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とある恋とその顛末 4





呪詛を振りきり、血を払ってグノーシアは帰る。

呪詛を振り切った。そう思い込んでいる敵を見てレオナールは「僕も大した魔法使いじゃないか」と笑い、血を吐いた。



「何故」

「だってここで死なないと、君の婿にはなれないのだろう?」



外は誂えたかのような丸く大きな月。焼けた屋根から見えるそれにレオナールは手を伸ばす。そして、その手を時折光が反射して紫色にも見える黒の長く美しい髪を持った少女が握りしめた。その瞳はアメジストのように美しく、涙に濡れている。



「こんな風に死ななくてもよかった」



ぶっきらぼうな声で伝える彼女の手は、握る強さを増す。


妖精と婚姻を結ぶ人間が稀にいるらしい。

その記述を見つけたレオナールは歓喜した。唯一と結ばれる方法をずっと探し求めていた彼はようやくそこに辿り着き……少しだけ落胆した。

条件があった。



1つは、気持ちを通じ合わせていること。

これは問題がなかった。


2つは、魂の状態であること。

即ち、生きていては結ばれないと知る。


そして最後に、自ら命を絶ってはならない。


なんでも、昔「妖精の伴侶にする」という名目で邪魔になった令嬢を始末していた国があったらしく、そこから妖精王と人間の取り決めでそうなったらしい。


それでは、何年待てばいいかわからない。

誰かと結婚させられるかもしれない。


そんなレオナールにとって今回の事象は好機でもあった。



「理由なんてなんでもよかったんだよ。それこそこういうことがなかったら、処刑されてもよかった」



一生に一度の恋だった。

それはレオナールにとっても、ラベンダーにとっても一緒だ。


レオナールがグノーシアに感謝することがあるとすれば、圧倒的に悪である存在が出てきたおかげで彼自身が悪となる未来がなくなったこと。そして想定よりも若い姿で愛する者と番えることだろう。



「好きだよ」

「……どうしようもない男」



苦笑したラベンダーはやがて身体を離れたレオナールに抱きしめられる。

そして二人はそっと、光が散るように消えていった。

どんな手を使っても望みを叶える系の男なので、レオナールはフェアプリでもヒロインたちに殺されるか知らないところでサイレント退場します。当事者は恋と呼ぶけれど、恋と呼ぶには重すぎるという…。

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