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ヤンデレと私2

「えーっと、駆逐ってどういう意味なのかな?」


どんな反応をすればいいのか分からないのだろう、苦笑している様子から素で困っているように見えた。

とりあえず怒ってはいないようで安心してほっと息をついた。


「も、申し訳ありませんっ。夢‥そう、夢で人間の何倍も大きい化け物を刀で倒していく夢を見ましたの。その時駆逐してやる!みたいな事を叫んでいたような気がしますわ。どうやらまだ寝ぼけていて叫んでしまいました。本当にごめんなさい。」


突然閃いた言い訳をノンブレスで言い切って勢いよく頭を下げ謝罪をした。

なんだか馬鹿げた内容だが何も言わないよりはマシだろう‥多分。

すると笑い声が聞こえて何故笑っているのだろうかと顔を上げた。


彼はお腹を抱えて笑っていたので天変地異の前触れかと慄いてしまった。

だってゲームではそんな笑い上戸な設定はなかった。

え、なにこれ。もしかしてバグですか?


「化け物を倒していくなんて夢の中でも勇ましいんだね。夢とはいえその化け物?に襲われたり怪我はしてない?」

「え、ええ。当然ですわ!だって私皆から最強と謳われていましたもの。」



何を言っているんだ私は!そして皆って誰だ!


というか夢の中の出来事を心配するとかありえない、やっぱりおかしい。

それとも内心では馬鹿にしているのか‥うん、きっとそうに違いない。


「さぁっ、立ち話もなんですからどうぞお座りになって?」

「うん、そうだね。」


彼は素直に頷くと1人掛けの黒革のソファへと腰を落とした。私もそれに倣い、テーブルを挟んでもう一台ある3人掛けのソファに彼と向き合う形で座る。


まるでそのタイミングを見計らった様に年配の執事が二人分の紅茶と野菜がたっぷりはさんであるサンドイッチを持って来てテーブルへと並べ始めた。


そういえば朝ごはんたべてなかったんだっけ、極度の緊張からすっかり忘れていた。

お母様はいつくるのか、執事に聞いてみることにする。出来るなら今すぐに来て欲しい。


「一番守様とお会いしたがっていたお母様はいついらっしゃるの?」


「奥様は旦那様と仕事の都合で明け方にフランスへ行かれました。守様にお会い出来なくて非常に残念がっておいででした‥それでは失礼します。」


何故このタイミングでフランス!?

行くにしてもお父様だけでいいよね? では私一人で彼を相手しなくてはならないというのですか、HPがいくらあっても足りません!


とりあえずこのまま無言でいる訳にはいかないから当たり障りのない会話して早急にお帰り願おう。


まずは口の中を潤そうと紅茶のカップを手にとって口に近づけた。紅茶からでる湯気と一緒に甘酸っぱい香りが漂ってきて私の好きなストロベリーティーだと分かる。

そっと一口飲むと不思議と緊張が少し解けた気がしてた。


「あの、こんな早くにいらっしゃって下さったのはとても嬉しいのですが守様のご実家にはもう帰られたのですか?今頃心配されているのでは?」

「ああ、あんな家帰っても誰も出迎えてくれないからね気にしないで。帰ったら帰ったで四六時中母親と兄さんに嫌味を言われるだけだし。」


心底嫌そうに眉根を寄せて鼻で笑う彼を見て

余計なことを言ってしまったと唇を噛んだ。



そうだった。雪村 守の本当の母親は愛人というもので母親が病死した4歳の時に雪村家に引き取られ父親の本妻と長男から虐待を受け、見兼ねた父親が11歳の時に留学させたけど心に深い闇を抱えてしまう。

実はこの設定はhappyエンドのシナリオの場合にヒロインだけが知ることになる話なのだが悪役令嬢の瑠璃香はそんな内情知らないはず。


でもたった今、その内情の一部を彼はしゃべってしまったけど‥いいのだろうか?


「あの、余計なことを言ってしまいました。お家の事情もよく知らないのに口を出してしまって、ごめんなさい。」


再び頭を下げて謝った。

私の一言で嫌な思いをさせてしまったのだ、こればかりは心から申し訳ないと思った。


「僕の方こそ変なことを言って気を遣わせてしまってごめん。

でもなんだか瑠璃香ちゃん、2年前に比べて少し変わったね。誰かに頭を下げたところを見たことなかったから驚いてしまったよ。」


意外そうに呟く彼に私は曖昧に笑うしかなかった。


まぁ、私の記憶が戻る前の瑠璃香だったら

そうなのだろうがもうそんなワガママ女にはなれない。


「あの頃の私は子供だったのです。心を入れ替えて今は分別のある大人になりましたの。」

「ぶっ、へーそーなんだ。げほっ大人ねぇ‥」


おそらく信じていないだろう。

口に含んでいた紅茶がどこかの器官に入ってしまったのか噎せながら胡散臭そうな目で私を見ているからね。

しかも笑いそうになるのを堪えているの丸分かりだからね!


この際そんなこと気にしていでおこう。

両親が不在な今、学校を変更することは難しい。だから私が行わなければいけない次のミッションはただ一つ。



〜心を入れ替えてから考えてみたけどこの歳で婚約なんてまだ早いしお互いの為にも解消しませんか?〜





作戦(説得)を実行したいと思います!
















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