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報復は炎のように 3




炎が竜巻のように魔物を焼き殺していく様を見ながら、リカルドはちょっと引いた。

グレイヴ家って怖ー、と言いたそうな顔をしているが口に出さないだけ彼は賢かった。


そして、それを見て面白そうに雷を纏わせた竜巻を作るヒュバードもちょっとだけどうかと思う。二人が聞けば「人間がいないから平気だよ」とそれぞれ口に出しただろう。彼はそれないように魔法でそっと魔物の方へ誘導するように道を舗装した。理性が仕事してるかわからない二人の魔法を放置するのは個人的に怖かったので。


魔物をある程度片付けたガウェインは屋敷の扉を貴公子然とした容貌とは裏腹に、チンピラのように剣を肩に乗せながら足で思い切り蹴破った。どうせみんな燃やすんだから壊したっていいな、みたいな感情が透けて見える。

普段おとなしい人間を怒らせてはならない。アルバートといい、ガウェインといいそれをたまに思い出させてくれる。アルバートは放っておいても稀にウザ絡みして問題も起こしてくるけれど。


扉があった場所を潜ると、薔薇のようなものが襲いかかってきたがガウェインとリカルドは視界にも入れないまま叩き切る。ガウェインは念入りに燃やしている。



「食人植物とはまぁ、あの女らしいな。気色が悪い」

「光に集るしか脳のない生き物だから仕方がないよ」



リカルドが苛立たしげに言うのに対して、あくまでガウェインの口調は穏やかだ。やっていることとの乖離が激しい。


執拗にガウェインを狙う魔物たちを余すことなく消し炭にしながら、彼は悠々と歩く。リカルドが少し焦れるように「急がないのですか」と口に出すと、彼は不思議そうな顔をした。



「必要はないよ」



どこか(レオナール)を思わせるような食えない笑みでそう言うと、彼の差し出した指先に赤いトカゲが来た。

「ガラル」とその名を呼ぶと、妖精はパカっと口を開けて廊下の魔物を一掃する。



「いい子だ」



指先から肩に戻って、頬に頭を擦り付ける妖精。ヒュバードは「くまー!」と愛らしく鳴きながら魔物をデストロイしていた伯父の妖精をちょっとだけ思い出した。話すこともなく、名前もつけていない自分の妖精の襟元を掴む。



「なぁ。本当はああいうのが普通だったりするのか?」



少年の形をしたそれは青褪めた顔で首を左右に振った。そうだよな、とヒュバードが頷くとホッとした顔をした。


そうやって進んでいくと、ガウェインがある部屋で足を止める。



「さ。部屋ごと燃やすかな」



止める間もなく、部屋が業火に包まれ、そして焼け飛んだ。

やり方が乱暴すぎてその瞳を狙っていた魔物たちの動きも一瞬止まった。

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