アパレル
結局、莉夏は断らずしばらく考えさせてくれと持ち帰ることにした。
有間は首をひねったが、莉夏は面白そうとワクワクしてる。
「肝心の虎臣くんはどうなの?」有間が心配そうに聞く。
「え〜っ、同居する気はないよ。紙だけよ。別居婚よ。」当然と言う感じで言う。
「ネットでもお互い人と同居とか無理って話し合ってたしね。彼はあの家が生まれた時から住んでるから好きらしいよ。
働き者のお手伝いさんと心配性の母と今の生活が気に入ってるのよ。」莉夏は当たり前と言う感じで話す。
「へーーーーッ!!」有間は驚く。
「私さ、今の結婚制度では結婚したくないなと思ってたから、結婚よりあっちの養女になる話が気に入ってるのよ〜
結婚なんて、あちらの財産に関与出来ないのに介護とか当然みたいに頼られるじゃない?
まず、結婚したらあちらの家で嫁とか言ってタダ働きとか…日本の女は昔からバカなんだなあ〜と思ってたのよ。」言っちゃいけない事をズバズバ言う。
「だから結婚して戸籍変わって、藤原家の養子になる話が気に入ってるの。
本家の大奥様と奥様は知ってるの!昔、旦那に営業掛ける時に調べ上げたから。
2人とも、ガン家系なのよ。そんなに保たないわあ〜」莉夏のこの性格は母譲りだ。
父は身内に情が厚すぎて殺されたが。
「ひどい性格だ…」有間は頭を抱える。
昔も従姉妹に後の持統天皇になる女の子がいた。
年が近いので良く遊んだ。
天智天皇の娘だ。
莉夏は持統天皇に良く似てると思ってたが、本当にそうなりそうだ。
「………」アキラはずっと黙ってる。
帰り際にわざと「糸くず付いてるよ。」と虎臣に触れたのだ。
こうすると背後霊や守護霊が見えるのだ。
本人の代わりに話してくれる。
が、彼には何も付いてなかった。母親が孤児で施設育ちだと言ってたからか?
身内が母と亡き父だけだし愛人だからか?
死者が付いていないのだ。
まあ、母親とお手伝いさんが可愛がっているようだが。
外の世界に出ないせいか?
誰も彼の周りには生霊も死霊もいなかった。
こういう人間は、異常に誰かを愛したり全く何にも人間に愛情が無いのか2択になりやすい。
彼は果たしてどっちなんだ…
まあ、莉夏もヒドい人間なのでどっちもどっちなんだが…
春からアキラにメールが来た。呪術協会の金は、渋谷のアパレル会社ネクストに流れているようだ。
ココの服は若者に人気がある。が社長夫婦、特に奥方が新興宗教にのめり込んでいるらしい。
「本物宗教ともつるんでるのか?しかし、愛人は?」アキラが呟く。
また会って詳しく聞かないといけないようだ。
「どっちも一筋縄ではいかないな…」引きこもりに別居婚とか新興宗教とか役小角の時代より話が複雑なようだ。