無理な減量は良くないと、男は女にこの例えで言うのであるが
「はぁ、はぁ」
女は大変である。
男のようなガサツで汚い存在ではなく、常日ごろ、自身のケアに気を遣うのである。
抓めてしまったお腹の脂肪、ビックリするほど数値が上がった体重計。
汗臭いだなんて思われるから、堂々なんてできない。第一、可愛いくなる努力って女から見たら、嫉妬というか、軽蔑というか、ダサーいというか。……嘲笑による足の引っ張りあいになる。
たまにこの、『胸が成長したから体重が増えたんじゃないんですか?』と、自慢してんのか、コノヤロー目線での黒い発言。飛び交う、飛び交う。
でも、胸がデカイことは良い事だ。ふんっ。
「はーっ」
御子柴は、久々のジョギング5キロを成し遂げる。
良い汗を掻いたあとに冷たいタオルでキーンと、冷やす。でも、それよりも
「ビール飲みたい!!」
彼女は高校生なので、ダメです。
「ちょっとは落ちたかな」
体の脂肪分って急につくから厄介なのよね。継続的な運動ってなかなかできないし、ここは先んじて。いつもの体重より落としておこうかな。
「よーし、もうちょっと痩せておこう」
「無理なダイエットは良くないぞ」
「でも!今の気持ちのまま、痩せておけば。来週の半額ケーキを食べ過ぎても大丈夫!」
「あのな、お前の毒舌よりも体に毒だって」
「なによ、あんた!!……って、相場じゃない!」
女子に見られるのも嫌だったが、男子に見られるのも嫌だった。しかも、自転車で挨拶!?走れ、テメェ!ここ、ランニングコースなんですけど!
「ダイエットかー。女子は大変だな。お前も女子だな」
「五月蝿いわね、川中達には言わないでよね」
「別に言わねぇーよ。努力してるところを馬鹿にするわけねぇーだろ」
自転車から降りて、御子柴と一緒にベンチに座って休憩。
「ところであんたは何してたの?」
「筋トレ。でも、走るのは辛いから自転車でしてた。丁度、5キロ走った」
「あんた、馬鹿ね。5キロくらいは走りなさい。舐めすぎでしょ。バスケ部のくせに」
落ち着いたら帰ろうと思っていたが、そーいう心配されたため。御子柴は相場なりの意見を求める形で
「聞くけど。無理なダイエットって、どれくらい危ないと思う?男子的に」
「そーだな」
相場はダイエットを我慢比べと考えて、御子柴にこーいう形で伝えてみた。
「今日一日、エロい妄想、実体験なしで過ごす。くらい危険だな。やべぇ」
「は?」
「女子には分からんよ。見えているもんが違い有り過ぎて。男の魅力より、女の魅力が優る」
胸、尻、太もも、眉毛、マニキュア、唇、目、ファッション、アクセサリー
「女子は可愛いとこばっかだから、そーいう妄想を捗らせるんだよ!それを禁止したら男じゃねぇーんだよ!!」
「ダイエット舐めんな!!それただの○○禁!!一緒にするな!身を削ってるんだぞ、こっち!」
「こっちは○○○○するの我慢してんだよ!!その苦しみわかんねぇだろ!お前等よりもキツイんだぞ!」
「なんだとコラぁっ!私がそーいう踏み込んだ発言まですると思ったか!?」
なにあれ?痴話喧嘩?みたいな、両者の怒号ある会話であった。ここ健全な公園ですので、そんな会話は夜でも止めましょうね。
「一度エロいの知ったら、たまんねぇわ!我慢できねぇんだ!!1週間も我慢したら、もう犯罪者になりそうだ!だが、理性でギリギリ堪える!あの感覚がダイエットと同じなんじゃねぇか!!男子的には!」
「煩悩馬鹿!!男ってアホ!ふざけるな!!ダイエットしてる全ての人に土下座して謝れ!!みんな、そー思われるだろうが!!女子がそー思われたら最悪だわ!」
「なにを!?そーいうもんだろ!女に食いたいケーキがあるように、男には揉みたい巨乳もある!」
「手を出すな!私、狙ってんのか!コラ!」
右ストレートで相場をぶっ飛ばす、御子柴。
「オラオラオラオラオラ!!」
そこからラッシュ!ラッシュ!!
右ストレート、左ストレート。フックも、アッパーも、キレにキレ!!
ドガアアァァッ
最後は金的キック!
「ふんっ。女のダイエットが分かっていない男は、最低ね。一緒にしないで欲しいわ!」
相場をKO勝ち!!そして、これはダイエットの方がキツイで確定で。
御子柴は相場の自転車に乗リ、相場は負けた罰ゲームとして、家まで走る事になった。
「殴られてこの仕打ちかい!!もう筋トレしねぇ!!」
「ほら!置いていくわよ!」