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ライバル令嬢の妹になりまして  作者: 雪菊
胸を焦がす熱情を
198/203

隣に



婚約の発表後、ハニートラップが互いに増えたが彼らは全くそれらに引っかかることなく、婚姻の日を迎えた。


白のウェディングドレスは職人による一点もので、赤い宝石の首飾りが胸元で輝いている。ブーケを幸せそうに抱えたフィーネは教会の扉の外側でギルバートに手を差し出された。



「綺麗だよ、私たちの可愛いフィーネ」

「ありがとうございます、お父様」



末娘の笑顔に安心したようにギルバートは微笑んだ。

音楽が鳴り始めると、扉がゆっくりと開く。


父にエスコートされてバージンロードを歩む花嫁は参列者の目を釘付けにした。

フィーネの家族は涙ぐんでいる。アルヴィンはアナスタシアに脇腹をつねられていた。小さく唇が動いている。「泣かないでくださいまし」と笑顔で言う妻にアルヴィンは痛みを堪えて頷いた。


ギルバートと共に歩む道の先に夫となるクラウスが立つ。感無量、といった様子の彼はギルバートに「娘をどうかよろしくお願い致します、殿下」と言われて「ああ」と頷いた。



「この世の、どんなものよりも大切にする」



その言葉に頷いて花嫁は花婿の手を取った。

そして二人で神官の前に立った。

誓いの言葉を交わして二人が見つめ合うと、ステンドグラスから光が差し込み神々しい。そして、婚姻の証明書に二人で名を記入すると二人の名前がそれぞれ赤と金に輝いた。


花嫁のヴェールを上げて二人の瞳がかち合うと、クラウスが照れたように頬を染めた。愛しいと語るその瞳がゆっくりと閉じられて、二人の距離が近づく。

口付けを交わすと、祝福の歓声が上がる。


二人は頬を赤く染めて笑い合う。



(結婚は嬉しいのだけれど、今からパレードがあるんだよなぁ)



緊張からか少し冷たくなった手にクラウスの手が伸びる。

気遣うような視線に、大丈夫だと伝えるように絡められた手を握った。


クラウスに手を引かれて音楽と共に教会の外へ出る。澄み渡った青い空はこの国の王太子夫妻を祝福しているようだった。


一瞬、強い風が吹いて用意された花々が風に舞う。



「行こう、フィーネ」

「はい。クラウス様」



懐かしそうに、愛しそうに。

フィーネは舞った花々を見つめて、それからクラウスに笑いかけた。

クラウス√最終回です。

お付き合い頂きありがとうございました。

次ページより優斗√を掲載して完結とさせていただく予定です。

引き続きよろしくお願いいたします。

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