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ミッション失敗しました

意気込んで部屋を飛び出したのと同時に私付きのメイドが「お夕食の時間でございます」

と頭を下げた。

ちょうど良いタイミングだと心の中でガッツポーズをしてメイドに案内されダイニングへと向うことにした。


ご飯食べに行くのに部屋から五分かかるとはどんだけ広いんだよとツッコミたかったが今はそれどころではない。

私の命がかかっているのだ、なんとしてもこのミッションを成功させなければいけない。


メイドの足が止まり、派手な装飾の扉を開ければそこには両親が既に席についてニコニコ笑っていた。


とても嫌な予感がしてやまない。

がなんとか笑顔を作り両親と向かい合うように私も席についた。

さぁ、いつ話を切り出そうかと運ばれてきた分厚いステーキを綺麗に切り分けながら様子を伺っていると母が口を開いた。


「瑠璃香さん、明日守さんが日本に帰国されるそうですわ」

「ふぁっ!?」


思わずフォークとナイフを落としそうになるのを堪えて多分引きつっているであろう笑顔でお母様を凝視すれば何を勘違いしたのか私とそっくりの切れ長の瞳をこれでもかというほど垂れさせ、頬を赤らめ興奮した様子で言葉を続けた。


「留学を終えて高等学校は日本でお勉強されるそうですわ。あなたと同じ宮ノ杜学園に通うことになりましたのよ、良かったですわね。」

「え、ええ。とても嬉しいわ。」


そういえば雪村守は小学5年の終わりからイギリスに留学して高校入学するちょっと前に日本に戻ってくる設定だったっけ。

なんて最悪なタイミングに戻ってくるんだよこの野郎!

全然良くないです、お母様。


しかしこれで話がしやすくなった。

宮ノ杜学園ではなくもっと私に相応しい学校を探したいとかそんな理由でいいだろう。今度こそと両親を見据えれば次はお父様が人の良さそうな笑みを浮かべワイングラスを傾けながら頷いた。


「お前は守君が大好きだからなぁ。確か最後に会ったのはお前達の婚約パーティーをイギリスで開いた時だから‥もう2年前か。2年も間が空いていたんだ、会いたくてたまらないだろう?」

「‥ええ、早くお会いしたいわ。」


ごめんなさい、お父様。

お会いしたくないです、記憶が戻る前ならいざ知らずあの男の本性を知っている今は激しく会いたくありません。

というか13歳で婚約とかどうなの?

この世界は魔法とか超能力とかファンダジーな設定はなくて普通に日本が舞台なんですけど。


心の中で悪態をつきつつ、もう一度口を開いた瞬間、お母様の口からとんでもない爆弾発言が落とされた。


「そうよねぇ、早くお会いしたいわよね。

守さん、きっと素晴らしい好青年になっていらしてよ‥だから明日このお屋敷にご招待しましたわ」

「えっ、ちょ!どういうことですかっ」


娘が動揺して素っ頓狂な声を出したにもかかわらず気にならないのかお父様も笑顔でそれはいい、と嬉しそうにしている。


「で、でも帰国されてすぐに私達の屋敷に招待するなんて無理があるのでは?

もしかしたら体調もすぐれないかもしれませんわ!」


やめてやめて来ないで!と念じてみるがその願いは叶えられるはずもなくお母様の言葉でばっさり切り捨てられた。


「私も駄目元でお願いしてみましたのよ?でも守さんもぜひ私達にお会いしたいと言ってくださったの。きっと私達というより瑠璃香に会いたいのね、うふふ。」


クスクス小さく笑うお母様はとても絵になるが今はそれが腹立たしい。


いや、それよりも!

明日、明日この屋敷に来るというのかヤンデレが。


そんな、そんな、急展開‥



「う、嘘だぁぁぁぁっ!!」



私は某ホラーゲームの女の子の様に叫んで気絶してしまったのだった。


次はヤンデレさんが登場する‥かもです。

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