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嗚呼、スマホもある、ネットもある、電気も普通に通ってる!

東京の一流大学の卒業式も終わったが。実家の神社を継ぐために故郷の村役場勤務になるとわなあ。同期生の殆どは外資系や一部上場企業に勤めることになっているのに。


などと考えながら実家の境内を散歩していたらいつの間にか本殿にまで来ていた。

あー、竜神様ー。あなたのせいでこんなつまらない人生を送るなんて聞いてませんよ。小6の時にあなたは“翔大にはおもしろい世界を見せてやる!”って約束したでしょ?


竜神様は妄想だったのかなあ?いや、それにしてはかなり具体的な記憶だし。家族や学校の友達も竜神様と一緒に遊んで・・・・・・


ガツッ!

「むぎゃ!」

ベタっ!!


木か何かを石畳にぶつけた音と共に声がしたので振り替えると子どもが倒れていた。修験者の様な格好に身長の低さを気にして無駄に高い高下駄を履き、少女の様な顔だち黒髪に鳶色の目に長さ十センチ程の鹿の角。ああ、竜神様だ。

「イタタタ・・・・・・。お!少年よ!杉山翔大ってワシの友達を読んでくれ!」

「・・・・僕が杉山翔大ですが。」

「何?あイタっ!」

倒れた拍子で足首をひねったのか起き上がろうとして

また倒れた。

「貴様ー!不良にでもなったのかー!?」

「な、何の事ですか?」

急に何だよこのショタ神様は!

「髪じゃ、髪!なに茶髪に染めておるのじゃ!ゲイか、ゲイなのか!貴様までワシの事をそんな目で見とったのか?」

ちげーよ、馬鹿っ!

って言うと直ぐに不貞腐れて嵐を喚ぶから質が悪い。

「何で髪を染める=ゲイなんですか。ファッションですよ!てか、何をしに来たんですか?昔みたいにゲームですか?」

「おお!そうじゃった!」

そう言うと足首を魔法で治療してスット立ち上がり歩み寄ってきた。

「翔大、異世界で魔法学校に通ってみないか?」

魔法学校?ポッ◯ーとか、頭に花を咲かせた女の子とか居る感じの?

「娘がのー、今日から入校なんじゃが心配でのー。知り合いや部下を総動員して周りを固めたんじゃが、同級生枠が一人空いててのぉ。ついでなんで娘が苦労しないか見てやって欲しいんじゃ。」

あれ?小6の時の約束を果たしに来た訳じゃなくて娘の為?てか、娘居るの?そんなショタで?

「どうじゃ?翔大なら卒業後に魔法大学校に進学すればワシみたいに神様になれるかも知れんぞ?」

「神様になって何かメリットは有るのですか?」

コチトラ就活経験者なんだ、ほいそれと返事をしてたまるか。

「・・・・・・・・・・・・生死の概念がなくなるから、じゅ寿命がなくなるぞ。」

何か噛んだぞ?

「もしかして、竜神様がチッコイのって」

「チ、チッコクなーい!き、貴様の前だから人だった時の姿で降臨しているだけで、普段は身長180センチぐらいのナイスガイに化けとるわ!それに、ワシの父上だって今のワシと同じくらいの身長だったらしいのじゃぞ。ワシの人種的にコレが平均身長なんじゃ!」

普段は化けとるんかい!

てか、ドコの出身なんだよこのショタ神様は?

「ゼェ、ハア、ゼェ、ハア、で、行くのか行かないのか?向こうでの生活費と学費一切は面倒みるぞ。」

「いえ、こっちで就職が決まっているので。」

ショタ神様は腕をブンブン振り回しながら答えた。

「あ、心配無いぞ。一度入校してこっちに帰って来るまでの間は一瞬の出来事じゃから時間は進まん。」

異世界どうしの時間の流れってどうなってるんだ?

「何じゃ?不服か?」

あ、断ったら何かする気だ。

「行きます!」

「では行こう!」




一瞬で実家の神社から石造りの建物に囲まれた中庭に移動していた。

あわてて周りを見渡すが異世界というより、まんまイタリアだ。道行く人も普通の見た目だし。たまに珍しい髪の色の人が居るぐらいでかなり拍子抜けだ。

あ、ショタ神様が居ない。

〈オーイ、翔大。念話は通じとるか?〉

念話とか高校生以来だなあ。

〈あー、テステス。聞こえてますよ。〉

〈よしよし、では早速だが。目の前の受け付けで手続きを済ませてアリーナに向かってくれ。同じクラスにジランとか言うワシの部下が入校するから詳しい事はそいつに聞いてくれ。ワシはこれから予算委員会に出席するから先に帰るぞ。じゃあな。〉


え?放置プレー?酷くね?てか、予算委員会とかあの神様が出てる時点で碌なもんじゃなさそう。

あ、よく見たら服装もここの制服?に変わっているし鞄の中に書類一式が入ってるなあ。

〈あー、そうじゃ。ワシの事はくれぐれも口外するで無いぞ。特に娘にはバレるで無いぞ。〉

顔と名前を知らない相手にバレるなって難易度高くね?ま、どうでもいいか。バレても何時もみたくアイスをあげれば機嫌が治るだろう、うん。

とりあえず受け付けに並ぼう。


受け付けに並んでいる時に気付いた。みんな普通に腕時計とか着けてる!窓越しに室内を見ると薄型テレビに電灯、コーヒーメーカー更に中庭を見渡しても水道の蛇口に飲料とスナック菓子の自販機。あれ?ここって本当に異世界?

「君、名前は?」

気付いたら自分の番だった。

「杉山翔大です。」

「スギヤマ・・・」

黒髪の男の人は書類から名前を探しだした。

というか、言葉は通じるのか。

「出身は?」

「日本です。」

「あー、あった。ふむ、魔法が無い世界からの留学生か。私は君の担任を務めるクルト・ギーセンだ。以後よろしく頼む。」

そう言うと右手を差し出してきた。

握手の習慣も有るのか。ますます異世界感が無いなあ。



その後は、もう残念の連続である。アリーナの前でテロ対策の手荷物検査とかしているし。アリーナもめっちゃ現代風だし、パンフレットもビニール加工にカラー写真付きと来たもんだ。魔法要素が念話だけじゃん!どうなってるんだよ、ショタ神様!


「七階だよ、エレベーターが有るから楽だと思うよ。」

声がしたから振り返ったら、三人組のグループの中に居たー!てか、エレベーターもあるのかよ!

「あの、竜神様?・・・・・・じゃないや。」

よく見ると違うじゃん。見た目は似た感じだけど全体的に色が薄い。髪は灰色っぽいし目の色も灰色で角が無い。てか、そっくりさんが二人居るんですが!片方は女の子なのか?スカートだし。


「すいません、その子が僕の神社で祀っている竜神さまにそっくりだったので間違えました。」

「僕にそっくり?もしかして、僕を黒髪にして鹿の角が頭に生えてました?」

「そうそう、丁度そこの君みたいな色をした髪と目の色だよ。」


竜神様の関係者発見!となるとこの子達の中に娘さんが居るのか?後に居る女の子は・・・・・・、髪の色とか同じだけど似てないなあ。まず身長が竜神様より10センチは高いし。となると、竜神様の娘って灰色の女の子の方かなあ。そっくり過ぎるけど。


「ちょっと、待ってください。確認します。」

「スマホもあるのか・・・・・・。何か想像してた異世界と何か違うなあ。」

「異界の人ですか?」

「え?はいそうです。あ、名乗って無かった。杉山翔大って言います。」

黒髪美人さんから自己紹介が始まった

「私はアエラ=クラ・プロクルス。アエラでいいわ。でこの子がユラン・マリウスで、あっちがジラン・マリウスです。」

スマホで電話を掛けているのが部下のジランか。

「三人はこの世界の人?」

「ええ、そうです。」

「あー、よかった。ついさっき竜神様に“異世界の魔法学校に入校してみないか?”って言われて“行きます”って言ったら急に連れてこられて。気付いたら入校式の受け付けの列に並んでたし。ちゃんと入校手続きもしてあったりと訳がわかんなくて。言葉が通じるのは楽だけど何が有るのかわかんなくてさあ。ここの建物も見た感じイタリアっぽいし本当に異世界なのかもわかんなくて。」


多分このユランって人が娘さんだろう、アエラは竜神様と違って落ち着いた感じだし。


「確認が取れました。今日から三年間僕達と同じクラスになると竜神様が話してました。」

そういえば、竜神様が“部下のジラン”とか言ってたけど何歳なんだ?“同じクラス”って部分が間違えじゃないの?

「え?同じクラス?君達って何歳?」

「16歳ですけど、なにか?」

「僕、22歳何だけど、あれ?」


えーっと?たまたまこの三人が若いだけだろう。多分。竜神様が2000年以上神様をしてるとか言ってたし。ここの一年って何日なんだ?てか、何て名前の星なんだろ。

「ところで、この星の名前は何ですか?」

「え?地球ですけど?」

「え!?」

「え!?」

「一年の長さは?」

「365日で4年に一度閏年が有りますよ。」

「ここの星系に存在する星の名前は?」

「太陽、水星、金星、地球、火星、木星、土星、海王星に準惑星の冥王星。後は・・・、ねぇアエラなんだっけ?」

「後は、エリス、ケレス、マケマケ、ハウレアでしょユラン。」

準惑星とか普通は冥王星までしか知らんわ。てか、基本的に同じ世界なのか此処は?


「あの、翔大さん。竜神様から聞いた話ですと。翔大さんが普段居る世界とこの世界は魔法が一般的かどうかしか違いは有りませんよ。」

マジかよ・・・・

「ちなみにこの街の名前はコレギィウム(大学校)。翔大さんの居た世界だとイタリア西海岸にあるナポリに位置する大学都市です。」

あーナポリなのねー。そりゃイタリアしてますわ。

「後、科学技術や文化の水準も同じくらいなので日常生活に苦労は有りませんよ。」



日常生活に苦労しても良いから、もうちょっとロマン要素が欲しかった・・・・・。あぁ、テンション下がるわ。



神様も文明の利器で楽したい年頃なんです。

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