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ジランです。特技は魔法です


ヴー、ヴー、ヴー


枕元に置いていたスマホが振動したので慌てて画面を確認する



着信

ユラン



なんだ妹か

・・・・・・・出るか


とりあえず、通話


『あ、ジラン起きてた?』


「起こされた、だよ。もう、朝から何の用?」


『アエラがあんたを呼んでるのよ。今日引っ越して来るって話しだったけどなるべく早く来てね。今日のアエラ、過去最悪に機嫌悪いから。いい?』


アエラの機嫌・・・・・


昨日の深夜に旦那様が殺されかけた事件のせいか

正直いって巻き込まれたくない


「・・・・おやすみ」

『って、コラー。寝るんじゃないわよ。お姉ちゃんの言うこと聞きなさい!』


双子だし、そっちの方が妹でしょ。多分


『とにかく、午前中には来なさいよね!』


プッ


それだけ言って通話を切った


画面を見て充電状況を確認するが増えていない・・・

そのまま横の時刻を確認してようやく状況がわかった


5分も寝てない


二日間徹夜だったんだよ、寝かしてよ、ダメ?


ダメだ、アエラが機嫌悪いってことはユランも

機嫌が悪いんだ急がないと何されるかワカラン


ベッドから起き洗面台に向かう

うん、アエラが過去最悪に機嫌が悪いように

僕も顔色が悪い。隈が出てるよ、はは・・・


歯を磨きながら鏡で筋肉が増えたか身体を確認するが



増えていない!

男に生まれた以上少しでも男っぽくなりたいから

3ヶ月間みっちりと筋トレしたのに!


「はぁ・・・」


ため息しか出ない。妹のユランと同じ顔、同じ声、

同じ身長160センチで

向こうの方が少し筋肉質な位だから余計に・・・・・

神様は双子だからってそっくりにしすぎだよ・・・・


あ、神様は旦那様か


「・・・・・そういえばユランは胸無いなあ」






支度を終え、鏡に引っ越し先に行くための門をつくる


剣術だけしてたユランと違って、それなりに魔法は使える


トランクを1個持ち家のエントランスに着くとすぐにユランが現れた


「あー、来た来た。アエラはこっちよ。荷物は私が運ぶから置いといて」


ユランについていく形で階段を昇る

「旦那様って酷いのよ、アエラに呪いを掛けて追放

しようとしたのよ。幸い呪いが解けたのかアエラは

帰って来れたけど。顔に大怪我しちゃって」


怪我だって!?

「どうして怪我したとか言ってた?」

「うーん、実は私が魔法で怪我を治してから不機嫌に

なって黙り込んじゃって。朝食の用意とあんたを呼べしか話してくれなくて」


ユランって治癒魔法使えたんだ。そっちの方がびっくりだよ

しかし、治しちゃったか。面倒くさくなるかもなあ


アエラの居る部屋に着いたのか、ユランが扉にノックする


コンッコンッコンッ

「はーい、入ってー!」


思わず二人で顔を向き合った


あれ?機嫌良くね?



「何かした?」

「入ります」

〈何もしてないわよ〉


部屋に入るとアエラは窓際のデスクに向かってPCを操作していた

デスクの前には応接用のテーブルとソファーが置かれてまるで企業の幹部の部屋みたいだ


空中に半透明の画面みたいなものを6つも浮かべ

そこにメモ書きだろうか?文字を表示させながら

PCの画面と半透明の画面を交互に見ながら

新聞を横目に読んでいた


〈アエラは何してるの?〉

アエラに一瞥したユランに聞いた

〈先月から株を始めてからたまにこんな感じになってる〉


〈えー・・・・〉


空中の画面は変性魔法か空間魔法の応用だろうが

それを表示しながらPC操作と新聞読むとか混乱

しないのかよ


「あー、メガネは気にしないで。目が悪くなったわけじゃなくてカッコいいから伊達を着けてるだけだから」


ツッコミたいのそこじゃないよ!

どんだけ魔法を乱発する精神力が有るんだよ!


「まあ、座って待ってて。あと、ユーラーンー、甘いもの食べたーい。3人でオヤツにしようよー」


「はーい、待っててー」

バタンッ


ユランは足音をたてながら台所に向かったようだ

・・・・・・何か疲れるなあ


とりあえず座ろう、うん


「そうそう、ジランさぁ」


アエラがPCに顔を向けたまま話し掛けてきた


「あの糞親父の結界破る方々教えて」

「ダメです!」


「っち」


舌打ちしたよこの人!

「言っておきますがお嬢さ」

「はい!ストーップ!ストップ!」

アエラが左手を突き出しながら発言を制した


「私達しか居ない時は主従関係は一切抜きにするんじゃ無かったっけ?」


〈宛てユラン 発ジラン アエラの機嫌は未だに悪いもよう。警戒されたし〉

「ごめん」


「うん、わかってくれてありがとう」


「で、だけど。アエラ、お父さんが嫌いなのは分かるけど昨日のはやりすぎだと思うよ」


「何が?」

アエラが睨みつけてきた。胃がキリキリと痛むのがわかる

本人には自覚が無いのか、アエラは嫌いな相手には問答無用で

殺気をぶつけて来るから困る


「昨日、お父さんを殺そうとしたんだろ?

龍殺しの魔法を使って心臓を突こうとして

失敗したみたいだけど。その後、脇腹に

蹴りを入れたんだって?お父さん、あばら骨

が何本か折れたんだよ」

「龍殺しの魔法?」


怪訝な顔をしたアエラが今度は手を止めて睨んできた


「そんな便利な物あるの?」


「・・・・・昨日、手刀が弾かれなかった?」


アエラが椅子に深く腰掛け顎を触りだした

相変わらず考え事をしているのが分かりやすいが

無意識に魔法を使ったのか?

かなり高度な魔術師でも術式の準備に数年は

要する複雑な魔法なんだけど


「確かに弾かれはした。でも魔法は使った記憶は無い」

「本当に?」

「うん、無い」


無意識に魔法を使ったようだけど

それはそれで厄介な話しになる

アエラは魔法の勉強をサボりはしていたが

現に自己流の魔法を幾つか使用しているし

次に旦那様に会ったときに怒りに任せて

龍殺しの魔法以上の魔法を使うかもしれない


「じゃあ、たまたま魔法が出たってこと?」

「しつこいなあ、そんな魔法は知らないわよ」


どうやら本当に偶然みたいだ

後で旦那様にお知らせしなければ


「そういえば、アイツあばら骨が折れたって?」

折れたどころか娘に殺されかけたショックで

仕事が手についていないんだけど


「直ぐに治ったから問題は無いよ」


「フーン」

見るからに不満そうだ


〈ユラン、スマホで遊んでないで早く戻って来てくれ

ー。胃に穴が開きそうだ〉

〈ヤダ、怖い〉

〈ヤダ、じゃない!お兄ちゃんの言うこと聞きなさい!〉


「まあ、いいや。そっちより私に掛けられた呪い

について何か聞いてない?」


実は旦那様がアエラを放り込んだ後に

呪いを掛けている途中にお倒れに

なられたのを僕が発見して代わりに呪いを

成就させた件は黙っておこう


旦那様からも呪いの内容は伝えておいてくれと頼まれてるが


「一通りは聞いてはいるよ」


本人の為にならない部分は伏せておこう、うん


「ふーん、メモ取るからちょっと待って」


ガチャ


「お待たせ、シュークリームと紅茶を持って来たよ」

「おー、ちょうど良いや。ユラン、ジランが私に掛けられた

呪いについて説明するところだよ」


そう言うとアエラは椅子から飛ぶように立ち上がり

応接用のテーブルまで走りよってきた


こういう時の仕草は年相応なのになあ



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