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旅立ち 4




ミーシャは夫の視線に苦笑しながらレオナールとリオンハルトに挟まれて陰陽石を作っていた。ヒュバードはミーシャのことが大好きというか愛しているというか何と言えばいいかわからないが、そういう超重量級の感情を向けているので不埒なことがあれば即座に首が足元に転がるという確信がある。


ニコニコと微笑んでいるけれど、絶対に機嫌は悪い。そう察せられるくらいには彼のことを理解できてきただろうか。そうミーシャは前向きに考える。



「ヒュバード、視線が痛いのですが」

「殿下は特に見てないのでサクッと終わらせてください」

「あはは、怒られてる」

「黙れ」



ヒュバードにとってリオンハルトは「(フィーネ)にしか興味はない男」であるが、レオナールは害虫だった。実は妹に「ヒューお兄様精神病んでるのでは?」と思われている彼はそれくらい妻だけを見ていた。ミーシャには一生余所見をしてほしくないとフィーネは割と真剣に願っている。幸いにもミーシャは気の多い女性ではないし、乙女ゲームの様々な件がなければヒュバードは確かに優良物件だった。それに本人も結果的に思い合える仲を築けている以上ヒュバードと一緒にいられて良かったと思っている。



「フィーネは自分で行動する方が解決方法引っ提げて帰ってくる可能性高いんだし放っておいたら?」

「そういうことではないと思いますよ」



怒られている原因があくまでミーシャが自分以外の男と一緒にいる空間に苛立っているということを理解しているリオンハルトは、そう言って出来上がった陰陽石を持ち上げた。


確かに均等に同量の魔力を注いで作るというやり方は非常に難しい。

それをレオナールは「フィーネなら数回で勝手に相手の魔力量を把握して合わせてくるんだけれどねぇ」という信じられない発言をした。


何が凡庸だ、とリオンハルトは唇を噛む。



──天才だ。



魔法の才能をこんなことでやっと知るとは。あくまでも治癒に関わる才能だけが抜きん出ているのだという認識だった。


そうではない。真に感嘆するべきは、グレイヴ公爵ギルバードに鍛えられたその魔力のコントロールだ。

それに気がついた者がいるとするならばきっとあの父だっただろうかと考える。



「何はともあれ、彼女の正確さを再現できるまでやるしかありませんね」

「リオンハルト殿下じゃなくてシュトレーゼ夫人が頑張ってくれてもいいけれどね」

「えへ…じゃなくて、ふふ……。私実は、魔力操作そんなに得意じゃなくって」



少し焦るように言うミーシャにヒュバードは苦笑しながら、「浄化って基本的に周りに損害出ないから力一杯使えるしな」と言い妻の頭を優しく撫でた。



「授業をもう少しできてれば良かったんだけどねぇ。まぁ、じゃあやっぱり殿下に頑張ってもらった方が勝率高そうですね。……というわけで特別顧問を呼んでいます」

「あ、もう出番?」



謎の煌びやかな仮面をつけた男が現れて、ヒュバードがミーシャを引き寄せて三歩ほど後退する。顔の半分が隠れているが、それでもその顔が端正な造りをしていることが見受けられる。

それでも機嫌良さげにレオナールたちの前に立った男は「久しいねっ!」とテンション高めに声高に言った。



「伯父上、どうしてここに」

「レオがパパ助けて〜って泣きついてきたからかなっ!」

「泣きついてはいないしパパとか呼んだことないよ、父上」

「そうだったかい?」

「そうだよ」



笑い合う親子に疲れた顔をするヒュバード。

彼は、アルバート・グレイヴ伯爵。色々と理由をつけて弟に公爵家を押し付けて自分は割と自由を謳歌している男である。


のちに彼の指導により陰陽石は完成するが、三人は揃って「もうアレとは関わりたくない」と言った。

伯父様はギルバードとはそれなりに仲は良い。仲は良いけど家族にはなかなか近寄らせてくれないので勝手に現れて見つかる前に去って行く。

なお、パッと見一人仮面舞踏会。

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