そして復讐の鐘は鳴る 1
なんか私、めちゃくちゃ周囲の過保護度が増しているのだけど気のせいではないな!?
まぁ、ゆっくり先王陛下を癒す役割は与えられているけれど。それも渋々みたいな感じがした。ベル曰く「ある程度魔法使っておいた方がいいのに、変な人たちね」らしい。どういうこと?
「フィーネは他の人より魔力が多いからある程度使っておかないと多過ぎる魔力が身体に悪影響を及ぼす可能性があるんだから」
「初耳ですわね!?」
「逆に最近は使いすぎていたんだもの。昔も魔法の練習とか結構ビシバシやらされていたから使わないって事なかったし」
確かにそうだけど、そ…そんなになの?
まぁ、でも使いすぎも良くないらしい。ほどほどにって言われて少し混乱しながら頷いた。特に異常を感じたことはないけれど、私ってば結構繊細な身体なのだろうか?そう思ったけど、考え直せば繊細なら死んでいる気がするので繊細ってことはないと思う。
そんな話をしていると、先王陛下が薄らと目を開きそうだった。レイにお父様を呼んできてもらう。
痩せ細った身体をバベルが支えると、その人は咳き込んだ。
掠れた声が「ここは…?」と尋ねる。それに対してグレイヴ公爵家であると答える。
「リーディアナがいる訳だ」
「いえ、わたくしは……」
孫ですって言おうとすれば、お父様とリオン様が駆け込んで来た。
「陛下、お身体はいかがでしょうか」
「……ギルバードか。それではもしやこの子は」
「私の末娘です」
「フィーネと申します」
「……なるほど。リーディアナによく似ておる筈よな」
懐かしげに目を細める姿を少し不思議に思っていると、お父様が跪く。
「モルドレッド陛下。申し訳ございませんが、あなたにはもう一度玉座に座っていただきたい」
「……パーシーは何をした」
その声には厳かな響きがある。
それに対して今までのことを話し始めるお父様の中に聞き捨てならない言葉が出てきた。
なんでも、あの魔族騒動は陛下が魔王を封じていた魔道具を解放したことから始まっていたらしい。一応大人しく聞いているけど、ぶっ殺したい気持ちしか無くなってしまうな。殺してもクリス様は帰ってこないけれど、居なくならなければ私の心が解放されない様な気もする。複雑な心境だ。
「彼奴はろくな事をせんな」
そう言うかのモルドレッド陛下にお父様は資料を手渡した。それに目を通して溜息を吐く。
「三年あれば十分か?」
「はい」
「よかろう」
モルドレッド陛下はその日より、体調の改善に努められ、私たちはそのサポートと帰城の準備を始めた。