人をめちゃくちゃ選んでるので安心だ。昨日とかでも家の影がついていた。というか今もついてる。ありがとうお父様。ありがとう影の人。みんなのおかげでひよっこ令嬢は無事に生きています。


一日かけての学力検査が終わると、少しグッと背伸びをしたくなったけれど我慢する。

お上品にしていないとすぐにお母様へ連絡がいってしまうのである。……お母様はなぜああも厳しいのか。高位貴族が揃ってるうちのクラスの令嬢でももう少し自由みたいな感じですよ。

王妃教育でもしてたの?


「フィーネさま……もえつきました……」


真っ白になっているセーラに笑ってしまう。すると、彼女のオレンジ色のぴょこんと出た毛が萎れて、「笑わなくっても〜」とふてくされたような顔をした。可愛い。

彼女のオレンジ色の髪と青い瞳は真夏の太陽のような印象だ。明るくて元気な彼女は、……お勉強は少し苦手らしい。それでも頑張っているのを知っているので私的好感度は非常に高い。


「いえ、あまりにも可愛らしかったものですから」

「フィーネ様に可愛いって言われても……」

「わたくしに向けられるそれは……愛玩動物やお人形のそれでしてよ……」


間違いない。周りの人たち……特に女性は少し大きなお人形さんだと思っている節がある。たまに贈り物をくださる方々がいらっしゃるのだけど……「これは隣国の可愛いお人形が着ていて貴方に絶対に似合うと思って作らせました」だとか、「部屋に飾られているお人形の服が似合うと思ったので貴方に似合うように仕立てさせました」とかメッセージカードについている。

……ユウのお母様のサヨ様とレティシア様のお母様のトーラス公爵夫人リシア様が代表例だ。


「それは……そんなことは……」


セーラは嘘がつけない性格だから目を背けた。これが答えである。


「お嬢様は可愛らしいと思いますよ」


ああ……昔は意外と直情的だったからなんやかんや考えてることがなんとなくわかったバベルの、何考えてるか全くわからない笑顔での「可愛い」は信用して良いのか悪いのか全くわからない……!


「バベル、わたくし以上に成長しましたわね……」

「私も男ですので」


そういうことじゃないけれど、まぁそういうことにしておこうかな。

……アルお兄様とかに腹芸できるように鍛えてもらうべき?

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