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Frontier World 説明書  作者: ながワサビ64
ぼくの考えた最強召喚獣
10/21

4匹目


名 前【フェシー】

性 別【女】

種 族【妖精】

容 姿【フィギュアサイズの金髪ポニテのナイスボディ妖精】

タイプ【魔法特化型】

一 言【一人称はわたしで定位置は頭の上。立派な大人のしゃべり方をする真面目。ちっこいとか言うと「二回進化すると大妖精になって大きくなれるんだから」と怒る】


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 西ナット森林には幽霊が出る。


 というよりも、物理攻撃の効かないモンスターがいる。と、ざっくり理解しておけば必要以上に怖がる必要はない。


 密集した高木の葉が日の光を遮断し、昼間でも暗く薄気味悪いこの森。時刻は午後10時20分。夜もとっぷり()けたこの時間は、濃厚な闇の世界が広がっている。


 月の光も通さない、死者の森。

 幽霊を見たら呪われる。

 地面から出た手に引きづり込まれる。


 そんな作り話も、今のフェシーには強烈なスパイスとなってしまう。いつもは頭の上にいるフェシーは、俺の布防具の胸の部分に体を突っ込み、耳を塞いで震えていた。


 体長10センチ程の少女……ではなく、女性。俺よりも年上と言い張る彼女は妖精族であり、正直、妖精族だと何でもかんでも可愛く、そして幼く見えてしまう。


 本人は『子ども扱いしないで!』と憤慨(ふんがい)するが、その姿すら可愛いらしい。


『ねえ……いた?』


「へ? ……ああ、まだいない」


『まだって何!? 出会ってないだけみたいな言い方やめてくれる!?』


 実は彼女、極度の怖がりである。頭の上から胸に場所移動したのも『上から手とか出てきて(さら)われたら困る』という理由から。〝困る〟って部分に、かなり強がっているような印象を受ける。


「上から手なんか出てこないよ。それに、フェシーはちっこいから見つからないと思うよ」


『ちっこい言うな! 私が大妖精になった時は覚えてなさい!』


 スタイル良いって皆に言われるんだから! と、服から飛び出したフェシーが目の前でポージングを決めた。金色のポニーテールがふわりと揺れる。


「あ! 幽霊だ!」


『嘘! ヤダヤダ!』


 何もいない木の陰を勢いよく指さすと、フェシーは目にも留まらぬ速さで服に戻っていく。恐る恐る指さす方を確認しているようだが、勿論そこには何もいない。


「幽霊を怖がってるようじゃ、大妖精にはなれませんねえ」


『覚えてなさい!』


 ケラケラと笑う俺を鬼だの馬鹿だの罵倒(ばとう)するフェシー。西ナット森林を抜けた先に行きたい町があるんだが……当分行けそうにないな。


「おっと!」


 危ない危ない。


 なにやら木の根っぽいものに引っかかったようだ。フェシーもいる手前、転ぶわけにはいかない。


「まあ、今日のところは帰ろうか」


『そ、そうね。それがいいわ』


 俺の提案に、フェシーはホッと胸を撫で下ろす。帰りに『あれは幽霊じゃなくてモンスターなんだよ』とネタばらしをしてあげよう。


 フェシー怒るんだろうなあ。

@GMS 様

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