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風の妖精王




伯父様に連れられてやってきたのは「風雲の森」。

かつては貴族の観光地として人気を誇っていた地域である。


それにしても、盗賊団が住み着いていると聞いたけれどそんな様子は全くない。エドも唖然とした様子で周囲を見ていた。聞いていた家だってない。


ふと伯父様を見て、「まさか先に来てみんなぶっ潰したわけじゃないよね」と思っていたらこちらを向いて飄々とした様子で手を振った。



(あ。それっぽいな……)



私の心に傷云々はおそらく「直接見せたら流石にトラウマ案件だよねぇ」程度の考えである気がする。

そりゃあ、うちのお父様私に人殺してるとこ見せるとかしたら超キレますよね。


綺麗に片付けてはあるけど、たまにちょっと金属っぽい臭いがする。盗賊だから想像通りのことが起こったとしても犯罪にはならないけれど…。


伯父様を先頭に、一番最後にはバベルが。

セシルの案内で祠の場所へと歩いていく。

奥の方まで来ると、セシルの指先から緑色の光が放たれた。



「妖精独自の隠蔽方法か。いやはや、興味深いね」



レオお兄様もきっとこんなキラキラした目をしたんだろうなぁ、と思って苦笑する。

柔らかな風が髪を撫でる。

するとそこにはエルフ系美青年の風の妖精王、ウェンティ様が現れた。微笑んで手招きし、セシルが恐る恐る近づいたところをバシンッと叩き落とした。



「どうして初めに私のところに案内をしないのだ、貴様は」

「理不尽!!」



セシル、扱いが悪いな…。

ちょっと不憫だなって目で見てしまった。


軽くまとめた長い髪がふわりと揺れる。

私の目の前に降り立った彼はそっと手を翳す。鞄の中に入っている鏡を取り出すとそれに加護をくれた。



「よく来てくれた。君の献身は見事だよ」



美しい顔を惜しげもなく近づけて私の頬を撫でる。いや、近いて。



「君の父と兄もよくやってくれた。水の子であるのが少し惜しいが……まぁ、あの小娘も凹まされたようだし」



マリン様にも何かしらの感情を抱いていたらしくって改めて怖いなって思いました。いや、クリス様ってばよくこんな方に愛されたな。めちゃくちゃ厳しいし、すごく祟る。その反面、気に入ったものには優しいのかもしれない。



「それにしても、良くその魔力量で……まぁ、鏡を完成させるには好都合か」



そういう意味深な言葉を紡がないでほしい。不安になるから。

そして彼は私の耳に唇を寄せた。

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