【03-01:1/4日:ガンゲイル王国辺境騒乱編】
ガンゲイル王国辺境バードマン領ウルクイル。
東側には海岸が広がり、西側には平原が広がり、北側にはガンゲイル王国最大の砂漠のスピーア砂漠が広がる。南側にはガンゲイル王国最大のバードマンの住処のアンプルマ大山脈が広がる。
そんなバードマンの聖地であるウルクイル。
ダンジョンで倒れていた一人のバードマンの青年魔術師。
異世界に来たわけで、交渉なども行う必要があるのだが、奄美が作成した地理のマップからすれば、ここはガンゲイル王国の辺境中の辺境だ。それも殆ど統治されていないような場所で有り、結果として困った状況だ。
「彼の様子は?」
西田がそう尋ねる。
軍医の通称ドグ、看護は資格のある壬生2曹がこちらを向く。
「人間に例えるのなら安定している」
「鳥に例えるのなら」
「同じく安定している。奄美博士曰く翼の生えた人だというが」
西田からしても難しい表現でもあるが、政治的なことをどうするのかは重要な問題だ。
この鴉の翼の生えた人を、日本の運べばどんな騒動になるか想像に難くない。
かといって周囲には何もない。
当然の様に交渉する相手すらいない、頼みの綱の奄美もここには来たことがないらしく地理に明るくない、奄美が幸運中の不幸と言ったのがこの事だが、不幸中の幸運なことに、奄美が言うガンゲイル王国らしく、いきなり王都に軍人が現れるよりましだ。
(少年はよく心得ているな)
人間とは一言も言っていない。
(まあいい風景だ。砂漠に平原に海岸に山なんてな)
「西田二尉、軍医としては日本に運ぶのは無理です。恐らく何かしらの病原菌をもって稲のが当たり前と言えますし。またここでの風土病なども考えないといけません」
「かもしれないが、彼が起きれば簡単に片付くのにな」
「言葉を話せても、バードマンの言葉だしな」
「奄美の万能ぶりも十分凄いですよ。お蔭で通訳にもなりますし」
軍医のドグと話している。
「?」
物音、むしろ羽ばたく音が聞こえる。
疲れて休んでいた者たちも、揃って見上げる。
女性らしい身体つきの、バードマンの女性だ。
一対の漆黒の翼をした顔にペイントを施した。
「貴様等!」
何か激高している様子だ。
手にした巨大な槍を持つバードマンの女性は、急降下し横たわるバードマンの青年魔術師の近くに居る西田、ドグ、壬生に槍を一振りし、青年との間に立つ。
「シャルクク!」
名前を呼ばれた青年は、片手を顔に当てて、指で目をもむ。
どうら起きていたらしい。
「チェルピー、そう喚くな」
中々渋めの低い声の持主らしい。
草から起き上がる。
「異世界からの客人だ」
「異世界?客人?」
「異なる別の世界から来訪した日本の方々だ。武器は下ろせ」
「だが、こいつらは、人かもしれないが・・分かった」
バードマンの女性が槍を下ろす。
バードマンの青年魔術師は、ガンゲイル王国式の挨拶なのか、胸に手を当てながらお辞儀した。
自衛官たちは敬礼で返した。
これにバードマンの女性は意思疎通が可能だという事に気づいた様子で、青年と同じように拳を胸にあてながらお辞儀した。
「どなたか指揮官は居ませんか」
バードマンの青年魔術師が日本語で話す。
言葉が通じるのが不思議だが、通じるのなら非常に助かる話だ。
西田が手を上げる。
「貴方が指揮官か」
「ああ。流暢な日本語だな」
「元々日本の出身ですから」
これには言葉に困る。
「その外見で日本人なのか?」
「魔法で姿を変えているのです。私の名前は天海・司、天の海と描いた天海、何かを司るの司だ。バードマンの名前でいえばシュルククだ。魔法使いの少年がいたな。どちらに」
「奄美・信雪、この世界のこの王国の魔導院の上位正規魔術師だ。彼奴ならダンジョンで説教を受けてる」
「何故だ」
「治癒魔法の危険性についての知識は」
「ああ。勝手に許可もなく安全管理も怠ってヒールLv4を使ったたことか」
「それもあるが、勝手に異世界に出たのだ。責任を取ってこってりと絞られている」
「人の好い少年だ」
「全くだ。あれでも紋章学の始祖だからな、上も言い辛いのはある」
「紋章学?付与魔法が前身の紋章学か?」
「よく知っているな」
「もしかしてその少年は未来からでも来たのか?」
「どういう意味だ?」
「確か紋章学はその難解さから継承者がいないのだ。つまり未来しかの選択肢しかない」
「そうなのか。もしや紋章学の一人?」
「ああ。正確には紋章学も修めている呪印学の学者だ」
「どれくらい違う」
「紋章学は、魔法の刻印、紋章刻印を刻む事で、その物質に干渉するものだ」
「確かに」
「呪印学は、呪印を刻印するのは亜流、呪印を空に描きこれらの呪印に力を注ぎ、森羅万象を励起する学派だ」
「つまり。物質への干渉を基本とする紋章学、森羅万象を励起する呪印学の違いか」
「ああ。日本の言葉で例えるのなら、犬と猫並みに違う」
「なるほど」
「しかし。ここは日本に通じるのか、ああ懐かしい我が故郷」
「そちらの娘さんは?」
「弟子のチェルピーだ。これでも魔力だけなら天下一だな。使える魔法は第一階だが」
「Lv1という事か?」
「ああ」
「Lv2に行けば多少は派手になるな」
「その通り、本人は魔法を研究するより槍を持って暴れる方が好みなのだ」
「どこかで聞いた話だ」
「ん?」
「いや。奄美の弟子の来栖も魔法に才能はある物の、研究より暴れるのが好きなのだ」
「呪印学の親戚の紋章学にも及ぶか」
「マッこんなところだ」
「なんで、この世界に用があるのではないのか」
「休むところがない」
シャルククは顎にを当てる。
「何か心当たりでも?」
「いや、また明日来れるか?」
「違う。ゲート内部のダンジョンの中にある遺跡で休む。そこが拠点なのだ。来るか?」
「もちろんだ。どれくらい久し振りか」
「シャルク」
「ちょっと異世界に行くぞ。似た様な魔法使いがいるらしい」
「分かった。こいつらは何だ」
「地球の日本という国の自衛隊言う軍隊だ」
「確か、偵察部隊という単位か?」
「そんな所だ」
◆
散々絞られた奄美だ。
またこの際にと防衛庁高官から防衛研究所に戻ることも提案される。
きっぱりと断るが、異世界の映像を見て官僚たちは、その不思議な地形に驚き、幸運なのか、それとも不幸なのか、意見が出ないが幸運だとする意見が多数を占めた。
バードマンの聖地の為に政治的に不味いかもしれないが、仕方がないという判断で、基地建設が許可された。また防衛庁の判断もあるが、外務省などからの人員が送られる。
上の判断を集約すると。
地元勢力との交渉は外務省の外交官に任せ、未知の薬草、未知の鉱石、未知の種子、未知の花を集める事、その基盤としての基地建設だ。
「こんなに叱らなくてもいいじゃないか」
げんなりした顔で奄美が吐く。
調査課の面々もパワードスーツのヘッドを抜いて、飲み食いの最中だ。
そこに第1・第2・第3小隊が入ってきた。
「ちーす。お疲れ」
「ああ。呪印学の魔法使いだそうだ」
「え?あの呪印学?」
「詳しくは本人から聞け、シャルクク」
漆黒の鴉の翼のような一対の翼が背中から生える、バードマンの青年魔術師が、翼を羽ばたかせて飛んできた。
その後ろに同じ様な羽の女性が同じように飛んできた。
(うわ。バードマンは便利だよ)
男女のバードマンが近くに降りる。
「おう。少年。さっきはありがとな扉の番人を倒したら魔力が尽きかけてな。シャルクク、こっちが弟子のチェルピーだ」
「チェルピーだよろしく」
青年の方は年齢を感じさせる話し方、チェルピーはまだ少女と呼ぶような女性でまだ硬い態度だ。
(なんか真みたい)
「奄美・信雪、奄美と呼んでくれ、まずは座ろう」
丁度遺跡の広場にあるために、奄美の街灯の魔法が掛けられた魔法の光が辺りを照らす。
お互いの座り、奄美が手にしたカロリーメイトの一つを出す。
「おおお、カロリーメイトだ」
シャルククが取り、半分に折ってチェルピーに渡す。
シャルククが口の中に入れる。
「なんだこれ、もしかして塩カロリーメイトか?」
「甘い方よりこっちが好きでね。飯の代わりになる」
チェルピーも食べが、塩辛いらしく渋い顔だ。
「さて、何から話すべきか、紋章学の真なる祖の天海・司殿」
「あ~。まあ・・そうなんだが、なんで分かった」
「日本人の魔術師は貴方だけだ。俺は日本に転送されたしね。ちなみにあなたの指揮下で戦った経験もある、1度だけだがね」
「そうか、まあ、俺がこの王国に飛ばされたのが190年、奴隷をへて上位正規魔術師となり、193年から続いたダジギス王国とのパラミダ平原での会戦に何度も勝ったことから、アマミ傭兵隊の名前は何処に行っても抜群だ。お前の番だ」
「俺が飛ばされたのは193年頃、正規軍4万、傭兵体9万との合同作戦12月10日」
「第5次パラミダ会戦か、なるほど、確かに指揮下に入ってもおかしくない」
日本語で話すので、周囲の調査課、自衛官にも聞き取りやすいものだ。
「194年のダジギス王国との最終決戦にて勝利し、ガンゲイル王国の国土に用水路を結んだ大水路計画を立案し、開始の前に日本に戻されました。それが2040年の4月1日」
「今は」
「2041年1月4日」
「よくまあ短期間に戻れたな。お前さんは運がいい、しかもLvUPもしているな。ダンジョンでモンスターを倒せばLvUPするしな」
「ええ。ですので今はLv120、魔力は中程度の学生レベルです」
「なるほど、私の魔力はわかるか」
「凡そ上位正規魔術師に近い正規魔術師レベルです」
「正解だ。それで何の目的に来たのかも知りたいが」
「俺は異世界である後に戻る為、その後の資料のデータ化、大水路計画の再開です」
「なら、この集団の目的は」
「まず日本の陸上自衛隊は、この異世界の資源を日本に持ち替える事です」
「理に適う話だ」
「次に沖縄県の調査課、ゲート及びダンジョンでの資源管理機構の権限と、沖縄県に資源を持ち帰るための組織でもあります」
「そう畏まるな」
「ですが、俺の魔法の基礎を作った人にぞんざいな言葉を使うのやはり」
「いいから」
「了解っす」
「妥協点だな」
「うっす。今何を」
「194年からかれこれ10年ぐらい孤児何かを集めて魔導院の小さい版、簡単にいえば学校を経営している。その傍ら、紋章学や呪印学の研究だな。最近はこの辺りのモンスターの駆逐だ」
「そうっすかあ。ちなみに今はいつです」
「204年1/4日だ」
「・・・結構待たせたかな」
「女か」
「いえ何でもないです」
「そうか」
「ガンゲイル王国の事は知りませんか」
「いや、この辺りの事しか知らない」
「ではバードマンの事とか」
「俺が学校を経営しているので頼りにはされているな」
「そうですか」
「俺の学校に来てみるか」
「つすね。別によいと思いますが、シオ」
名前を呼ばれた四之宮が奄美の方に向く。
「こちらの方の学校に行こうと思うのだが」
「帰ってくるのなら許可するぜ」
「師匠」
「ありがとうシオ。来栖準備してください」
「了解です」
「へー。弟子がいたのか」
「才能ある見習いです。俺とは少し違った戦闘向きな弟子です」
「へーへーへー」
◆
学校という施設は、南側のアンプルマ山脈近くの麓にある林の中にあった。
小さな小屋のような建物が並び、ここでのシャルククの教え子を紹介される。
ドワーフの少年のギル、フェルパーの少年のレオン、ヴィエラの少女のフラン、エルフの少女のルリに、チェルピーの5名だ。
魔力的には平均的な学生レベル、奄美よりやや上なぐらいだ。
「ドワーフ族のギルだ」
髭面ではなく、犬耳、犬の尻尾をした小柄な少年だ。
「奄美・信雪だ。奄美と呼んでくれ。こっちが弟子の来栖」
「来栖銀河だ」
ギルはまじまじと二人を見る。
「不思議な服を着るのだな。なんという服だ」
「パワードスーツ、強化服という奴だ。特に俺が着込むのは分かるか」
「紋章の匂いがするな、凄く精密なものに見える」
「正解、このパワードスーツの部品一つまで汎用紋章が刻印されているので、作るのは面倒だが、性能は随一の物だ」
「とすると、甲冑とかの方が近いのか」
「全身甲冑が最も近い物だな」
「へー、重くないか」
「重くはない、この全身甲冑そのものが動きを支援する仕組みがあるからだ」
「便利だな。よし俺からは以上」
「次はレオンにしよう」
「フェルパーのレオンだ」
猫耳、猫の尻尾の勝気そうな白衣を着た少年だ。
「奄美・信雪だ。奄美と呼んでくれ、こっちが」
「弟子の来栖銀河だ」
レオン少年は二人をじっくりと観察し胸を張って言う。
「二人の魔導院のランクを教えてくれ」
「俺は上位正規魔術師、こっちは見習いだ」
「それで研究テーマは」
「俺は紋章機械工学や汎用紋章学や、一言でいえば紋章学だ」
「俺は紋章の汎用紋章学の研究だ」
「二人とも紋章学の方か、ふむふむ。俺の研究テーマは紋章学の研究だがこの紋章学は紋章建築学というモノだ。紋章の刻印による物質の硬化現象を利用した建築物の補強なのが現在の段階だ」
「興味深いね」
「全くだ。紋章建築学とはすごい発想だな、いや着眼点か」
「えっへん」
「次はフラン」
「ヴィエラのフラン」
兎耳のスタイルの好い美貌の少女、氷のような冷たいクールビューティーだ。
「奄美信雪」
「来栖銀河」
「そ。お二人とも日本人?」
「そう日本人だ」
「日本での伝統的な理売りの白米とか味噌汁とかは持参している」
「中継点にあるな」
「そ。私達は女性は呪印学、男性は紋章学を学ぶのよ。似ているような学問だけど、物に刻印する紋章学、空に刻印する呪印学の様な随分違うわ」
「そのようだね」
「私の研究テーマは料理、何かあったら教えて」
「了解だ」
「次にルリ」
「エルフのルリよ」
ヴィエラと違った美貌の持主に、耳がとがり長く伸びた耳をしている、スタイル抜群の美少女だ。
「奄美信雪」
「来栖銀河」
「貴方達の種族なり民族なりは」
「地球人、日本民族だ。こっちの来栖も同じだ」
「地球人というのは父さんと一緒?」
「奄美司の事なら地球人に日本民族と同じだ」
「そうなんだ。薬草に興味はない」
「実は、この世界の薬草を手に入れることも仕事の上での目的の一つなんだ」
「そうなんだ!じゃあ。地球の日本の薬草を貰えない」
「物々交換だね。了解だ」
「やったー」
金糸の様なストレートを跳ねさせながらぴょんぴょんと跳ねた。
「最後にチェルピーだ」
「チェルピーだ。見ての通りのバードマンだ」
「奄美信雪」
「来栖銀河」
「日本語の授業はそれほど良くない」
「今後のために学んでくれ、きっと役立つから」
「頑張る。私のテーマは呪印学、特に呪印の風系統の魔法を研究中」
「何かあれば協力できるといいね。俺も親戚のような学問を研究するからね」
「同じく」
「後、どっちが年上」
「俺だ。師より9歳年上だ」
「そうなんだよね」
「ルリと同じ悩みだね」
「シャルクク殿より年上なのか」
「そう。ざっと25歳も」
「・・・」
来栖はルリの方を向かなかった。
さすがに失礼だろうと思うのが大人というモノだ。
◆
天海司の子供達言うべきか、ドワーフ、フェルパー、ヴィエラ、エルフ、バードマンという多様な子供達。
「貴方」
女性の声だ。非常に清んだ美しいオペラ歌手の様な声だ。
今のよな部屋に一人の女性がはいってくる
年齢は20代、かなりの美人な女性で、七分パンツに、ゼブラのワイシャツ、グリーンの革ジャンという格好、かなり濠が深くスタイルもよい為に明るい雰囲気も手伝って人柄の良さを感じさせる。
「はい。日本からのお客さん」
「こんにちは」
「師匠名乗る」
「必要ない」
室内の空気が下がる。
来栖は非常に困った顔だ。
しかし女性は気にせずに桜色の唇開く。
「あらまあ、ノブユキじゃない」
「お久しぶりですディーバ」
「あらあらまあまあ」
「彼奴は居ますか?」
「あの子も22歳になったから、もう忘れているかもね」
「かもしれません」
「それで何をしにこの世界に戻ってきたの」
「この世界での義理を果たしに来ました」
「なるほど、あの子に会うのも義理なの」
「いえ」
「あの子がどんなに悲しんだか」
「芯の強い彼奴なら平気ですよ」
「はいはい。のろけもそれ位ね」
「そんな感じです。それでディーバの夫が天海司ですか」
「ええる貴方の研究の前任者ね」
「そうですか」
「師匠この女性とお知り合いで」
「ええ。よく知っていますよ。魔導院時代の同じ学派の者ですし」
「という事は紋章学の学徒?」
「そうなりますね。元々魔力が強すぎて制御できないのが悩みの女性だったのです」
「敢えて言いますが、どんなたかと約束でも?」
「この世界の仲間とね」
「色々ですね」
「日本語は話せるからご安心を、チェルピーはどうも日本語が苦手なのよね。ガンゲイル語・ダジギス語なんかは満点なのに」
「彼奴に会うまではここに休みますよ。直感が囁くのです残れと」
「いい直感ね。そう近くに居るわ。性格には近くまで来ているわ」
「よろしいですか、シャルクク」
「ああ。まあ旧知であることは知っていたからな」
「シャルクク、人が悪くないですか」
「年寄ってのはそんなモノさ」
子供達からは、どうやら親戚の人の様な者だ。
子供たちの抑えきれない好奇心をぶつけられ、奄美も来栖も散々質問攻めにされた。
◆
ディーバの妹の女性が仕事を終えてから自室に入る。
11歳のころの学生時代、魔導院の学生時代、正規魔術師時代、上位正規魔術師時代の193年か194年頃、かつていた仲間たちは今ではそれぞれの道を歩む。
建築がテーマのガンフォー・アルガリータは今でも彼奴の仕事を引き継ぎ、ガンゲイル王国の大水路建設を行う。
魔導装置が研究テーマのフレイア・カデンツァは、今出は魔導院の導師となり、数多くの成果をたたき出す。
異国から現れた日本人と名乗る彼奴だけがいない。
それが胸を強く締め付ける。
「もう11年ですよ」
そう呟く。
かつて少女だった自ら、今出は姉のようなスタイルの女性になった。
「遅いですよユキ」
例え言っても現れないことはよくわかる。
呼んでも現れないのもよくわかる。
姉の様な亜麻色のストレートを三つ編みにしていた。
仲間が直ぐに気づくためのトレードマークだ。
「”この大きな空を吹き渡っています”」
「エマ、食事よ」
「分かった。ねえ姉さん」
「何かしら」
「何か良い事でもあった」
「ええ。あの人が傍にいるから」
「はいはい御馳走様」
外着から着替えてから食道に向かう。
何やら匂いが良い料理らしく、非常に食欲をそそる匂いだ。
食道に入ると、いつも通りの風景の中に妙な黒いのが二人もいる。
片方は長身に大柄な体格のいかにも戦士と言った顔立ちに良い雰囲気を持った人柄が知れる。
もう片方は体格は自分より大きいが、長身とは言えない小柄な少年だ。顔もにこにこと微笑みから人の悪さが滲み出るきっと女を泣かす奴だ。
「あらら、なんか珍しいお客さんです」
「酷いなあ。9か月ぶりだね」
「こっちでは11年も経ちましたが」
「世界観の時間差がこの程度でマシだった?」
「ガンフォーとフレイアが結婚しました」
「おお。あの二人やっとくっついたか、お互い色々と有ったからね」
「ええ。ユキの巻き込み型トラブルや無謀な実験に、荒唐無稽な冒険など、どれだけ」
「という訳で約束を果たしに来ました」
「相変らず義理堅いなユキは」
「でしょう。それが俺の自慢なんだ」
「で」
「うん。こっちでは11年だけど、繋がったよ。約束通り世界の壁が壊れ、この世界とあの世界が繋がる道が出来た」
「それだけ?」
「まあまあ、俺やシャルククの故郷に来てみなよ。きっと味に満足するって」
「そう。それで」
「面白い学問とかもあるけど、何よりも薬草についての知識も豊富だし、二つの世界に跨る薬草も可能だ。当然の様に熱病に聞く薬草も多い」
「なるほど」
「特に学校を見せてやりたいよ。特に大学かな」
「エマ、意地悪しない」
「11年ですよ?」
「だとしても何処に世界の壁を越えて約束を果たしに来るの」
「腹立つなと」
「日本のレトルト食品だ。」
◆
食事も済み、昼時から少しの時間がある。
奄美とエマは相変わらず、意地悪をするエマに、ニコニコと微笑しながら日本の話をする奄美の構図だ。
基本的美人な姉妹なので、特に問題はないと思うのだがと来栖は思うが、どうも11年という歳月がエマにとってみれば長いのは来栖でもわかるが、意地悪を言いながらも絶対に手放さないような雰囲気もあるから謎であった。
(日本での女心も分からないなら異世界の女心も分からないのも道理だ)
自慢ではないが女心はさっぱりだ。
武術と勉強の両立から今では魔法の勉強までするのだから我ながら人生というモノはわからない。
(力が欲しかったからな)
大事なものを守るための力、身近な人々を守る力。
そんな力を欲していた来栖からすれば魔力とは狂気を秘めながらもあまりに蠱惑的だった。
(だから得たのだ)
医者が止めるような痛み。
あと少しで死ぬかもしれないギリギリまで耐えて得た力。
(他人からすれば変人だな)
だが師である奄美は全く気にしない、その後も熱心に教えてくれた。
来栖自身も自らの成長。
成長し続ける魔力。
(ドワーフのギル、フェルパーのレオンとは同じ手度の魔力か)
(ヴィエラのフラン、エルフのルリの二人の魔力は師を超えるほどだ)
(チェルパ―は、なぜあのような魔力を持つのだ)
想像を絶するほどの魔力だ。
だが奄美からすれば魔力とは制御できなければ単なる腕力に過ぎない、その為奄美流というべき学派では基礎が徹底的に鍛えられる。その中には非常に難易度の高い制御の感覚もある。
(一度魔法使いとの戦いも経験すべきか?)
だからと言って、子供を傷つけるほど荒んでも居ないのも事実だ。
基本的に魔法の中には禁呪というモノはあるが、禁止されている事項はなかったりする。
「おやおや青年元気か」
来栖よりやや小さい体格のバードマンの青年魔術師、実際は日本人の初老の魔法使いだ。
ちなみに魔術師とは魔導院が定める地位だ。魔法使いとは俗称だ。
「シャルクク殿」
「何やら疲れているな。ちとまて」
「もしや治癒師なのですか?」
「まさか、昔少し学んだ程度だ。それにノブユキから聞いているだろ?」
「はい。治癒師は性格が悪いと」
「控えめにいうな。彼奴らは実験と治療をはき違えるマッドな連中が殆どだ」
「よくまあ殺されませんね」
「色々と有るのだよ。一部のマシな連中はそん連中とどうも馬が合わなくて散り散りだ」
「残念ですね」
「ちなみにエマの方は薬剤師だ。薬草などを処方する治癒師と対極にいる連中だな」
そのエマの方をちらりと見ると、今では笑顔になり奄美と話している。
「そのようです」
「いまじゃあ。魔導院も色々とガタが来ているからな。信雪の様な良識ある魔術師は減少し、少数派に追い込まれ、最高導師も考えておられるが、難しい状況だ」
「内乱でしょうか」
「なるかもしれないのも事実だ」
「特権階級の貴族の台頭ですか」
「それもあるのが残念なところだ。現王のクラーク一世も励まれておられるがどうしようもない。王女が結婚しないことが問題であるが、あのご気性だ結婚相手が見つからないのも無理はない」
「その王女は」
「貴族を廃止して平民と王族のみにする、国民平民論の主張者だ」
「政治的に不味いのですか」
「昔だったら成功しただろうが、今は貴族の力が強まり、魔導院の方も良識者は少数派、平民の中には奴隷制度の復活を言う者も居る。戦争から離れたせいでこうなったというモノもいるほどだ」
「昔のツケが回ってきたようですね」
「そうなるな」
「それで何の話です」
「お前さん大学では何を学んだ」
「大学の方は通ったのですが、当然卒業したのですが、学業より武道だったもので」
「それは丁度良かった。適当に武道を教えられるか」
「出来なくもないですが、師の許可が要ります。同じ学派としても俺は見習いですから」
「確かにそれも道理だ」
「シャルクク殿、俺の実力はどれくらいですか」
「そうだな。魔力だけなら平均的な学生レベルだ。魔法属性などの経験からなる数値は正規魔術師クラス、制御などは緻密だが信之ほどじゃない、基礎を徹底的に学んだ証拠だな。精神の方はまだ正規魔術師レベルなのが惜しむな。一つ魔法を出してみてくれ」
重力子の魔法を使う。
「なんだその魔法は」
「ご存じないのですか?」
「ああ。恐らくノブユキが生み出した魔法の一つだろう」
「そう・・なのですか、弟子の教えないの酷いです」
「教えなければ色々と良い事も有るのさ。まあ腕前としては非常に良い、下級導師に匹敵する上位正規魔術師の腕前はある」
「師に匹敵するのですか?」
「いや。奄美の魔力こそ正規魔術師だが、それ以外は非常に珍しいまでの達人だ。銀河が戦えば数秒で即死だな。そもそもお前はオリジナルの魔法が有るのか?」
「いえ、見習いなのでまだ、また師曰く戦闘向きな魔法使いらしいです」
「お前が天才級ならあっちは大天才級だな」
「そうですか」
「他にオリジナルの、ああ知らされていなかったな」
「その通りです。聞いてもよいでしょうか?」
「構わん聞け」
「攻撃魔法、防御魔法、強化魔法、治癒魔法の四種しか教えられないのです。魔法の種類はどこまであるのですか」
「弱体化魔法、変化魔法、状態変化魔法、移動魔法、付与魔法の五種類がガンゲイル魔導院に伝えられるな」
「感謝します」
「なんかお前、銀河」
「はい」
「師によく似たな。恐らくお前には四種類を徹底的に伝える気なのだろう。他の五種類を教えないので必然的に四種類が鍛えられる、という限定するからこそ精錬するだ」
「なんとなく察していました。シャルクク殿の言葉で確信が持てました」
「そういう教育方針もありか、いやはや勉強になるっものだ」
「それで先程何を」
「ああ。薬草の効果を創り出す魔法、エマが生み出した植物魔法という系統だ」
(植物魔法?師の仲間という方々はもしや)
「まあ察しの通りだ。本来な導師になって教鞭をとるものだ。しし、ノブユキの仲間は全て魔導院から去っている頃だ。時代に合わなくなって今は王国の何処かにいる」
「なるほど、やはりそうでしたか」
◆
エマは奄美についていくらしいが、そんなに離れても居ない場所なので奄美がここに留まらせた。
来栖と共に帰還し、ガンゲイル王国辺境領バードマン領ウルクイルに来た。
すでに基地建設は始まっており、到着した調査課の後方支援要員、第4中隊の隷下の工兵班、整備班、医療班、補給班の半も合流し、基地建設は進む。
「じゃあ。調査課はここら辺でよろしいでしょうか」
工兵の一人がそういう。
「ええ。構いません。戦闘員に関していえばLv100を超えるので土木・建築作業向きなので使ってください」
「了解しました。では戦闘員の方はこちらに集まってください」
四之宮、周防、戸村、若宮、来栖、浅間、奄美の7名だ。
ただ工兵からしても奄美と来栖は魔法使いなことが気になるらしく外された。
代わりにドローン整備員の佐久間、パワードスー札整備員のフィリスの二人が参加する。
プレハブ小屋の施設群の周りをフェンスが囲む作りだ。
「奄美博士、来栖さん、工兵長がお呼びです」
「了解した」
「うん。承った」
案内されて工兵長の不藤に会う。
「おっ。来たか。これを見てくれ」
地図を広げられる。
「この通り水源がない」
「それなら掘ればよいのでは」
「重機がない」
「なるほど、ならば水路建設が必要ですね。それならばここでしょう」
西側の平原を指す。
「ここには確かサライズナン平原に流れる川があります。幅は凡そ10m、十分な水量となります」
「何処でその知識を?確か地図には」
「昔の伝手です。簡単にいえばこの辺りに詳しい人から教わりました」
「それは何より、魔法での土木作業は可能ですか」
「可能です。そもそもここにある道具の殆どが紋章学の製品ですよ?」
「時代の流れですな。来栖殿にも可能ですか」
「後学のために教えます。日本で勝手に土木作業をするわけにはいきませんから」
「確かに」
水路建設を行う。
パワードスーツを着込んだ自衛官が最終調整を行うが、奄美が手本を見せる。
<グラビティ・ボール>
通常のグラビティの上位互換に位置する攻撃魔法、一直線に重力子が飛翔する攻撃魔法だが、発動位置を地面にすることで地面を掘るような土木作業用にもなる便利な魔法の一つ。グラビティLv5を超える魔力を消費するが、熟練度次第で半分以下に抑えられる。
放たれると地面の土砂を掘りながら直進する。
「魔法って便利」
自衛官の一人が呟く。
周りにいる者も同意、来栖も納得の便利さだ。
こうやって水路が掘られた。
◆
水路が完成し、水が流れてくる、しかも川魚までいるらしく魚が跳ねる様子が見えた。
医療班が水質を確かめた。
「十分でしょう」
医療班の自衛官がOKを出す。
調査課の方も建設が終わっており、すでに県庁からの増員が決まる。
「ふと思ったのだ」
周防がそういうと戦闘員の3人が向く
「何々シン」
「うむ。暇になった」
深刻な顔で周防が言うと三人が小さく笑う。
「折角の休憩だよ?」
「それに将来の異世界調査も担当するのだぞ?」
「そうだぜ。ゲームがない」
「小母さんにも話しておかないと」
「だな」
「だけど~お給料がなぁ」
「意味がない、現地マネープリーズ」
「悪い、王都にしか銀行はないんだ」
「はいはい」
「1年組、暇か」
「というか雄真、こき使う気満々ね」
県内の理系大学2年生のフィリス、桐ケ谷高等学校の3年生(就職確定)の浅間、悠木たちだ。
「暇っす。することがないとはこの事っす」
奄美の久し振りのっす言葉だ。
「懐かしい、最初の頃はその口調よね」
「うんうん。」
「懐かしいねえ。いやはや、あの時はこいつバカじゃないかなんと思った物だ」
「酷いっす。極々一般的な相撲語っす」
そこにオペレーター二人が休憩室に入る。
「うーす。加藤さん、瀬戸内さん」
「異世界は何もないぞ」
「そやな。異種族ってちゅうもんもおらん」
「なんだ。異なる種族に会いたいのですか」
「何や隠しとるんかい」
「近くの学校にいますよ」
「「学校?」」
「魔法などを教える学校です」
「「魔法!?」」
「全員で行くのは無しですよ。子供が怖がりますからね」
「どれくらいの年齢の子供なんだユキ」
「その個々の種族でいう一つ下ぐらい」
「「おお!」」
◆
「波田間先輩、一体なんて唆したのですか」
速水が呆れながら話す。
波田間はしれっとした生真面目とも見える顔で、
「ほんの少し話しただけです。このまま調査課が大きくなれば当然の様に直属の上司は出世すると、彼の様な出世欲の強い男なら簡単にその地位に納まりますよ」
「危険な獣を招くようなものですよ」
「こうとも付け足しました。出世の道具を捨ててまで何をしたいのかと」
呆れるほどの奸智だ。
出世欲の塊のような男が、まさか出世を約束するような黄金の鳥を捨てるはずもない。
波田間の様に出世などより自分の好きなように生きるタイプの男からすれば、相性の良い仲間のような存在だ。
(僕も人の事は言えないか)
速水も防衛庁の幼馴染や元学生時代の友人などにも働きかけ、かなり無茶なことを通した。
(沖縄県環境部ゲート及びダンジョン及び異世界調査課)
この功績は大きいものの、上の成り手がいなかったのも頷ける。
その上司の成り手になった出世欲の塊のような男は、将来的には選挙に出るらしいそれは別によい、恐らくこの男がある程度は成功するのも計算の内だ。
こんな性格なので、意外なことに切れ者だったりする。
色々と後ろ暗いことも多いのだが、異世界というモノがもたらす巨万の富は県経済だけではなく国内外の経済を潤すまさしく万物の宝箱だ。
「増員に関していえば、ゲート、ダンジョンの二つの役所の管理業務ですね」
「その方が無難でしょう。自衛隊の護衛をつければよい」
「了解です」
「他には問題として」
「物資・給与のための現地貨幣がありません。直ぐにでも協力者を作らないと厳しい運営になります」
「奄美君の神がかり的な魔法と、その強運を頼むしかありません」
「その点なら安心を、どうも近くに人里があるそうです」
「言葉が通じるとは報告に受けていますが、文化がどこまで違うのかも考えますね」
「我々に近い存在がいるとも報告を受けております」
「そうでした。しかし、過ごし易い環境ですよ」
「気候もよく、風もよいので少々冷える感じはしますが、職場とするのなら悪くはありません」
「ええ。物資は自衛隊から購入しましょう」
「その方がよろしいです。ただ現金のやり取りはあれなので沖縄の調査課に押し付けます」
「好い発想です」
「善いではないところが辛いですよ。他には車両なども必要です」
「そちらに関していえば奄美の蒸気機関車の話ですね」
「燃料は水だけですか、何かと役立ちそうです」
調査課の仕事はなかなか減らない
◆
若宮、来栖、谷口、佐久間は海辺に糸を垂らしビールを飲みながら趣味の時間だ。
◆
夕方。
朝方9時からすでに9時間が過ぎた。
当然の様に夕飯時だ。
汎用魔法の<街灯>の文字通り街灯が立ち並ぶ食道近くの厨房に、川の水を集めてレトルト食品を温める。
担当は加藤と瀬戸内だ。
基本的にこの二人は一組のオペレータ組なのだが、どうも相性が良いらしく殆ど一緒に行動する。
「異世界まで来てレトルト」
「いうな」
「肉、肉を」
「レトルトのハンバーグでも食べろ」
「せやけど、この世界の料理は信じられ程不味いと奄美が言い寄ったわ」
「そのお蔭でうまい飯の味が広まったと思うとよい話だ」
「せや、けど瀬戸内、異世界まで来て言うのもなんや、今度は寿司が食べたいわ」
「分かる。淡白な魚を醤油で」
「最高や。日本の飯が恋しくなるわあ」
「しかし、今日はレトルト」
「辛いわあ。ああできよった」
食道には腹ペコの十代組の6名、20代なりたてのフィリスが腹ペコだとも言いたげに煮沸した水を飲んでいた。一応塩が入っているので塩スープと言えなくもない。
「ほな並べえ」
一斉に立つ7名、順番よく並ぶところが日本人だ。
京のメニューはレトルトハンバーグ、同じくレトルトのクリームパスタだけだ。
ついでに経費削減の為に食費は削られている。
夕食のメニューをgにするなら凡そ300gだ。
十代には足りない量と言えた。
食事時間は無言、加藤も瀬戸内も経費削減のための試食で味わった安いが一番、味は10番というようなレトルトだ。
当然の様に非常にというほどではないが、あまり美味しくない。戸村周防の様なお嬢様育ちだと口に合わないで残すと思うが、意外にも二人はよく食べていた。
「不味くないんか」
加藤が不思議そうに周防と戸村に言葉を投げかける。
周防は不思議そうに首を傾げ
戸村は察したらしく温和な笑顔で話す。
「よくキャンプに行くからよく食べるの」
「そないか、しかし、意外や」
「何が不思議なのだ?」
「だって、もの凄い金持ちの女の子がレシルト」
「非常に微妙たが、毎日高価な食材を食べないのか」
「あほ。そんな料理は単なる腕前のごまかしだ」
「そうだよ~うちの家訓」
「ふむむ」
「うむむ」
「前々から疑問~二人は親戚関係とか幼馴染とか?」
「調査課で知り合った」
「話せば長くなるわあ。調査課解体の時は必死に裏金を作っていたし」
「あれは大変だった」
こんな風に話が弾み、夜に包まれる。
自衛隊
西田冬樹:Lv[110]第15旅団第51普通科連隊第4中隊第1小隊長
穂村:Lv[100]第5141小隊小隊員、魔法好きのお宅趣味の持主
佐藤:Lv[100]第5141小隊小隊員、SF好きな冷静な性格の持主。
冨阪尭春:Lv[100]第5142小隊長、ティルズ好きな若手尉官
風間勇志:Lv[100]第5143小隊長、スパロボ好きな若手尉官
防衛庁
篠原乱造:防衛庁整備計画課の職員、奄美とは防衛研究所時代の知り合い。
神田隼人:防衛庁の官僚、速水とは学生時代からのライバル
民間
周防真三:周防家の実質的当主、孫娘を愛し、また地元産業の発展に尽力するが、孫娘の真と奄美がくっつかない気が気でない。
戸村与三郎:戸村家の実質的当主、極普通のお爺ちゃんのような人柄乍ら、政治などに加え交渉などにも長ける。