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[現代社会にダンジョンが現れたら~注意・異世界業務は役所のお仕事です]  作者: 123456789
異世界への一歩を踏み出したらお役所は戦争です
14/14

【03-05:5月】

妖魔戦争後。

この戦争では魔法兵が非常に活躍したことと、日本の武器である銃や車両兵器が活躍した戦争だ。そして戦争の攻勢作戦に参加した兵士の中で、第2中隊に所属した者は奄美信雪の強者ぶり、古参兵の有難みを実感した。兵士曰く古参兵一人と一個小隊は同等である、魔法兵の古参兵は一個中隊と同じである。

こんな風に報告し、ヴィエラ賊、魔法ギルドの二つは、今すぐに魔法と車両と銃を揃えるのは無理なので、信雪に教鞭をとってほしいと頼む。

信雪としては迷惑ではないが、美味しくない料理を食わされるのは嫌なので、自衛隊の方とも協議し、一応受け入れることになる。

海岸に作られた訓練キャンプ、ここで日本語、ガンゲイル語、ヴィエラ語、新しく妖魔語の四種類の言葉と、自衛隊装備の41式熱線突撃銃、41式300mm多目的銃剣、41式6・8mmPDW、41式高熱刀身軍刀を手配し、倉庫にあるのも出して訓練を受けに来る兵士達を徹底的にしごき、海産物の飯を出しまくり、魔法についての講義も行う。



一か月間みっちりと鍛え上げた兵士達、日本シャルクク村海岸訓練キャンプ訓練生の一期生だ。

卒業の証としては41式高熱刀身軍刀が与えられる。

一人一人教官から渡され短く言葉を与え、敬礼後に握手するというモノだ。

魔法兵50名、ヴィエラ歩兵50名、自衛隊第16旅団陸士教育50名だ。

卒業後は個人個人違うが、真っ先に教官に銃を売ってくれと言わないヴィエラ兵士は居なかった。信雪も考えがあったらしく今は待てと短く伝える。


訓練生の受け入れは一時的に停止し、シャルクク村は再び落ち着きを取り戻す。

そうやって悠木双葉、佐久間勘八、竜胆・フィリス・音符、奄美信雪の技術者の四名による、この世界では珍しい武器の種類である銃を製作した。

205式6・8mm自動歩兵銃、通常の滑空式銃身にレールマシンガンの機構を組み込み、この機構に紋章機械工学の技術を使った装置を代替とした。

41式300mm多目的銃剣をセットした上で使用する。

この41式銃剣と同じような銃剣の205式300mm多目的銃剣が完成した。

これらの兵器の生産・販売は谷口総合商社に任され、またウルクイル特産の薬草を使ったポーションも販売される。

第16旅団にも試してもらい、満足がいくまで徹底的に改良し続けた。

また輸送用の手段がいるために41式大型トラックをモデルに制作された41式中型トラック牽引車両も試作されるも、銃の生産の方が優先的とし、一時的に開発は停止し。

そうやって開発した205式6・8mm、205式300mmの二つ。

その費用はあまりに安く、自衛官も購入を希望する者がいる程で、また性能の方も十分魅力的な銃器の一つだ。

しかし、ヴィエラ側は突撃銃がモデルのこの銃に難色を示す。

妖魔戦争で突撃銃とはよく当たらん銃という話は広まっているのが障害となる。

そこで連射性能を犠牲に命中精度の向上と、射程距離の向上を図る。

そうやっての銃器が、上級選抜射手用の熱線銃をモデルに作り直し完成した205式6・8mm自動歩兵銃Ⅱだ。

性能比


①205式6・8mm自動歩兵銃Ⅰ(装弾数40発)

射程距離:400m、連射性能:120発/分。全長:910mm、全重量3・5kg

300m先の的95%の集弾性

②205式6・8mm自動歩兵銃Ⅱ(装弾数40発)

射程距離:500m、連射性能:90発/分、全長:940mm、全重量3・7kg

450m先の的に98%の集弾性

③41式熱線銃(上級選抜射手用)(射撃の度にチャージが必要)

射程距離:780m、連射性能:60発/分、全長:700mm、全重量3kg

750m先の的に99%の集弾性

④41式熱線突撃銃(装弾数180発)

射程距離:600m、連射性能:240発/分、全長:680mm、全重量3・5kg

500m先の的に92%の集弾性


第1期生の卒業生に谷口総合商社が、205式のⅠ,Ⅱを試してもらいⅡの命中精度の高さは好評で、またⅠの連射性能と軽量さも好評だった。

これを試射する催しも開き、積極的に205式の売り込みを開始する。

また狩猟用に150ポンド折り畳み式クロスボウ、これにマガジンを取り付ける連弩タイプの物を出すと銃に続いて注目を浴びる。谷口はあくまでもこれは弓であることを強く強調し販売した。

またシャルクク村の魔法ギルド第1支部のエマも取れた薬草とポーションを販売していた。

この催しは成功に近く、ヴィエラ族の兵士や兵士を家族にも持つ者や戦死に憧れる者が購入を希望し契約を数多く取り付けた。

しかし。

ヴィエラ族の族長の顔は微妙だ。


「何が気に食わないんだ」

「私は銃は確かに欲しい、しかし兵を運ぶためにトラックがなければ意味がないのだ」

「いえてらあ。移動速度が低ければ間違いなく戦場には迅速とは程遠い、まあそんな事も有ろうかと一つのトラックの試作品がある」

「41式ではないのか?」

「41式は性能も値段もよいが、やっぱり高い」

「仕方あるまい、日本製は基本的に高いからな」

「ああ。そこで商社は考えた、安くて一個小隊規模を運べれば値段もよくなると」

「確かに一個小隊なら十分な性能だ」

「しかし、妖魔戦争で二階建てはあまり良くないことも判明している」

「何故だ」

「乗り降りの度に時間がかかる、ねそれが指揮官の不満なんだ」

「そういうものなのか」

「そこで二階建てを敢えて採用せず、一回のみの二両の連結荷台を使う事で一個小隊規模の50名が二つの荷台に分かれて分乗する、それに対し運転手は一人で十分だが、護衛やなんやらを考えて助手席には一人」

「値段は」

「まだ開発途中でね」

「購入予定をたてたい」

「試算の方は41式の10分の1だ」

「10両」

「まいど」


試作車両が提供される。このサービスの良さに族長のラウラも機嫌が良くなる。

キャンプでの訓練生だった卒業生たちが性能を試し、色々な面で41式には劣るが、そのあまりに安い値段には納得した。

こうしてシャルクク村の催しは成功し、やっとのこと産業が根付き始めた。

だがヴィエラ側もライセンス生産の申し出を行う。

何れ複製されるのは目に見えているので、波田間と谷口が交渉を進め。

一定の数に制限した技術者テストを行い、商社に研修生として預かることを約束した。しかし前提としては合格した者だ。

これを行うのは契約の完了後となる。



翌月に生産を完了し、その次の週には205式中型トラックの開発に乗り出す。

ベテランの魔法古参兵である奄美信雪、同じように奴隷兵士出身のシャルククと非常に馬の合う二人の為に、ライセンス契約を行いこのシャルクク村での教育をよろしくの頼まれるので、了解したと答え、ウルク=レイドの魔法ギルド本部にも簡易的な生産設備、整備設備、弾薬の生産設備の提供も約束した。

代わりにライセンス販売の利潤の数%を戴くことになる。

ちなみに奄美は結構な資産家の為に相応の資金がある、しかも元金保証の投資プランに入っているので相応に帰ってくる額も多い。

すでにダンジョンでの資源については枯渇は全くない、ある程度の研究は進み、周防や村といった企業は飛躍の一途だ。その為に自衛隊の物資運搬にも多少は口がきけ、また16両断も細い補給線が余りに心許無いのも自覚していた。その為に生産設備を持つというプラン魅力的に映る。

結果的に信雪のシュルククとの約束は、諸事情の結果もあって、全会一致の満場一致で可決されたようなものだ。反対する理由がないからだ。

一番に弾薬の補給、次に車両の補給、これらの為にどうしてもこの世界の工業力を上げなければならないのが、無理難題のような第16旅団の悩みの種が解決した。

ちなみに16旅団は新規の50名の隊員を持ってようやく大隊規模に発展しつつあった。

ひたすら訓練と学習の毎日の16旅団だが、時々ダンジョンに入ってLv上げも行う、最低でもLv20が1人前、Lv100がベテラン兵、Lv200は神様と思えといった具合だ。

この中でバードスーツは常に悩まされる部品の品薄に、シャルクク村も含めて悩みの種だ。困ったときは信雪に相談する。

パワードスーツはこの世界にも一応ある、魔法の遥か高度な技術を使えた時代の魔導技術の魔導甲冑だ。その複製品を製作したのが信雪たちの為に、エマも呼ばれて相談され、エマもパワードスーツの事には音符より聞いていたので、何とか記憶を呼び起こし信雪と合同で研究に乗り出す。

このパワードスーツ開発には、防衛研究所からも派遣され、第15旅団よりも第16旅団経由での整備小隊の派遣が決まる、ヴィエラ側も魔法兵や鍛冶屋などを試験を受けさせて合格した者には大金を約束するなど破格の待遇を示す。

しかし、技術まだあっても資源というモノが完璧にか細いので、開発者たちは何度も挫折を繰り返し、時にはやってられるかあといった事件などもあり、頑張ってと言っても進歩する技術はめきめきと上がる。

特に動力に関しては信雪の紋章学の紋章機械工学から使用でき、昔造った粗悪な複製品をまず作って、日本の技術とこちらの世界の技術を混ぜ合わせた物を作る。

それは妖魔戦争後に行われた大規模な開発だった。



8月上旬、完成した41式シャルクク歩兵用パワードスーツ。

人工筋肉の耐久性能だけを追い求めた筋肉、使用される装甲も耐久性だけを追い求めた物、全体的に非常に安価で頑丈な物だ。

41式普通歩兵用高機動パワードスーツ<武尊>の100分の1のお値段。

これだけ安価で頑丈だが、肝心の性能に関しては酷い性能だ。

だが自衛隊や、シャルクク村のパワードスーツを知るヴィエラ族の兵士からは、売ってくれと言われるほどにこちらで性能は良かった。

そこでヴィエラの賊の技術者の中でも武勇に秀でる者を選別し、ヴィエラ仕様に改良するプランが提出される。開発責任者の谷口は豪快にハンコを押した。

これによりヴィエラ仕様のパワードスーツ開発が始まる。

同時に次の性能を求め後継機開発も始まり、第16旅団用の男性用、女性用、搭乗兵用、衛生兵用の四種類にバリエーションの物も開発が始まった。

この世界で一大工業開発拠点となったシャルクク村では、ポーションの作成、食料の確保も急務となる。

日本政府も異世界での開発が本格的に始動し始めるころ合いを見て、農業プラントの建設を行う為に資材と技術者を送り出す。

この為に第16旅団の人員は増加し二個中隊規模、大隊にも近付いた数だ。

シャルクク村の人口は一気に増えすでに100名を突破する数になり、村は村で活気づく。

村や自衛隊の主な食料は海で採れるカニ、エビ、魚、貝、これは全て食べられるので美味しく食べられる。

村唯一のコンビには商売繁盛は良いが、本職の仕事が一切ない哀しい状況でもあった。

この村のコンビニに目を付けた周防真、戸村仄は資金を提供し、物資の手配も行う、また異世界唯一の日本企業にも協力を要請し、このコンビに力を入れた。

結果的に通常のコンビニの大きさから4倍近い大きさに拡張された。品揃えもコンビニで売っている通常の商品から、この世界では法律が色々と無いので、銃器まで販売、魔法ギルドからポーションの仕入れ、自衛隊から海産物の仕入れまで行う、貴方の生活に必要な物を、こんなキャッチフレーズでの販売も行う。

これらを一人で行う緋村瞳子は村一番の働き者として知られた。


翌月に農業プラントが完成した。

農業プラントの技術者たちは維持・管理・生産のために技術者を残し日本に戻る。

この月に第16旅団の第2中隊第1整備小隊、防衛研究所、シャルクク村、谷口総合商社、魔法ギルドシャルクク村支部、アルク=レイド魔法ギルド本部派遣員、ヴィエラ族派遣員の涙ぐましい努力が結び、一つの完成を持った。


205式ヴィエラ仕様普通歩兵用

41式普通歩兵男性用

41式普通歩兵女性用

41式搭乗兵用

41式衛生兵用

この五つが完成した。

ヴィエラ族への販売は総合商社に委託される。

この商社にはヴィエラ族技術者も参加し、今はヴィエラで開発するよりもこちらの方で開発した方が正しいと判断するものが多かった。

帰ってきた技術者が少ないことに頭を痛めるも、直ぐにやってきて試作品を提供した谷口には一つも文句を言わず交渉に臨む。

この205式ヴィエラ族仕様は、このヴィエラの戦士隊に正式に採用される、書毀棄の物に比べば格段に性能が明かり、それに対しての費用増加は許容範囲内だからだ。

これに合わせて205式中型トラック、205式自動歩兵銃Ⅱも正式化の決定が行われる。


だがヴィエラ族の財政は厳しい、そこで緋村瞳子が打ち出した大草原の治水用水路による農業地への大開拓、この為に調査などを含めた者を政府開発援助からひねり出した。

ヴィエラの族長は直ぐに話を通し、根回しを始め、邪魔な障害は迅速に排除、驚くべき速度での承諾を行う。


こういうったことのおかげで、ヴィエラの間では日本は水と麦を与え、銃と鎧を売却したと言われた。ヴィエラ族は人族の3倍は生きる、日本の最高齢よりも長生きするのだ。

当然の様にどんな長期でも彼らからすれば一つの世代、ラウラとの交渉には緋村も経験不足を否めず、苦戦する中、信雪がこっそりと兵士に手紙を送り急いで麦を得ようと伝え。

兵士も暇すぎる時間を持て余していたためにこれに乗っかり緋村の援護を少しした。

精兵なので減俸で済む。

そうして決まった開拓計画、日本政府の異世界でのことに苦慮して居だけにこれには飛びつく、何より大草原を麦で満たせば日本のイメージは非常に高まる、それは今後の日本の行動に良いことに繋がるのは目に見えた。

これに外務省から一人の男が派遣された。

緋村が交渉の経験のなさに上に泣きついたからだ。

外務省の官僚の杉原だ。

信雪のゲーム仲間でもあるためにやはり普通のエリートとは毛色が違い、外務省でもエリート中のエリートだ。何よりヴィエラとの外交交渉の代表を務めた経験から上の覚えが良かった。


「お久しぶりです杉原さん」

「おお、元気そうだ、しかし、開発とはね」


緋村瞳子が笑顔で頷く。


「彼らに麦と水を、結果として日本の国益につながりますし、あの地域の紛争が収まればより良い方向性を見出すと思っています。いえ判断しております」

「だろうな。新米さんから良く成長したな、若者の成長は早い」

「色々です。それほど広くはない所ですので話しながら」

「了解だ」



「志雄」

「白兵!」

「鍬原!」


仲良しコンビの志雄と信雪だ、暇なときは大抵一緒にいたりする。


「開発か?」

「そうだ。緋村さんが交渉には厳しい上に援軍を求めて私が来ることになった」

「確かになあ。交渉事には向いていない訳ではないが、交渉の専門家に適うほどじゃないのは確かだ。こればっかりは」

「かなり頭はいいんだけどね。不向きなのかな」


二人は基本的に人を悪く言わない為に訳すと向いてないよに近い感じだ。

だが緋村もそれは良くわかっている。

頭は良い勉強はでが、交渉事はまた別の話、外交ならば専門家の方が良いのは当たり前と思うからだ。

そういうモノが民族的な価値観なのかもしれない。


夕方という事も有って、昼間に連絡してこの時間は日本がどれほどここに重きを置くのかがよくわかる。

経済的にはまだ大したことがないレベルだが、すでに開発済みの技術の中には日本での試験的な運用も検討されるなど、十分採算が中・長期的に取れると判断されていた。

日本のイメージを高め、日本製品の持つ技術力でこの世界を開拓する、その為の技術開発がすでに成功している分野もあるのだから、手を引くわけにもいかなかったりする。

何より異世界のこの世界の新種の植物などは、すでに薬の役に立つ、もしくは一つの巨大な薬草地帯にもなるかもしれないために、日本としては精一杯投資したいのだ。


シャルクク村での次の開発は用水路建設の為の土木作業用、治水工事用、農作業用、将来の農村が作られる時のための建築作業用だ。

ヴィエラ族の全面協力のもと緋村瞳子が主導する大草原の開拓事業。

すでに開発されている工業用魔法や土木作業用魔法により、信じられない速度で進む。

谷口も開発の為に難しい判断を行う。だがどんな時でも安全性だけは頑として譲らなかった。信用を築くのに10年、失われるのに一瞬という言葉があるからだ。



11月、魔法ギルドが総力を挙げて行う基礎工事、奄美信雪、来栖銀河の二人参加し、そのあまりに便利な土を掘削する魔法でもある重力系の魔法を請われることになるが、これは危険すぎて無理と断るだが、オリジナルのもう一つの系統は教えるので代用もできるという事も有り、好評だった。


205年12月中旬。

急速に開発が進んだ大草原、すでに緋村瞳子により計画的な農業が一部で指導しているなど、ヴィエラ族にとってみれば感謝してもしきれないほどの念がこもる。

日本側としても、野党に文句を言われない、ジャーナリストに文句を言われない、好きなように出るこの世界の暮らしは、確かに日本よりは便利でないが、なんとも居心地が良い場所であることは確かだ。

翌週には大草原の水路が完成し、用水路に水が大量に流れ、ヴィエラ族に水をもたらした。

年末には帰られると思ったもので、年末年始は久し振りに日本に戻る。



翌年、正月が終わってから異世界に戻る。

直ぐに仕事に戻り、土木・建築作業用の車両、パワードスーツ、道具などは飛ぶように売れ、日本側も去年から見越して自衛隊基地に蓄積していた物を一気に売却し、大草原の特産品である砂鉄を購入する。大山脈より流れる子の砂鉄は日本の物より少し質が良い程度だが、鋼に作るには技術がなく使用されなかったのだ。

日本側からすればやっとの事の資源だ。

諸手を上げて喜んだ。



役所の中の土木建築課、村の中でも一番の筋肉系の若宮は、意外なことに建築の大学卒である、役所に入ったために資格がないために苦労するものの、トラブルには呼び出される村の警察官約も担当する、非常に多忙な村人の一人だった。

同じ課に勤める長年の相棒の来栖は土木担当なので外回りが多いが難点だ。

しかも村は日に日に大きく発展していくようで誇らしく嬉しいが、新人が本意と思うのは許される子だろうと若宮ですら思う。

そこに一人の若者が飛び込んでくる。

見ると


(フェルパー?)


何やら身振り手振りで話してくるが、残念なことにこの村でこいつの言葉が分かりそうなのは信雪ぐらいだ。それかレオンたが、二人とも非常に多忙だ。

特に弟子の居ないレオンは紋章建築学の研究もうあり、また建築の仕事もあるので超多忙なのだ。

無線を取り直ぐに信雪を呼び出す。

駆けつけた信雪が若宮の話通りフェルパーの男に話しかける


「何処から来なすった。」

「言葉が分かるなら助けてくれ」

「落ち着いて落ち着いて、まず名前は言えるか」

「リックだ」

「俺の名前は奄美信雪、フェルパーには知り合いの魔法使いがいるが生きているか」

「名前は」

「アルフキだ。魔力無しの魔法扱いのアルフキ」

「知っている有名な魔法使いだ。砂漠に水を作る研究をしている」

「了解だ。落ち着いたな。用件を」

「王都が陥落した」

「了解了解。こっちの人達に伝える、いいか、早まるなよ」

「もちろんだ」


だがリックは力尽きまえに倒れた。

近くに居た若宮が受け止める。

その顔は珍しくばつが悪そうだった。


「信雪、こいつは女だ」

「は?」

「まあいいから、加藤!」


若宮の叫びに近くで作業をしていた加藤が眼鏡をはずして振り向く。


「この女性を介抱しくれ」


加藤が頷き、急いで二人の元に歩いて来る。


「なんやフェルパー?なんで?」

「詳しい話を聞こうとしたら倒れた。まあ足を見てくれ」


二人が足を見ると、女性フェテルパーの足は酷い火傷やらケガやら、普通なら歩くことを断念するのも十分わかる。それを超えても走ってきたことを考えればすさまじい精神力だ。

信雪が低レベルの治癒の魔法を使いリックの傷を癒し体力を回復させる


「一応聞けた分からいえばフェルパーの王都が陥落したそうだ」


若宮、加藤の二人は不思議そうな顔をする。


「アルク=レイドのような場所らしい」

「そ、そな」

「緊急マニュアルは」

「拡声器」


若宮が直ぐに拡声器を取り、信雪に渡す。


「テステス。あー、役所よりお知らせです」


広場にいた通行人たちが注目する。


「本日、フェルパーの王都が陥落したとの事が知らされました」


ざわつき始めるが信雪はつづけた。


「フェルパーより援軍の要請か、それとも難民の保護か、分かりませんが何らかの行動を起こすのはまずは控え、情報を集めた後に協議することとなります。程よい感じで作業は中断し、今後の動向に注してください。またもしかすれば砂漠での作戦も考えられますので、この点においては今後次第です」


すでに戦争を経験したために経験者は非常に落ち着いて冷静に行動した。

非戦闘員かもしれないが、人間でもないモノが襲って来れば戦う道しかない。

平和な反面、この周辺地域はまさに戦極の真っ盛りの群雄割拠だ。



「頼むぞレオン、頼みますよ加藤さん」

「任せてくれ」

「自信はないけど、なんとかするわ」


自衛隊の病院に搬送してから二人に頼み、作業は中断され、あちこちの上層部が集まる

総務省異世界課及び外務省派遣人員

課長・緋村瞳子

杉原保月


シャルクク村上層部

村長・波田間忠孝

副村・長速水茜

総務担当・四之宮志雄

魔法担当・奄美信雪

谷口総合商社社長・谷口斎

同社副社長・佐久間勘八

魔法ギルドシャルクク村支部支部長・エマ・ミルスティ


シャルクク村北陸上自衛隊第16旅団

旅団長・西田冬樹一等陸佐

副旅団長・江戸川平蔵二等陸佐

参謀長・口田東輝二等陸佐

第1航空隊隊長・穂村恵南1等陸尉:UH1J

第2航空隊隊長・佐藤雄一郎1等陸尉

防衛研究所分室室長・暦奈月


女性の幹部をと言いたいところだが、この村の女性は非常に少ない上に当然の様に幹部も少ない、その為に女性を増やしたいと思っても無理だ。居心地が良くても女性が好みそうもない場所だから仕方のない話だ。

しかし、戦争は待たない。

意見の前に情報整理。

フェルパーのリック(女性)が求めたのは助け、知らせたのは王都陥落。

最初の頃はおバカな発言が多かったというより全てだったう奄美信雪だが、時間とともにかなりできる方に入ることは分かっていた、また魔法古参兵でもあり、ガンゲイル王国とダジギス王国の1年戦争を生き抜いた兵士だ。

この1年の間に奴隷兵士仲間から徹底的に語学を教えられたらしい、その為にこの辺りの種族の言葉は全てマスターという多才ぶりだ。

魔法の指揮官としても優秀、また魔法技術者としても十分優秀な人材だ。

信雪が作成した言語に関する指南書はあちらこちらで読まれるベストセラーだ。

この本は地球でも研究される異世界への手解きともいわれ、手に入りにくくなりそうだが、印刷しまくって大量生産だ。


シャルククも似た様なものだが、あちらは明らかに運営よりなのだ。信雪の方はどちらかと言えば魔法を使った現場に向いた方だ。

エマや5名の姉弟も、シャルククの教育方針でこの辺りの種族の言葉と文字が使える。

一言でいえばこの7名に助けられることが多いが、7名で戦争は出来ない。


まずは総務省・外務省の官僚の二人も、これは非常に不味いと言わざるに終えない、上には伝えるしかないが、第16旅団の方には上から好きにしろとお達しがすでに降りているのでとても迅速だ。

こういう場合に警察官なども必要だなとも思えるが、1人前に育成するのに一か月、下手にした戦争が終わっている可能性の方が高いのだ。


前回の戦争同様に今回も援軍を求めたと判断する方向性で調整に入る。

その頃に病室でリックは目覚め、近くのフェルパーの少年が話しかける。


「やあ」

「君は」

「僕はレオン、シャルクク、ディーバの子供の末っ子だ。」

「私はリック」

「ここに来るまでは覚えていかい」

「・・アマミ殿は」

「彼奴なら今頃大人に混じっての話し合いだ。凄く頼りになる奴なんだ」

「そうなのか」

「それでどうしたの」

「何日前かは覚えていないが、王都が陥落し、私達女子供は逃がされた」

「そうか、悲しく大変で辛かったね」

「優しいな君は」

「だけど、もうひと踏ん張り、その後どうしたの」

「アルクイルを目指すひたすら逃げた。皆は既にボロボロで元気だった私がここまで走ってきた」

「なるほどなるほど、うん理解した。その人たちを助ければよいのだね」

「出来るのか?いや頼む私が言うのもなんだが」

「大丈夫大丈夫、もう戦争は経験したからね。少しの遠出ぐらいで済めば大人も納得するさ」

「ありがとうレオン」

「うん。じゃあ個々のメモ帳にこちらの人との会話の為に表を作っておいたから、これね」


メモ帳を渡す。

リックが受け取り、レオンは近くの無線機を取って伝える。

これを受け第16旅団は救援に向かう事になり、会議の場にいた二つの航空隊の攻撃ヘリではなく、救援のための人員輸送などを考えたチヌークだ。


チヌークでの往復輸送で、フェルパーの老人、女、子供、病人、怪我人などが約600名、これらの救助の間にヴィエラ族に連絡し、条約に従い救援に駆けつけた。

この救援には助かったことに貴重な食料などに薬に衣類、マントといった防寒具も運んだことだ。このおかげで助かり、エマの植物魔法で癒され、治癒され、治療を受けた人々は、疲れていた事も有り、避難所の中でぐっすりと眠る。

自衛隊の者は救助など任務の中に含まれるので、こういう場合頼りになった。



今回の救援にはリム=アリーシャを中心とした魔法ギルド本部魔法兵小隊小隊長のリム=アリーシャ、ヴィエラ族族長直属救援中隊中隊長のアームブラスター・クロウの両名が指揮する部隊で同じ戦場帰りの戦友たちだ。

今回は大きな戦になると踏んだ族長は、借金返済も含めて救援をまず送り、次に援軍かそれとも参戦かを決断する。

今の所参戦が多数派だ。援軍に関してはそんなまどろっこしいことをといった意見らしい。

これに波田間がヘリで交渉に訪れ、この耕作地を放棄することになるとはわかっておられますか?と問いただし、参戦派も心もとない食料の事も有り、ある程度の援軍で決まる。

この辺りで動乱を引き起こすわけにはいかない波田間の必死さがよくわかる。


落ち着いたころの夜。

スピーア砂漠の王都陥落の話が段々と見えてきた。

まず今より七日前、いつも通りの日常の中、王都の王城の地下通路よりリザートマン、ケンタウルスの二つの妖魔達が侵入し、王城の兵士より城下町の女・子供・老人は直ぐに逃げる用に指示され、荷物などを纏めその間に次々と妖魔は侵入し、荷物を作り終え逃げ出したころには王城は陥落、結局荷物などは置いて逃げ出すことになり、着の身着のまま手に持つだけなどでに出した。

この時にはまだ兵士は居たが、負傷者や病人も同時に連れて逃げた。

その後にアルクイルを目指す逃走劇。

今日に至る。

老人・子供は戦えないが、成人した女性、回復した男性などをまとめ上げれば相応に兵力にもなり、何より彼ら自身が国を取り戻すために戦うのなら力を貸そうとリックに提案した。

王家最後の生き残りのリックはこれを承諾した。

こうしたフェルパーの王都奪還が決まる。



205式シャルクク歩兵用パワードスーツをモデルに開発された41式普通歩兵用パワードスーツ、この41式普通歩兵用パワードスーツの後継機の42式普通歩兵用パワードスーツ、この42式をモデルに今の内にヴィエラ、フェルパー、バードマン、エルフ、ドワーフの専用仕様スーツを開発に乗り出す。

またこの42式をモデルとした魔法兵用パワードスーツの開発にも乗り出す。

武装に関しては205式自動歩兵銃Ⅱをベースに改良を重ねた42式自動歩兵銃Ⅰの開発が決まる。

兵員輸送車両の205式中型トラックの増産を決定。

老人・子供には自衛隊の女性自衛官が担当し、成人男性・女性に関してはベテラン兵の信雪が担当、一か月の間に徹底的にしごかれる。

睡眠時間6時間以外はすべて訓練と語学学習だ。

フェルパーたちの意欲は非常に戦った。故郷を追われた事も有る、家族を殺された者、親しい友を殺された者、恋人を殺された者は妖魔達をとても憎んだ。

そんな訳でフェルパー男性90名、フェルパー女性210名の計300名が訓練を受ける。

フェルパーたちの身体能力は通常の人間に比べはるかに優れており、砂漠で暮らすために気温の変化に強く、また足腰も非常に強い、この為にヴィエラ以上の軍刀での戦いを好む。


一か月後の卒業式には立派な兵士の誕生だ。

そして軍刀が授与され、訓練キャンプでは第2期生の卒業生だ。


第16旅団:二個中隊、数にして400名

シャルクク村:100名

ヴィエラ救援部隊:1個中隊、数にして200名

魔法ギルド本部救援部隊:1個小隊、数にして50名

フェルパー:600名、兵士の数1個中隊+2個小隊、数にして300名


シャルクク村の義勇兵の募集される。

義勇兵団長には波田間匡孝、副団長に速水茜、参謀に四之宮志雄

魔法兵指揮官に奄美信雪、副官にエマ・ミルスティ

普通歩兵指揮官に周防真、副官に戸村仄

整備兵指揮官に竜胆フィリス音符、副官に佐久間勘八

支給装備:

42式自動歩兵銃Ⅰ+41式300mm多目的銃剣

41式高熱刀身軍刀

デザートイーグル

42式普通歩兵用パワードスーツ

人間、ヴィエラ、フェルパー、エルフ、ドワーフ、バードマンの6種類より選別

42式魔法兵用パワードスーツ

人間、ヴィエラ、フェルパー、エルフ、ドワーフ、バードマンの6種類より選別

前回のメンバーから谷口が歳を理由に辞退し、代わりに杉原が志願。

その他にも数名が志願した。


募集が締め切られ、集まった志願兵は確定していた22名、新しく入る新兵の4名の26名での小隊を作る。

後方支援には谷口が協力し、装備を無償提供、シャルクク村義勇兵小隊に関しては弾薬・物資の無償提供が決まる。

戦場に行かない者も、写真撮影や、日常に帰ってくるのだぞといった言葉を投げかける。


義勇兵団長:波田間忠孝

副団長:速水茜

参謀:四之宮志雄

魔法兵指揮官:奄美信雪

副官:エマ・ミルスティ

一般魔法兵:来栖、ギル、レオン、ルリ、フラン、チェルピー

普通歩兵指揮官:周防真

副官:戸村仄

一般歩兵:浅間、若宮、杉原、緋村

一般技能兵:加藤、瀬戸内、悠木

整備兵指揮官:竜胆フィリス音符

副官:佐久間勘八

一般整備兵:田辺、篠原、岩島、野口

保有車両

41式機動戦闘車

41式大型トラック

41式パワードスーツ輸送車

41式指揮車両

205式中型トラック


「こんな感じの構成と状況だ」


説明を終えた参謀の志雄に緋村が挙手する


「どうぞ緋村さん」

「はい。41式機動戦闘車を使いたいです。あの砲撃する感覚が非常に気分がすかっとしますし」

「新兵から勘違いされるから落ち着いて、以上ですか」

「はい」

「どなたか質問はありますか」


今度は新兵の野口が挙手する。


「どうぞ野口さん」

「大量に保有する車両はあるが整備状況などに必要となると思える予備パーツの状況と必要予備弾薬の情報は」


誰かさんに負けないぐらいの長広舌だ。


「整備状況も完璧よ。予備パーツに関してはストックが少ないから壊れたら破棄、必要な予備弾薬の方はトラックにでも乗せるわ」

「了解です。以上となります」

「次にはありませんか」


篠原が挙手する。


「篠原さんどうぞ」

「安価で頑丈が取り柄のパワードスーツですか?戦う者としては心もとないですが」

「確かに初期の205式シャルクク、41式普通歩兵用はその通りの性能だった」


音符の話に誰もが耳を傾ける。


「だけど、単純ながら安価且つ頑丈で、これにより高い生産性能、整備性能を獲得し、運用面での柔軟性は世界一のレベル」


整備兵の新兵たちが頷く、確かにその通りだ


「次の後継機の42式普通歩兵用は去年の全ての面で受け継ぎ、改良を加え、新技術を使い、新素材技術も使う、ご存知の通り人工筋肉の部品の中でも、最も強靭な頑丈さと軽量さには定評のある戸村の新人工筋肉を使えば、安価で大量生産が効き、戸村との交渉で試作的な利用、この為に一時的なライセンス料を停止してもらい、結果として高性能で安価な物が出来上がるという訳」


いつもはボーとしている音符であるがこういう場合は非常に優れた女性だ。

新旧の義勇兵が納得の説明だが、一般魔法兵の5名にはよくわからないが凄いことは分かったらしい。専門外はあるものだ。


「後なのですが、どうもこの42式自動歩兵銃は連射性能というモノを見れば酷い性能ですが、その点は」

「ああ。その点は俺から説明しよう」


佐久間がこういう全員が注目する。


「まず42式自動歩兵銃Ⅰの何処が優れているか、これを一つの表現するのなら総合性この単語に尽きる。まず最大の売り込みポイントはその弾薬の安さだ。50発で500円、一発10円の破格の値段だ。これを比較対象とするのなら世界で最も売れた弾薬の一つである9mmパラペラム、これが16・8円だ」


確かに安いと言い切るほどだ。

弁当一つと50発の弾薬が同じならそれはお求めやすい


「次にあげるのはその射程距離だ。この42式は205式6・8mm自動歩兵銃Ⅱをモデルに開発されたタイプの銃器だ。最大射程距離は700m、最高射程の集弾性90%以上、ちなみに装弾数はベースのマガジンが50発のP90並、ドラムマガジンが100発の機関銃の装弾数並の使い捨て、この使い捨てのドラムマガジンは実を言うと開発当初は誰もが難色を示すが、これを一個を装着し、もう一つをその前に取り付ける事で、非常に高い弾薬の形態を可能とした、これに谷口社長は着目し、安価で使い捨てが出来、装弾数が多く、携帯するのが嵩張らない上に数も増やせる、これは後の銃器の業界では最大の売り上げを誇ると判断した。これは恐らく誰もが理解するだろうが、次に部品の少なさ、木材を多用した製造の為に、軽くもなったが頑丈とは言えなかった」


42式自動歩兵銃Ⅰを思い出す。


「そこでヴィエラの大草原の山脈の下流にある砂鉄が獲れる場所で採れる鉄鉱石を使い、こちらでの製造技術の開発を行う、これにより木材と鉄鉱石による製造が可能となり、結果としては非常に魅力的な銃器のお値段、これは信じられないような安さの1万円だ」


佐久間のセールスをするような長広舌だが、安いという事は使い捨てにしても全く惜しくはない、作り易いというのは簡単に手に入ることを意味する、弾薬が易いという事はそれだけ大量に使えることを意味する、大量に持ち運べるのなら歩兵としては魅力的に映る。

木材と鉄ならば確かに安価な物が作れそうだ。


「佐久間さん。質問ですけれどよろしいでしょうか」


エマの質問に佐久間は頷く


「何故スコープなどのオプションを作らないのか、また42式自動歩兵銃Ⅰのバリエーションが何故ないのか、またそれだけの弾薬を持つのはパワードスーツの性能からいってもやや重過多になるのではないでしょうか」

「スコープや他の種類も開発が始まる頃なんだ。まあ下手に増やすことなく一つ一つの必要な開発を常に強化し続けることが社長の方針でな、結果としては成功した物の、銃器の扱いに慣れている自衛隊の狙撃屋どもからはもうちょっと良いのが欲しいぜなんて言ってくるのも確かにあるんだ。だがこの42式は6・8mmショートショート弾を使うので単なる弾頭のみの物だ。通常の火薬式などに比べて随分と合理的に作られる、地球での人間の争いに使われた銃ではあるが、形を変えてこちらの世界で使われる。まあ結論から言えば大した重さにはならないのだ。今度持ってみればわかる。かなりの軽量さだ」


佐久間の力説にエマも納得した。


「えー、以上となりますから、次の方」

「はい」

「岩島さんどうぞ」

「はい。防衛研究所勤務で一時的に休職した岩島辰二郎です。年齢は省いてのお話の事なのですが、何故各車両の重装備化、及びに装甲の強化、後奄美博士が良く作る紋章機械工学の技術の応用、またまたこれらの研究も含めた技術開発は何故されないのか素朴な疑問なのでお答え願いたい、またヴィエラ、フェルパーとくるのなら南のバードマン、エルフ、ドワーフも頼ってくるのは明白です。今後の開発これを聞きたい」

「岩島さんは相変わらずだな」

「お答え願いたい」

「足りない、全てが足りない、一番足りないのは岩島さんも分かっている通りの人が足りない、更に言うのならここで生産することができるとしてもこれを買うだけの経済力が足りない、これを維持するための技術力が足りない、要するに足りない」

「納得です。博士は防研には戻らないのですね」

「ガンゲイル王国に義理を果たすまでは自由に離れないよ」

「相変らず義理堅い」


信雪のここの義理堅さは世界の壁を得てでも果たそうとする、その負ではない執念は知るものからしても戦慄するほどだ。


「ここら辺かな、シオ」

「他には誰か」


杉原が挙手する。


「杉原さん」

「その戦闘訓練などは受けられるのだろうか?」

「その点はご安心を、新旧の兵士には必ず戦争前に訓練を受けてもらいます、期間は凡そ三日です。最低限の事を叩き込む鬼教官のユキが担当します」

「どうぞよろしく」

「ユキなら安心か、以上です」

「新兵の主だったものが終わり、田辺さんからは」

「あの戦闘服なりの服は」


誰もが凍り付く、これに志雄が苦笑して話す


「パワードスーツが衣類のようなものです。その下にはウェットスーツのようなものを着込みます」

「他には弁当も持参できますか」


再び全員が凍り付く、田辺は自分が何を言っているのか自覚がないようで、隣の音符がにこりと笑って言う。


「そうよねえ。弁当は欲しい、でもどこに持っていくの」

「砂漠でしたね。そっかあ。弁当が痛みます」

「たぶん腐ると思うわよ」

「ですか、うーん」

「次に移ります」

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