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女子寮に入りました



寮は基本的に二人一部屋だ。同性の使用人を入れている場合は広めのお部屋をとる人もいる。上位貴族はここに入ることが多い。広いお部屋をステータスだと考えている部分もあるしね。

お姉様はお料理が……その……味が、ちょっと、こう……ああなってしまうのでアリーザという男爵家出身のメイドさんが付いている。連れてきた使用人も学校に通えたり、運がよければここで結婚相手が見つかるので意外と喜ばれる。

アリーザも実家があまり裕福ではないので、学院に通えることを喜んでいた。バベルは私の護衛も兼ねているので、女子寮の外れにある使用人寮に入る予定だ。


私はお料理は程々にできるので普通の二人部屋である。普通って言っても貴族の女の子が住む部屋だからそこそこ広い。


「ごきげんよう。今日から同室になります、グレイヴ公爵家が三女フィーネと申します。よろしくお願いいたします」

「ごきげんよう。私はディアン伯爵家のクリスティナといいます」


背が高めで、少し低めの声をもつとんでもない美女がいた。うっ、私もせめてあと5cm欲しかった。

金の長く真っすぐな髪は絹糸のようで、赤い瞳は宝石を思わせる。白い肌にはお肌トラブルなんて一切縁がなさそう。

うら、うらやましい……。


「ど、どうしましたか?」

「いえ……わたくし、このように背が小さいでしょう?少し羨ましくなってしまいましたの」


人がいっぱいいる夜会に出るようになったらきっと人に流されてしまう。


「可愛らしいと思いますよ」

「ありがとうございます。けれど、わたくし昔はお母様のようになるのが夢でしたの」


そう、お母様に多少なりとも似ているのだからきっといつか美しく成長してお父様のような素敵な王子様を見つけるんだと思っていた時期もある。


「……どうしてもああはなれませんわ」

「フィーネ様にはフィーネ様の良いところがたくさんあるでしょう?現に、第一王子殿下と王太子殿下と懇意にしているとか……」

「いえ、あれはお兄様たちが仲が良いだけです」


リオン殿下もパーティー以降お手紙でしか交流はないし、王太子殿下はなんかお兄様たちがお話ししているから関わることもそうある話ではない。


クリスティナ様が小さい声で何かを言ったけれど、聞こえなかったので問い返すと「なんでもありませんよ」と微笑んだ。


「あの……部屋の間なのですが、カーテンで仕切らせて頂いても構いませんか?」

「同性でも着替えなど見られるのは恥ずかしいですものね。構いませんわ」


真ん中にカーテンレールが付いているところを見ると、別に珍しいことではなさそうだ。

共用はお風呂とトイレくらいのものみたい。キッチンはなぜか二つある。こういうものなのかしら……?


カーテンをつけるということは半分は私も好きな感じの配置にしても良さそうだ。主にお母様とリリィお姉様から持たされた本と……本と本を入れるための壁一面の本棚と私用の梯子を置いてもドン引きされたりしないはずだ。……それはともかくとして、私公爵家の令嬢だからある程度お勉強しなくてはいけないのはわかるんだけれど。

……領地経営・5種類の外国語・軍事知識あたりはいるの?必要?


お兄様たちの荷物と間違えたのかしら?けれど、お兄様たち真面目だから来る前の荷物チェックは万全だろ思うし。


「あら?こんな本入れていたかしら?」


上位貴族への取り入り方とか嫁姑関係に関しての本なんてまだ早いのではなくて?と思ったらお姉様のメモがついていた。……普通に使えそうだしそのうち読むか。いえ、私より上の身分の人王家にしかいないけど、何故か周りに王家の方多いものね。リオン様から始まり、ユウ様に今日はクラウス殿下と喋ってしまった。リオン様とクラウス殿下に関してはお兄様たちの関わりの部分が大きいけれど。


そういえば、ゲームのクラウス殿下って一人称俺だったし、女生徒とかに「おい、おまえ」とか言ってたし、ヒロインに「ふ……おもしれーヤツ」とか言っちゃうタイプだったのにいつの間にキャラ変したんだろう。


ま、私関係ないし、日課分のお勉強終わったら寝よ!


一方、ヒロインな彼女はその頃、太陽系後輩セーラちゃんと同室になって浮かれていた。


「可愛い女の子の後輩嬉しい!」


そして、彼女はその後輩が今日出会って、「君と妖精を研究させてくれ!」と縋り付いてきた妖精オタクの同級生の妹であることをすっかり失念していたのだった。

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