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お兄様はモテます




人が恋に落ちる瞬間を見た(3日ぶり2回目)。


何にも興味を持たず、ひたすらかわし続けるお兄様……を誰よりも熱の篭った瞳で見つめるエメルダさん。


「フィン、疲れた顔をしているが大丈夫か?」

「大丈夫ですわ、アルヴィンお兄様」


ですから離れてくださいませ!エメルダさん筆頭に女の子の目線が恐ろしくってよ!?ほら、睨まれてる!


エメルダ・グリンディア侯爵令嬢。

アルヴィンルートのライバル令嬢……。初めて会ったアルヴィン・グレイヴに一目で恋に落ち、あらゆる手を使って婚約者になった……って感じだった気がする。無理矢理婚約者に収まった彼女にアルヴィンは嫌気がさしており、開発者ブログではヒロインに出会わなくとも婚約を破棄されていただろうと書かれていた。それほど嫌だったのか、何かをやらかしたのか。

関係……ないといいな。


普段の王宮で開かれるこういったパーティは基本私たちのようなお子様は関係ないのだけれど、今日のパーティは別だ。


王太子の婚約者がまだ決まっていないから親つきでお見合いしましょうっていう趣旨です。

なんとしてでも決めたい陛下たちが伯爵以上の近い年頃の娘を持った家の者たちに足を運ぶよう命じた。なんて面倒な。

順当に行くとレティシアさんかお姉様になる。まぁ、お姉様は婚約の予定が入りそうになっているので次点で私もあり得る。絶対やだ。


アルお兄様の周りが恐ろしいからヒューお兄様のところに行こうとすると、ヒューお兄様も囲まれていた。なにこれ怖い。お兄様たち優良物件だものね……。

おとなしくお父様とお母様の方へ逃げ帰ることにした。

これだから女の子のお友達が少ないのかもしれない。けど普段が引きこもりなので辛いにも程がある。


「セーラ様、ごきげんよう」

「フィーネ様!お久しぶりにございます!」


両親の元に逃げ帰ろうとしたら、お友達に出会えた。セーラはホーンス伯爵令嬢でお母様同士に親交がある。セーラのお父様は妖精庁の偉い人らしい。お兄さんがいるらしいけど、クラウス殿下の御学友にされているらしく、城にいることが多いとか。うちのアルお兄様と一緒ね。


「お兄様がクラウス殿下の御学友に選ばれたから婚約者になるチャンスがあるんじゃないかってさっき詰め寄られてしまいましたの!それでヒュバード様のお側を追い出されてしまって……酷いですよね、例のお茶会以上の付き合いなんてあるはずありませんのに」

「私は先ほど、お兄様の周りの方々の目が恐ろしくなってしまって……お父様たちのところへ戻るところです」

「アルヴィン様もヒュバード様も素敵な方ですものね……。と、とくに、ヒュバード様……」


赤くなった頬を両手で包んで恥じらう姿が可愛い。……反面、お兄様狙いの人を見ると厳しい目で見てしまうので勘弁してほしい。ブラコンも入ってるから。


「フィーネ様には心に秘めた方はいらっしゃいませんの?」

「お父様のような方が良いなとは思っているのですけど……」

「理想が高すぎですわ」


キッパリと言われてしまった。そうかなぁ、いるんじゃないかなぁ。

二人で談笑していると、後ろからぶつかられて、服に何かがかかった。思いっきり転けたので、飲み物とか持ってなくてよかったよ。セーラにかかったら大変だものね。……や、私は冷たくて困るけれど。


「あら、ごめんなさい?小さかったので見えませんでしたわ」


エメルダかよ。

というかおまえも2歳しか変わらない……けど私よりは大きいな。いいな、身長……。


「フィーネ様になんてことを……」

「私の妹に何をした」


あ、目が本気で怒ってるときのお父様そっくりだ……。


「申し訳ございません。妹様は小さいですし……ふふ、見えませんでしたの。わざとではありませんでしたのよ?」


一瞬、私を見て嫌な笑い方してたので妹的にはないわーと思いました。アルお兄様の顔もより怖くなってるのでいい加減煽るのやめて欲しい。本気でアルお兄様狙うつもりあるの?ないでしょ?


「何の騒ぎだ?」


その声に皆がザッと左右に避けた。モーセかな?その声の正体を見てやろうと開いた道の先を見ると、金の髪に赤銅色の瞳の美少年がいた。この世界、美少年多すぎじゃない?

……あれ?クラウス殿下?


座り込んだままの私に駆け寄って、心配そうに「大丈夫か?」と手を差し伸べる殿下。

カエル投げつけていた悪戯小僧はどこに行ったの!?お兄様の矯正入ったのかな。

手を取らないのも失礼なので、差し出された手に手を重ねて顔を上げる。


「大丈夫ですわ。ありがとうございます、クラウス殿下」

「えっ……」


なぜか一瞬固まる殿下に首を傾げてアルお兄様を見ると、手酷くエメルダを振っているところだった。ヒューお兄様とロザリアお姉様も参加していた。

うちの兄姉はすごくカッコいいかもしれません。


クラウス殿下は側にいたお城の人に「こちらの御令嬢に着替えを」と申し付けてくださって、綺麗な格好で帰れた。助かった。

それにしてもあの子、なんでわざわざぶつかって飲み物かけてきたのかな?お兄様、そんなに妹に興味がないイメージなんだろうか?

侯爵家の娘さんとはいえど、うちは公爵家だし喧嘩売っていいことあるのかしら。


「フィン、おまえが気にすることではないよ。あれに関しては父上に任せよう」


頭を撫でられて、そういうものかしら、と思っていると執事長がすごく……すごく微妙な顔をしていた。

あらやだ、どういうこと?

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