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学園祭 コンサート2日続けてやるの?

千尋との一コマ。

前職の同僚から頼まれて、夜間警備員を一週間やっていた。すると千尋と顔を会わせなくなり、一週間が、過ぎた。家に帰ると家内は旅行中 私の昼食は、冷蔵庫をあさり何とかありつけた。夕飯を考え千尋にメ-ルするとすぐに電話がきた。でも応答が何かおかしく言葉にトゲがあった。急いであやねさんに連絡すると

「ん~。千尋さん…どうもオヤジの顔が見えず落ち込んでいて…相当怒っていると思いますよ。」

「あやねさん!どうすればいいかな?」

「恋人なら…赤いバラ!オヤジの歳考えると無理!!」あやねさんは、腹の中で大笑いした。この父娘なんじゃ…と

夕食のレストランで案内された席の前で、赤いバラ1輪を、膝をおり千尋へ捧げて

「千尋!ゴメンネ!これで許して!!」

「うん!」 小さな声だった。

回りの人達も、ウェートレスも、目が点。見るからに老人が小娘に求婚しているみたい。なかなか注文をとりに来なかった。警察に電話されなくてよかった。

食後 何時ものスナックヘ寄った。何時ものボックス席に座ると千尋が突然私の足の上に、またがって座った。真正面に見る千尋の顔は美しかった。距離50センチ見惚れていた。憂いを含む瞳がじっと私を見詰めていた。両目から ス-と泪が流れた。同時に美しい顔が歪んだ。心の動揺を隠し慌てて両手で千尋の顔を挟むと親指で、そっと泪を拭いた。

「さみしかったぞ!」

「悲しかったぞ!」

「辛かったぞ!」

千尋の涙声を聞くと、私は千尋を抱き締めていた。

スナックのママは、そんな私達を呆れて見ていた。

初めて感情を爆発させた千尋は、私が背中を、さすっていたら寝てしまった。ママに謝って千尋をおぶって帰ることにした。大通りに出て、タクシーを拾うも運ちゃんに怪しい目をされ千尋は私をパパ呼ばわりして抱きついて甘えてきた。嬉しさ以上に犯罪者扱いの、回りの目が痛すぎた。


学園祭 当日 千尋は、とんでもない格好で出掛けようとしていた。スカ-フを頭にまき花柄のシャツ、丈の長いベスト、ジ-ンズはパンタロンそしてブーツ、極めつけはサングラスである。私は、あやねさんに缶ビールとおつまみを用意して貰い、タクシーに同乗して一緒に学園に向かった。学園に着くと千尋は教室へ私はあやねさんと喫煙所へ。

私の場所は舞台裾の邪魔にならない所。今行くと動けなくなりそうで、先に一服。暫くするとあやねさんに引っ張られ指定の場所に。

講堂は時間になっても半分も埋まらなかった。

それでも望月先生は千尋を励まし舞台へ送り出した。歌は ボブ・ディランの歌から始まった。

カ-ペンタ-ズの歌を2曲歌ったところで

「エ~!私 藤組1年 千尋といいます。今日頑張ってこんな格好してます。何時もですと父に引っ張られスナックで3曲500円で歌って…父の好きな曲を、父の涙を見ながら お駄賃を稼いでいます。

この後 拓郎•かぐや姫•松山千春を中心に時間一杯やらせてください。」

すると客席より

「尾崎豊も お願い!」

千尋はギターでアルペジオを始めていたのを止めるとピックをとりだし

コ-ドを変えた。そして

「I LOVE YOU」を歌い始めた。

講堂は知らぬ間に席は埋まり立ち見も一杯となり入れない生徒が外に溢れた。音は外にも流されていたため歌を聞く生徒の目が輝きに満ち溢れていた。

20曲辺りでギターを置いた。

「すいません。これ以上ギターコ-ド覚えられんので、カラオケに変えます。因みにヤマハさんの協力です。ハクシュ~!!」

爆笑と共に大きな拍手がおこった。会場がひとつとなり盛り上がっていった。千尋は、女性シンガーのアツプテンポの歌を歌い場をさらに盛り上げた。

「最後の曲です。 キャッツアイです!!」

「エ-!!」ざわめく会場。

「アンコールなしで、あと3曲!頑張ります。それから、今日は、私の初めてのコンサート御越しくださいまして、ありがとう御座います。今回一番苦労された、放送部員のスタッフさん、本当にありがとう御座います。それとヤマハさんのスタッフさんありがとう御座います。皆さんに、支えられたコンサートでした。この勢いで学園祭頑張りましょう。」

会場内割れんばかりの拍手喝采。

メロディーが流れ出した。キャッツアイの歌。

ダンシングヒ-ロ-•ギザギザハ-トの子守唄とつづき終了となった。

学生は盛り上がり熱気は各クラスへと伝わっていった。一方 千尋は皆に感謝を伝え成功を分かち合っていた。私は、ご機嫌に酔いつぶれ1歩手前。

メイド喫茶では、何時も不参加しそうな後ろ向きの女子の独壇場であった。呼び込みから接客とフル回転で活躍していた。

昼休み 望月先生は学長に呼び出されていた。

褒められる事は当たり前それ以上の御褒美は、ナニかな?お気楽な先生であった。

「実は、明日15時からコンサート出来ませんか?」

ふざけるなコノヤロウ!!と即答したかった。

「明日、同窓会があるのはご存知ですよね。学園に寄らず解散予定だったんですが、今日のコンサートのことを会長が知って問い合わせが……100名で伺うからと…半ば強制的に…それと言うのも今回が最後になる方が多く見えるようで…何とかお願いします。」

「学長!ラ-メン代出して貰えますか?放送部員とクラス全員の!!」

「わかった!! ただし学食のラ-メンにしてよ!」

顔面蒼白の放送部員。即座にヤマハの応援隊に連絡して参加をお願いした。ヤマハ側も即座に動いた。

予想以上に千尋のパフォーマンスに魅了された様だった。千尋も引っ張り出され曲目決めを手の空いているクラスメイトと先生交え決めていった。歌謡曲から演歌 しかも応援歌になる演歌。

歌が決まると音響確認そして照明。

そんななかでも、メイド喫茶の売り上げは、爆上がり状態で、クラス全員が 頑張っていた。

そんな時、千尋がボソっと言った。

「左手の指の皮、チョットヤバイ!ギター暫くやって無かったので、…明日ギター勘弁して!!」

その時になって、千尋の異変を知った。


学園祭 2日目 コンサート

同窓生を乗せたバスが4台着いた。

学園正門が騒がしく学長みずから同窓生の案内を勝手出ていた。しかしコンサートスタッフは、それどころではなかった。

なんとかコンサートはスタートした。

千尋が赤トンボを歌いながらステージに立った。

曲終わりに、自己紹介と寄って下さったお礼をのべた。すぐに ガード下のクツミガキなど2曲歌った。千尋が右手を上げた。スポットライトに当たる千尋の姿のみ。講堂内は、静寂に包まれていた。

皆が何事かと声をあげようとしたタイミングで

「秀ちゃん!秀ちゃん!ゴメンネ!あの時 私 怖くて…身体が動かなかった!血だらけの秀ちゃんが…泣き叫んでいたのに…ゴメンネ!ゴメンネ!その後 私…暗闇のなか 1人きりだった。怖くて泣いたよ。秀ちゃんの名を呼びモク兵衛•ヤッチン•ヨイネ•ヒデタ…みんなの名を呼んでたの!そしたら長谷部先生が皆を連れてきてくれた。嬉しかった。先生が天国に連れていってくれて今でもみんなで遊んでいるよ。秀ちゃん!私達の分まで長生きして頂戴!そしてまた一緒に遊ぼう!!」

「富ちゃ~ん!!」

客席から声が掛かった。80を過ぎた老婦人。秀ちゃんと呼ばれた同窓生の方である。舞台へ1歩2歩近付くとうずくまり泣き出してしまった。

千尋の口から次は男性の口調で

「私、学徒動員!引率教官長谷部一郎であります。

ご父兄の皆様より預かりし大切なお嬢様を…申し訳ありません。悔しくて…悲しくて…我が身を恥じておりました。有ってはならぬ事で有ります。

地の神様のお計らいで、確かに皆を天国に送り届けました。長き年月 教員•生徒の皆様による供養ありがとう御座います。これからも皆で精進してまいります。」

「長谷部先生~」

同窓生の老婦人が大声を上げ泣き崩れた。

千尋は力が抜けた様にしゃがみこんでしまった。

呆然となる講堂内 同窓生達。

千尋は、ゆっくりと立ち上がると

「あの~昨夜多くの霊達が…当時お友達へ言えなかった事を伝えて欲しいとの事で1部書面にしてあります。後で学長よりお渡し致します。彼等からの言伝てを聞いて下さい。 国のため 父母の為 友の為  戦のなかで 一生懸命、生きた。恥ずべき事は無い。反戦論者の言う平和こそが私達を貶める事であります。貴方達は、真っ直ぐ一生懸命生きて下さい。 との事です。それではコンサートに、戻りますね。」

客席がざわつくなか千尋はハミングを始めた。鎮魂歌の様であり、皆の心に春の陽射しを感じさせていた。

千尋が この時初めて演歌を歌った。

人の心の奥底を揺さぶる演歌のこぶし。

皆の目も耳も心も舞台に注目が集まり 今まさにあった不可思議な事を流していった。

日本人にとっての演歌は、傷心を優しく包む応援歌でもあった。それぞれの席で、それぞれの立場で、それぞれの経験で、それぞれの過去を思い出し 辛かった事、悲しかった事、惨めだった事、全てを応援歌は優しく、暖かく包み込み慰められ褒められた気分にさせていた。

感動の内にコンサートを終えた。

千尋達は、コンサート終了と同時にクラスへ戻った。スウィーツが大分残っていて、慌てた先生はメイド服を着込み客引きを始めた。御父兄や来客は、必死の形相で逃げた。どうもボッタクリバ-と勘違いされた様だった。

喫茶担当者は千尋に

「何か アイデア出して!!」

と すがって来た。

千尋の考えた苦肉の策が校内放送で流れた。

「2階 メイド喫茶にて、セット注文の方のみ

20名占いサ-ビス、相談事なんでもOK早いもの勝ちです!!」

メイド服を着た先生を裏方にお願いして、舞台衣装に、真っ白いシ-ツを頭から被り、占い師のスタイルになると、部屋の角にコ-ナ-を作った。放送から5分もたたず、お客が訪れ20分もすると予約は埋った。千尋はタロットカードを使い、占いに専念。

終了30分前には、全て終わりサ-ビスで、コ-ヒ-を飲んでいた。すると

「千尋さん!私も占って!お願い!」

先生の結婚時期を占った。今年中に相手と出逢い、来年 秋 結婚と出た。

大喜びする先生の顔はみんなの爆笑を誘った。



老人がチマチマ書いてます。まだまだ最初なんです。

次の次位で、京都へ行けたらいいなと思います。

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