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知っている世界とは違うような(side ???)


私はミーシャ・シュトレーゼ。

すごくすごく貧乏な伯爵家に生まれた一人娘。

そして、ニホンという国の記憶を持った転生者である。


転生したと気がついたのはなんと2ヶ月前。ここが前世でそこそこやり込んだ乙女ゲーっぽい世界だと気づいて、それから……前世の自分が死んじゃったことに凹んだ。まだ大学に入ったばっかりだったんだもん。まさか人違いで階段から突き飛ばされるとか想像できる?落ちたあと、意識がまだある時に「え!?違う……間違えた!?」とか言われたのマジで無理。


1ヶ月ほど凹んで、新しくミーシャとして生きようと思ったのが先月に入った頃。

フェアプリの世界だっていうのはわかったけど、それなら何の魔法を持っているのか知りたくて魔法を使ってみたいと思って庭に出れば、美しい紫の羽を持った少女が笑いかけてくれた。

その少女の案内で壁の割れ目から家を出て、近くの湖の奥の祠まで連れて行かれると、闇の妖精王がいた。ちょーイケメンで、見惚れていると苦笑しながらも加護を授けてくれた。

……ミーシャは妖精の愛で子設定だもんね。


ミーシャ・シュトレーゼという少女はフェアプリのヒロインである。

とはいえ、だ。

ミーシャと融合して新生ミーシャになった私はちゃんと理解をしている。


私はクソ貧乏な後ろ盾もない貴族令嬢だってね!


私がこの世界のヒロインよ!って言えるくらいの強かな精神が欲しかった。心の底から。どこをどう考えても我が家のスペックでは選べる攻略対象すら限られる。

……ゲームのエンドのあと、絶対ミーシャ殺されたり狂気にのまれたりしてたでしょ。この家で王子様や公爵家になんか嫁げるわけがない。……いや、公爵家でも次男以降ならなんとか……無理な気がする。同じ伯爵家でもちょっと怪しい。


幸いにも、お父さんとお母さんはすごく優しくて、私は家のお手伝いをして過ごしていた。そんなある日、我が家はアンデッドというゾンビのモンスターの強襲を受けた。

そもそも、我が家が貧乏なのは3年前に突如ダンジョンが現れた時にスタンピードが起こり、領地領民を蹂躙されたからだ。その傷痕は深い。


でも、確か闇の妖精を選んだ時のオープニングでそういうイベントがあった。はず。

その時、ミーシャは妖精と力を合わせてアンデッドを浄化するのだ。

それを思い出した私は妖精……ルナに頼み込んで力を貸してもらって必死に浄化をして回った。

結果として、我が家は救われ、王都の神殿から褒められ、学院で力を磨きなさいと魔法を学ぶため学院への入学が決まった。うちはすこぶるお金がないので奨学生である。


優しい両親と離れて王都へ行くのはちょっぴり怖かったけど、学院の2年生へ編入して……アルヴィンルートのライバル令嬢に絡まれたりしていた。

エメルダこんな鬱陶しかったっけ?というかライバル令嬢じゃなくて悪役令嬢じゃない……?


なるべくエメルダを避けて過ごそうと思いながらルナに「王都って怖いね」と言うと、「王都じゃなくてあの女が怖いんじゃない?」と言われた。そうかもしれない。


編入して翌日が入学式らしくって、学院の授業はお休み。代わりに一部の生徒が入学式の雑務を行っている。椅子並べたりとか受付とかね。私は学院に慣れるためとか言ってレオ先生に強制的にお手伝いの枠に入れられてしまった。く、黒幕め!


入学式が終わって、椅子を片付ける時間まで待機をしていると、入学式が行なわれている式場から校舎に入る渡り廊下に小さくて可愛い女の子が通るのを見つけた。ライバル令嬢のローズたんとちょっと顔立ち似ている。

彼女の前にエメルダが立ち塞がったのを見て焦った。

……心配はいらなかったわけですが。


「あら、ここは15歳以上の者が学ぶ学舎でしてよ?あなたのような幼子が来る場所ではありませんわ。お帰りになったらいかがかしら?」


性格悪っ、と口に出そうになるのを抑える。どうしようと思っていると、天使のような外見の少女から思いの外キツい言葉が出てきた。


「あら、仮にも侯爵家の方ですのにわたくしの顔も覚えておりませんのね?わたくしが許可したのならともかくとして……格下の、あなた如きが、わたくしに話しかけるなど……我が家を侮っていらっしゃるのかしら?」


「わたくしはグレイヴ公爵家の娘です。これはグリンディア侯爵家からの、明確な、我が家への悪意。……そうとってもよろしくて?」


「であれば、その挑戦、我がグレイヴ公爵家として全力でお相手して差し上げてよ」


そう言って優雅に微笑む。

え、やだ……ちょー推せる……。

ちょっとアイドルを応援するオタクの思考になってきた。


「申し訳、ございません。フィーネ、様」

「お退きになって?わたくし、ここを通りたいの」


グレイヴ公爵家のフィーネたん……グレイヴ……グレイヴ公爵家!?

アルヴィン・ヒュバード・ロザリアのグレイヴ公爵家!?

と、いうことは……アルヴィンルートいわく「小動物の様で愛らしいとは思うが、末っ子だからか少しわがまま」で、ヒュバードルートいわく「父上にべったり」でクロイツルートのロザリアいわく「困った子だけど妹は可愛いものよ」って言われてる妹!?


全然印象が違うけど……いやでも可愛い。

ジッと見ていると、ヒュバード様が「どうかしたのかい、シュトレーゼ嬢?」と声をかけてくれたので、先ほどの光景と妹さん可愛いですねという話をすると、困ったように笑って「グリンディア嬢……ね」と校舎に目線を向けた。


「言ってくれてありがとう。フィンも成長したんだし、立派に追い返したみたいだけど。

……売られた喧嘩は買わないとな」


高貴な方の王子様っぽい微笑みを拝見できて何より!と思ったけどなんか最後の一言怖かった。

……ヒュバードルート確かヒロイン監禁と心中のエンドあったな。程々の関わりにしよ。

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