4匹目
 
名 前【フェシー】
性 別【女】
種 族【妖精】
容 姿【フィギュアサイズの金髪ポニテのナイスボディ妖精】
タイプ【魔法特化型】
一 言【一人称は私で定位置は頭の上。立派な大人のしゃべり方をする真面目。ちっこいとか言うと「二回進化すると大妖精になって大きくなれるんだから」と怒る】
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西ナット森林には幽霊が出る。
というよりも、物理攻撃の効かないモンスターがいる。と、ざっくり理解しておけば必要以上に怖がる必要はない。
密集した高木の葉が日の光を遮断し、昼間でも暗く薄気味悪いこの森。時刻は午後10時20分。夜もとっぷり更けたこの時間は、濃厚な闇の世界が広がっている。
月の光も通さない、死者の森。
幽霊を見たら呪われる。
地面から出た手に引きづり込まれる。
そんな作り話も、今のフェシーには強烈なスパイスとなってしまう。いつもは頭の上にいるフェシーは、俺の布防具の胸の部分に体を突っ込み、耳を塞いで震えていた。
体長10センチ程の少女……ではなく、女性。俺よりも年上と言い張る彼女は妖精族であり、正直、妖精族だと何でもかんでも可愛く、そして幼く見えてしまう。
本人は『子ども扱いしないで!』と憤慨するが、その姿すら可愛いらしい。
『ねえ……いた?』
「へ? ……ああ、まだいない」
『まだって何!? 出会ってないだけみたいな言い方やめてくれる!?』
実は彼女、極度の怖がりである。頭の上から胸に場所移動したのも『上から手とか出てきて攫われたら困る』という理由から。〝困る〟って部分に、かなり強がっているような印象を受ける。
「上から手なんか出てこないよ。それに、フェシーはちっこいから見つからないと思うよ」
『ちっこい言うな! 私が大妖精になった時は覚えてなさい!』
スタイル良いって皆に言われるんだから! と、服から飛び出したフェシーが目の前でポージングを決めた。金色のポニーテールがふわりと揺れる。
「あ! 幽霊だ!」
『嘘! ヤダヤダ!』
何もいない木の陰を勢いよく指さすと、フェシーは目にも留まらぬ速さで服に戻っていく。恐る恐る指さす方を確認しているようだが、勿論そこには何もいない。
「幽霊を怖がってるようじゃ、大妖精にはなれませんねえ」
『覚えてなさい!』
ケラケラと笑う俺を鬼だの馬鹿だの罵倒するフェシー。西ナット森林を抜けた先に行きたい町があるんだが……当分行けそうにないな。
「おっと!」
危ない危ない。
なにやら木の根っぽいものに引っかかったようだ。フェシーもいる手前、転ぶわけにはいかない。
「まあ、今日のところは帰ろうか」
『そ、そうね。それがいいわ』
俺の提案に、フェシーはホッと胸を撫で下ろす。帰りに『あれは幽霊じゃなくてモンスターなんだよ』とネタばらしをしてあげよう。
フェシー怒るんだろうなあ。
@GMS 様
 




