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そして復讐の鐘は鳴る 2




1ヶ月が経とうとしていたところ、王都へと帰ることになった。

レオお兄様から「あの妖精石の効果どうだった?」みたいな手紙が来ていてそれを見たお父様がとてもいい笑顔だったのでレオお兄様ってば一回くらい殴られるかもしれない。相手がお父様でなければレオお兄様ってなんやかんや要領いいので許してもらえた気がするけど、どうなのかなぁ。


弟のガウェインお兄様にはちょくちょく怒られているけど仲は悪くないし、多分憎めないキャラなんだろうなって思ったりもする。



「それにしても、本当に君まで帰ってよかったのですか?」

「はい」



心配そうな顔をするリオン様に笑いかける。むしろ私は帰らなくてはいけないのだ。

だって、私が帰らないと彼らは本当の絶望を味合わせられない。ぎゅっと扇を握ると、セシルは「そう気負うなって」と言う。



「しっかし、俺は帰ってくんなってどういうことですかね。俺ほど殿下への忠誠心のある人間って少ないと思うんですが」

「リカルド、君の場合はご家族がやったことが王都で大変な問題になっているので帰ると非常にややこしいことになるためですよ」

「分かってますよ」



こめかみを押さえ、「あの愚か者が」と殺気を必死に抑えたような声音で呟くリカルド様は話をきちんと聞いた後すぐに私やリオン様に土下座していた。



「この手であの愚か者達を殺して責任を取らせて頂いても?」



そう許可を得るかのように質問したハルヴィン様はお父様に「あれは君が手を汚す価値のないモノだよ。このままクラウス殿下によくお仕えすることがハルヴィン家を守ることにもなるだろう」と言われていたし、今までやってこなかった領地経営等の勉強もさせられていた。

連日頭から湯気が出ていた。一応成績優秀者ではあるので飲み込みは悪くないらしい。お父様が片手間にではあるけれど叩き込んでいた。

ハルヴィン様の婚約者はアリエッタ様という子爵家の御令嬢なのだけれど、正直に手紙を書いて「今後の婚約については君の意思に任せる。ただ自分はアリエッタを愛している」ということを記載したらしいのだけれど、アリエッタ様は婚約の続行どころか「王都に戻ってこれ次第籍を入れてしまいましょう」と返してきたらしい。



「俺の婚約者殿は思ったより肝が据わっていた。惚れ直した。すぐに帰りたい」



泣きそうな顔でそう言うハルヴィン様は多分それも王都に行きたい理由の一つかと思う。

みんな幸せでいいことだ。もうさっさとみんな結婚して幸せになればいい。なんかもう嫉妬とかはあまりしない。さっさとくっつかないと人生どうなるかわからないことを身をもって知っているのでみんな早く幸せになればいいとしか思わない。


胸に手を当てて、私の中にある魔力“たち”に意識をやる。



(あなたは幸せを願ってくださったもの。それを諦めるつもりはないけれど)



それでももう一つ、諦めきれない強い感情がある。

それはきっと悟られてはいけない。

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