表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
170/203

帰還 2




先に進むと、なんか魔物がやたらと集まっている場所があった。あのあたり祠でしたよね、と少し焦っていると伯父様の妖精が突撃していった。何かあったら可哀想なのでフォローしようと思ったらバベルが後ろから思いっきり虫たちを焼いていた。



「いつもより火力が上っている…?」



不思議そうな顔をした彼だけれど、「火の妖精王様のお膝元ですもの」といえば納得したように頷いた。

そして、伯父様がテディを抱き寄せた瞬間、業火が虫モンスターを一掃した。バベルに魔法を行使した様子はなく、どうしたのかしらと思っていると高笑いが聞こえた。そのあと、煙でむせたようで咳をしている。


煙の向こうにいたのはレティシア・トーラス。

黄金色の縦巻きロールが見事な絶世の美女である。

…まだむせているけれど。



「ゲホッ、ゴホッ!!わ、わたくしにかかればこれくらいなんて事ありませんわ!!おーほっほっほっ!!」



懲りずに高笑いをしてさらにむせた。



「トーラス嬢は優秀なのにああいうところが残念ですよね」



エドが心底可哀想なものを見る目をしていたけれど、否定しづらかった。


そろっと近づいて、背中をさすっていると少しずつ落ち着いてきて、煙がなくなった頃にはけろりとした顔で「まぁ!わたくしに会いにきてくれたの?可愛いフィン。髪を切ったのね、可愛らしいわ」と相変わらずの全肯定お姉様っぷりを発揮してくれた。抱きしめないでください。胸で窒息します。



「トーラス公爵令嬢様、お嬢様が窒息しつつあります」

「あら、ごめんね。大丈夫かしら」



今度は私が背中をさすられる番になった。

ちょっと申し訳なさそうなレティシア様の顔にしょうがないなぁ、と苦笑する。



「ところで、レティお姉様はどうしてこちらに?」



そう尋ねると、何度か目を瞬かせたあと、ドヤッと胸を張った。



「ペレスト様を守るという大変名誉な役目を仰せつかりましたの!!」



なんか嫌な予感がするぞぅ…!!

そんなことを思っていたら、ビーの大群が押し寄せて来ていた。だから虫はやめてってばぁ!!



「フレイヤ!」

「任せて、クラウス!!」



その奥から、声がした。

まさかと思いながら炎の先を見れば、燃える火のような瞳が見えた。



「久しいな」



そう言って口角を上げたクラウス殿下は、「それで、その素手でクイーンビーの首を引きちぎっている凶暴生物は魔物か?」と聞いてきた。



「どこからどう見ても愛らしいくまちゃんなのに」



伯父様……。

それが魔物を引きちぎっているから怖いんですわよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ