初めてのステージ そして 鞍馬 と 貴船
前回の本文のつづきは次回とさせて!!
乗せれる回が ここしかなさそう………よろしく。
◇◇◇◇◇◇◇初めてのステージ◇◇◇◇◇◇◇
コンサート会場は、浜松駅前 アクトシティ浜松大ホール。会場前広場に、ヤマハのバイクが、展示され中央には、ボートまで展示されており千尋を喜ばせた。
あやねは、ボートに乗って喜ぶ千尋に呆れたが、それ以上に千尋がバイクに乗ってエンジンを掛けて貰うと目がキラキラ輝き出したのを見逃さなかった。
バイクは、安全の為 スタンドを噛ませ走り出さない様になっていたが、それでもチェンジを繰り返し爆音を響かせ ニタニタ!!
“暴走エロガキ”と あやねは笑っていた。
その “暴走エロガキ”が 一言ポツンと言った。
「あやね!私がデザインしたら私の一台作ってくれるかな? 出来たら電動バイクかな? 設計してみようかな?」
「一から設計してみたら?ネジの一つ一つから充電方法すべて……ひょっとして もう出来てるの?」
「2台…ちっちゃいヤツと大きいの!私のパソコンに入ってるよ! 斉木さんと相談してみて……!」
千尋は、アクトシティ内の会場受付奥に設置された透明なヤマハのグランドピアノの方へ移動した。
真っ赤なジュウタンの上にポツンと一台。
美しく佇む その姿………まるで私みたい。と そんな あやねのつぶやきを無視して椅子に座る千尋。
シューベルトのピアノソナタ第19番(らしい?)を弾き始めた。受付周辺に、ピアノの音色が響くと今までのざわめきは消え、静かにピアノの音のみ受付周辺をつつんだ。そして、野バラのメロディーが流れると、聞き慣れた旋律に周りはホッと心を取り戻し演奏者の少女を見た。
黒のキャップをかぶりサングラス、遥か昔流行った様な花柄のブラウスにパンタロンのジ-ンズ。
“謎 の 歌 姫” 皆がそう思った。
会場外。 コンサート前。 ピアノの演奏会?
しかし、 30分も続かなかった。
記念の写真を撮りたくて、演奏のジャマをするヤカラが現れた。あやねは、急いで後輩の今日子と鈴子を千尋に付けた。今日子はそっと千尋に“ウナギ屋です。” 千尋は、跳び上がらんばかりの喜びを抑えて
“ウン” “ウン” “ウン” と3回頷いた。
「今から昼食をとります。それでは失礼します。」
あやねは、その場の人達に告げた。
千尋は、今日子と鈴子に連れられ予約した近所の ウナギ屋 へ向かった。
あやねは、斉木にスマホで千尋の考えたバイクの話を振った。斉木は、技術部門の責任者5名と手の空いている社員(手の空いている社員などいなかった。無理やり引っ張られた社員)10名、秘密保持の為の警備員である。
皆を連れアクトシティへと戻って来た。
社長は、秘書から各部署事の騒ぎを聞きつけ慌てて斉木の後を追った。
あやねは、アクトシティ事務所でプリンターを借りて、バイクのデザイン画を5部作るとコンサート会場横の喫茶コーナーで斉木達に見せた。其は全体のデザインであって細部はプリント出来なかった。
何故なら、極秘が多すぎた。事前に、今日子と鈴子が千尋のパソコンを確認していた。2人の知識をもってしても追いつけぬものが多くあり、その事をあやねに報告していた。
1つの部品にしても 何がどうなのか?材質は?此の切れ目は何?どんな役目? 専門の人達もこうだろう?と思うしかなく…頭を痛めた。
あやねは、今日子達から全体の大まかな所は聞いていた。それを斉木に伝えると…。
「ひょっとしたら これ……クルマにも使える技術なの? するとクルマも有るんじゃないの?あやね聞いてないの?」
「ん~? 昨夜…6500ccって大きすぎるかな~?って、 オヤジ殿のクルマかも知れない。」
「すべて 教えて!此のデザインだけで…他社の3年先かも?」
「特許の件は、今日子達とつめて!今回彼女たちでも解らない点が多いみたいでね!」
「1度 本人交えて、全体会議をさせて!!」
社長が、慌てて飛び込んでくると、斉木の持っているデザイン画を確認しだした。
「これ?あの娘が? 昨日マスコットキャラクター描いたばかりだよ! それに!これ! 未来のバイクだよ! すごい!! なにか………スキップ踏みたい気分だね!!」
バイク好きの社長は、子供のころに返った様にデザインされたバイクに跨がっている自分を想像して夢の中。
あやねと斉木の密談中に今日子が戻って来た。
「姉様!!今回は、静大に協力してもらい、幾つかの実験をしないと先に進みませんよ。多過ぎます。部品の十数点ですが、材質とか、接合とか、専門企業の技術が必要です。」
「姫は…?」 あやねの問いに今日子は、
「鈴子に頼んで来ました。うな重お代わりしてました。恐ろしき食い気です。」
「ハハハハ これから奥様が見えますから気を引き締めて!夕飯は、21時過ぎだから16時おにぎり用意。来客とのトラブルは斉木さんに連絡しときます。特許案件は、2人で頼む!何しろ多すぎるし細かすぎる。」
「特許案件は、頭の問題でなく性格の問題!姉様!しっかりして下さいね!」
「うるへ~!!」
会社側より、コンサートの招待を受け 家内は、友人(私をほっぽって行く旅行の仲間で近所の奥さん)と行きたいとほざいたので、私は2日目の夜の部に決めた。これで2日間パチンコへ行ける。
家内は、初日の午後の部であり昼食は、千尋と一緒にうなぎ屋で待ち合わせの様である。したがって鈴子の案内で問題なく会場指定席に座れた。2日目私は、ラ-メン屋で腹ごしらえして、会場に着いたのは、18時頃、一番混んでいて1人でウロウロ、列に並んでいたが招待状の色が違うのが原因で、列から外され、暫し待たされ案内係の女の子に、2階に案内された。 “ へッ! 何故2階なの? ” 私が問うと アルバイトの女の子は、
“ 空いた席 ここしか無くて! スミマセン!”
招待状は、何故か 没収された。
ムカついた私は、暫く会場を出てタバコを吸うことにして、また受付と揉めゼッサンクレーマーと化していた。
2日目夜の公演は、トラブルが続いた。
会場外のグランドピアノは静かだった。前日は千尋の演奏があったのに… 千尋は、遊びに出なかった。その事が、来客よりの苦情という形で、運営スタッフに向かった。あまりにも多くの苦情に斉木は、公演前の舞台に上がった。
「本日は、謎の少女チヒロ コンサートへお越し頂きありがとう御座います。TVCMで話題となっておりますチヒロちゃんですが、弊社のイメージガールとして、まず1年間は頑張って貰います。ポスターも何枚か用意出来ておりますので、皆様の元へは、そろそろ着くと思います。
所で、来客の方より苦情が多数寄せられました。
チヒロちゃんは、ギター、ピアノ、エレキギターと出来ますので、会場各所で展示して遊んで貰おうと思って降りました。しかし 写真撮りの為に演奏を止めようとする方が現れ逃げる事となった様です。
現在13歳、接近できる男性は父親のみ、男性恐怖症なんです。女性も多いとダメです。
ご両親よりチヒロちゃんの身が心配と注意を受け、遊びに出るのは中止とさせて頂きました。
ただ、自社の女神をそこらのアイドルと勘違いされていると思います。
彼女の全ての感性と頭脳は、歌にとどまらず自社の発展の礎です。彼女の歌と笑顔 それこそが自社の未来と思って下さい。
それでは、コンサート始めましょう!!」
斉木が舞台をはけると、
舞台スタッフ(学園放送部員)が、弾き語りの準備に走った。
舞台中央には、グランドピアノ、両サイドに生花が飾られ ピアノの前にスタンドマイクが在り横に2m四方の台座にイスが置かれマイクがセットされていた。立って歌う場所と座って歌う場所らしい。
千尋が、ギターを片手に持ち現れると何も発せず客席に一礼して、イスに座るとスタッフが本人用とギター用マイクを調整した。
「先輩! ありがとうございます。」と千尋の言葉でセット完了そして それがスタート合図。
会場のライトが落ちた。ギターが鳴り出すと千尋がスポットライトに浮かび上がった。
ア-ア-ア---
あせを かいたので ひとやすみ マキわり…
かぐや姫の“ うちのお父さん ”から始まった。
唄い終わると、
「この歌は、父の大好きな歌なんです。子供の頃を思い出すって、お風呂のタキギを作る為、祖父と薪割りをしたと、その時の祖父の笑顔を思い出して、涙ぐみ……。父の良い思い出ですね。そんな父を見て私もこの歌が好きになりました。いつもこの歌が最初の歌なんです。皆さんも大切な父親をもっともっと大切にして下さいね。」
黒のキャップをかぶりサングラス、花柄のブラウスにデニムのパンタロンそしてブーツ。1960年台の昭和のまだまだ貧しい、けれど皆の心が豊かでゆとりがあった頃のイメージの姿。
あらためて千尋は挨拶をした。
「本日は、ありがとうございます。
ヤマハさんって大きな会社なんですね。こんなに多くの人を集めてくれて、しかも、こんな大きな会場で……私1人ですよ!プロでもないのに!13歳中学生です。私は、父と遊ぶ為に歌を唄っています。3曲唄って500円のお駄賃!ヤマハさん父より安いです。でも こんなステキなステージで歌えるんですからラッキーかな? 頑張って唄います。飽きずに聞いて下さい。」
「初 恋(村下孝蔵)」を唄い出した。
その後、
松山千春、チューリップ、かぐや姫、さだまさし
と3曲づつ唄い上げた。
千尋の声は、愁いを帯びて青春の儚さ、不安を思い出させていた。聞く人々に若かりし頃を思い出させ心を締め付けていた。そして当時の若者が夢を描いた様に未来に希望を託した事を思い出させていた。千尋の高音の伸びはシンガー本人を彷彿とさせ、そこに夢を託させてくれた。
千尋は、横にそっとギターを置いた。
「ここで、15分休ませて!! トイレ休憩!
じゃあ~ のちほど。」
話は違うが
欧州の船乗りの間で昔から言い伝えがあった。それは、夜 歌声が聞こえたら魔物に取り憑かれる…と。
歌声が聞こえると我を忘れて舵をきり座礁したり岩山に船をぶつけ多くの死傷者が出ると……。
人々は、魔物の歌声に惑わされてしまう……と。
千尋の歌声は、魔物以上の遥か遥か高みの女神の歌声。人間如き敵うものではない。聞けば、心の中は天上のやすらぎ、天上の7色の音色、神の慈愛、誰が離れられようか!! 人は、争い、怒り、偽りの無い 母のお腹の中の様な、神の御心の中 やすらぎを感じ安寧の世界に居た。
舞台では、スタッフがあわただしく動いていた。
台座が外され中央にマイクスタンド1本が立ち“歌謡曲だぞ”とアッピ-ル。
休憩タイムに、斉木がふたたび舞台に立った。
「え~! 休憩タイムにスミマセン!
今回、チヒロちゃんの初コンサートと言うことで、歌とギターのレッスン相当きつかった様です。流石のチヒロちゃんから苦情が出ました。
特上のうな重でなんとか……。そして
“ここ一ヶ月 教科書開いてない!”と だから私言ったんです。
“一回 目を通せば覚えるでしょう!” 私は、無理だけど、すると
“父と遊べない!!二泊3日東京ディズニーランド!お願い!!”
それで、東京でのコンサート決めました。
ところで、舞台スタッフとして学園放送部員10名応援して頂いてます。経費削減ではなく…チヒロちゃんの舞台構成の為です。当然プロが着いてですが…。
この応援スタッフも東京へお願いしています。さて
この後、新御三家と言われた野口さん、郷さん、西城さんの歌となります。楽しんで下さい。」
斉木が引き上げる時、千尋が現れた。
今度は、真っ赤なスーツ姿で真っ白のスカーフを頭に被りその上に真っ赤なキャップ。純白のシルクのシャツそしてルビー、サファイア、ダイヤが鏤められたチョ-カ-が千尋の白い首で輝いていた。
黒いサングラスはそのまま…。
「斉木さん!仕事増やすな!父と遊べない!!」
「大丈夫!遊ぶ時間 増やすよ!」
「安心出来ね--! ヘソ曲げるぞ!怖いぞ!」
突然、冗談を言っていた千尋の動きが止まった。
あわてて あやねに、
「お父様が 二階の奥に居る。迎えに行って!」
“千尋!” 私は、心の中で千尋を呼んだ。そして
“見えずらいから帰る!!”そお言って席を立った。
ドアから出た所であやねに捕まり引っ張られて指定席に案内されたが、ムカムカが治まらず席を立ち会場を出た。東側のコンビニの喫煙室で、タバコを立て続けに3本も吸ってしまった。私の心に、千尋から謝罪の声が悲鳴の様に聞こえてきた。
会場では、
サングラスを取った千尋の顔から表情が消えた。今まで見たこともない能面の様な顔に変わっていた。
そして斉木に、
「何故、父を二階の奥に? 父や私を馬鹿にしてるの?」
斉木も顔面蒼白で 首を横に振り
「そんなはずは無いよ!社員が案内する事になっている。」
「も-いい!父は2度と来てくれない!!2度とコンサートは やれない!」
千尋は、その場を離れ洗面所で、何度も何度も顔を洗ったが涙が止まらず みずから顔を叩き顔を洗った。 そして ステージに立った。
何事も、無かったように………。
野口五郎の「私鉄沿線」から始まった。
3曲唄い終わったところで、真っ直ぐ後ろに下がり客席に背を向けた。 メロディーが流れ出すと右足でリズムを取りマイクに向かった。
西城秀樹の「情熱の嵐」が始まった。
スタンドからマイクを外し左手に持つと身体を使って唄い上げた。
観客は、異常な程、盛り上がり当時の様な悲鳴まで上がった。
郷ひろみは「よろしく哀愁」から始まり…
「哀愁のカサブランカ」を唄い終わると歓声と拍手が、盛り上がりを見せ 納まりが効かないぐらいであった。
しかし、千尋はうつむき下げた両手にマイクは握られていた。歓声と拍手が治まるのを静かに待っていた。その千尋の様子に違和感を感じ、歓声と拍手は、静かに治まっていった。
「長い時間、お付き合い下さり ありがとうございました。(ここで、気持ちが抑えられず、千尋の目から大粒の涙が溢れ出した。サングラスをつたって床に涙は落ちていた。うつむいたまま 震える声で千尋は続けた。)
父が、途中で帰られてしまいました。私も帰りたかったけど父の教えを守り最後まで頑張りました。
父の前で唄うのが、私の一番の喜びであり幸せなんです。父が居なくなって……どうしていいのか?
何故唄うのか解らなかった。
…ワタシ 養女デス。父に拾って貰いました。顔も身体も、黒、青、黄色のアザだらけの子供でした。まわりからバケモノと呼ばれていました。そんな私を大切な娘としてくれ、アザも消してくれました。
全て父のお陰です。肩たたきやアンマだけでは足りないと思い…歌を。
このステージで、唄う姿を見せたかった。喜ぶ父の顔を見たかった。それなのに、
チグハグな対応で父を怒らせてしまった。
私もこんな父を見たのは始めてで…困ってます。
暫くコンサートは中止とさせて下さい。
………あと3曲唄います。聞いて下さい。
……アンコールは………ご免なさい。」
千尋は深々と頭を下げた。
会場内ざわつきが起きるもメロディーが流れると静かに…静かに…なっていった。
時代(中島みゆき)
空と君のあいだに(中島みゆき)
ヘッドライトテ-ルライト(中島みゆき)
最後の歌を唄い終わると、
「会社の星である皆様方に、恥ずかしい話をして申し訳ありませんでした。歌も皆様方の力になれば嬉しいです。本日は、ありがとうございました。」
千尋は、また深々と頭を下げると舞台を去った。
千尋は、今日子や鈴子と共に控え室を出るとコンビニの私の所へ駆け出していた。
私は、あやねに捕まり缶ビールを飲まされ、なんだ、かんだと話かけられて、つまみは、あやねが私の口に運んでくれ、鼻の下を伸ばしスケベ心全開で逃げる気が起きなかった。私達は、まわりの若者やおじさんの羨望の的となっていた。“愛人を連れたエロおじさん”羨ましい眼差しが痛かった。そんなところへ三人がやって来た。千尋は、私を見つけると一目散に懐に飛び込んできた。ただ 一言、
「ごめんなさい。」
私は、ムカついて我が儘を通した。しかし
千尋は、辛い思いをしても私の事を思い自分の心を傷付けていた。千尋の頭を撫でながら、
「千尋!!ごめんよ!私が我が儘だったね!」
千尋の優しい心使いが私の心を和ませてくれた。
この後、千尋が私がよく行くスナックヘ案内してくれた。五人で、馬鹿騒ぎして私はあやねとデュエットなどしてエロオヤジ全開。あやねの腰を抱き寄せ肩に手を回し、嫌がるあやねを無視して気持ちよく歌った。千尋は、焼きそばを自分で作り店の角で食べていた。今日子と鈴子に、煽てられブタが木に登るが如く鼻の下を伸ばしボトル三本空けてしまった。飲んだのは私ではない三羽烏恐るべし。あやねは私を担当。しかし 手しか触らしてくれんかった。若い娘は薄情や残念!
私と千尋がスナックに来て居る時
斉木と社長は、うなぎ屋で待ちぼうけ!連絡も無し。会場で、斉木が急ぎ控え室に入るとそこには、千尋の姿は無くスマホであやねに連絡を入れると、
「千尋ちゃんが、泣き崩れてる。オヤジ殿にすがり付いて謝罪してる。今は、そっとしてあげて! 余分な事すると話がこじれる。明日!」
「明日、謝罪に伺います。」
斉木は、社長に告げ…うな重二つやけ食い。そして社長にも やけ食いを勧めた。
社長は斉木に聞いた。
「千尋ちゃん まだ怒っているのか? プレゼントは、どうか? あのバイクの件は どうなる? 特許の案件は? 次のコンサートは大丈夫か?………頼む! 教えてくれ!!」
「まず、千尋ちゃんにとってお父様は、命の恩人だと……。異常なくらい大切にされてます。その大切な人を うちの社員が、怒らせてしまった。逆鱗に触れるどころか、蹴りを入れてしまったんです。
そのお父様は、小さな会社で名前だけの社長ですけど 資産は、億を越えていて見た目だけでは、計り知れない人物です。
千尋ちゃんを、お金で釣る事は不可能なので、食事で、誘っていたんです。お父様の好きな食べ物、飲み物と云う案内ですけど……。」
「オヤジ殿中心の考え方か…?」
「きれいな若い女の子を、世話すれば一番喜んでくれますが……千尋ちゃんに殺されます。浮気対策に付き人のあやねさんです。だからブランド品を好きなだけ買って貰っているそうです。」
「付き人?…愛人なんだろう!」
「千尋ちゃんが、許しません。ましてや怖い奥様が居ますから。
あやねさんは、年棒で1000万以上。マァ!まわりから愛人と思われています。
ですが、会社の業務の決定権を持って居ます。
彼女も天才ですよ。資産全て任されています。他に今日、二人の女の子がいましたが、数か国語を話し、物理、科学、情報、数学、工学と別次元の頭をしてます。そんな彼女達から見ても千尋ちゃんは、別格なんです。
あのバイクにしても、現実出来るに、何年係るか解りません。バイクと会話出来て、車両点検、ナビシステム、オートコントロール、クルマの未来型としても、面白いシステムですよ!!」
「あのバイク………スタイルだけじゃないのか?
バイクと会話?オートコントロール?
しゃべるパソコンか? 未来ロボットの時代か?
私の代で`…夢の世界……出来るのか?」
「千尋ちゃんの頭の中では出来てます。その為の設計図の数々、シャフトのバイク、そのバイクの頭脳、プログラムの数々、バッテリーも、充電も、すべて特許案件です。
千尋ちゃんが願ってた事 それは
“お父様に、6500ccクラスの高級車……と” ならば作ろうじゃない、日本のロールスロイス。
日本の技術の粋を集めて、上限を1億円として、そのクルマ電気自動車製造して謝罪の形としてプレゼント。お金が、係りますがわが社がブランドとして立ち上げれば、面白くなりますよ。5000万円以上の高級車です。
やけ食いの意味解って貰えますか?」
「斉木!!開き直りか?……やるな! ピンチをチャンスに そしてさらに大ジャンプ!!」
話は、大きく纏まったが、突破口が見つからなかった。斉木は、あやねに相談するしか無かった。
翌日
私は、千尋とあやね三人で、朝早く京都へ向かった。私と千尋は、チキンバーガー。あやねは、Wバーガーに食らいついて、早い早い。すぐに、
「チョット、トイレ!」 あやねは、そそくさと席を立った。 電話をかける為だ。
あやねから斉木に連絡を取った。
「サイ!何やってんのよ!千尋ちゃんが泣き通しだった! どうも あの親子は、口で喋っている事以外の事を、頭の中で喋っているのよ!
普通 千尋ちゃんが泣くかよ!!
よっぽど酷く オヤジ殿に、怒やされたと思う……
頭の中で!! しばらく会わない方がいい! 怒りが千尋ちゃんの頭を突き抜けた!」
「今! 何処? 浜松の自宅?」
「新幹線の中。京都へ向かっている。オヤジ殿と一緒よ! 今日は寺巡り……だと思う。突然の事で私もわかんない。こんなこと始めてだよ。」
「宿泊先 後で教えて!!私1人で謝罪に伺うから!!」
斉木の言葉の端々から覚悟と言うか思い込んだ決意が垣間見え あやねは止められぬと思いメールする事を約束した。
今回、あやねは、千尋の京都旅行の間に少しでも形に出来るように今日子と鈴子に千尋の考えたバイクの開発手順を作らせていた。研究内容で、必要な実験は何か? それによって会社の研究室か?大学か? 全てを1から構築させていた。
部材、素材、1つひとつチェックの上、特殊な工程の出来る会社の洗い出し、そして、
全ての形を一週間で作り上げ斉木との連絡待ちとなった。今日子も鈴子も、夢のバイクが本当に実現すると確信を持った。同時に自分達と同レベルの仲間を探した。二人では、細部に渡り目が届かないと同時に自分の仕事を減らしたかった。とにかく、やることが多すぎた。
あやねに頼み大学の「智者不言の会(エリートだけの集まりで、IQの高い人物のみの会である。)」
その名簿から、実力有る者を選び抜き、今日子達の二つ上の大手企業でくすぶっていた先輩一人と偏屈で就職も決まらぬ後輩九人……優しく説得するも聞く耳持たず、仕方なく あやねの名を出し力強く脅し、無理矢理、強制的に、問答無用で会社に入れた。空手部の後輩20名が動員されたらしい。
出社当日、彼等は “ 死人の様だった。 ”と 社員の笑い話になった。
さてさて、 話しは急ぎ、京都駅に戻ります。
京都駅より、あやねの手配したワンボックスの大型タクシーに乗った。
「今日1日 よろしくお願いいたします。」あやねが、挨拶をすると
「ありがとうございます。まず どちらに行きますか?」 問われたあやねは、“ ? ” そして
「オヤジ殿 ……どちらへ?」
いつもより、気を使っているあやね、
昨夜は、あまりにしつこいスキンシップに、足蹴にしようと思ったが、歳が歳だけに“ グッ ”とこらえた あやねであった。しかし、私の落ち込み様に少し反省したみたいで、有り得ない事だが少し気を使っていた。
私は、声を大にして言いたい
“反省するなら 触らせろ!!”
千尋には、言えないが………。そんな千尋が、
「貴船神社へお願いします。」と答えた。そして、座ろうとする私のおしりを、ピシャンと叩き、
「エロオヤジ!治りませんか?」
バレてたみたい。あわてて目をそらし、あたふたして外の景色を見た。そんな私を見て千尋は、笑みを浮かべていた。
そんな私達を乗せタクシーは動き出した。
あやねは、貴船神社の側で食事処を探し始めた。
千尋は、あやねから川床の話しを聞くと
「お父様 川の上で食事ですって!ステキ!!」
頃は 6月中の頃
「まだ……チョット……寒くないかい?」
すると、チャチャを入れるかのように、
「大丈夫!大丈夫!」 気楽なあやねであった。
タクシーは、道路脇で止まった。
「ここら辺りから、歩かれると商店が見れて宜しいかと……。」
「お父様、予約時間まで1時間程有りますから……それと、運転手さんも一緒に食事をと思っていますので、時間潰し……。」
「お母さんに、お土産でも買いますか?」
運転手さんと予約した食事処で待ち合わせして、タクシーを降りた。
予約のお店までの、いろんな商店が建ち並ぶ一本道を右手の川のせせらぎを聞きながら歩いた。
その後、川床での食事が楽しく千尋とあやねの笑顔が眩しかった。 食後、まだ買い足りないと言い訳して運転手さんに、買った荷物を預け1時間後の約束をして別れた。
「これから どちらに…?」 あやねの問いに
「魔王殿!!」 と千尋
「これから、鞍馬寺へですか?歩く道中、だいぶ キツくないですか?」
「中抜き!クラに伝えたから、大丈夫!」
「クラ…?って ダレ? 会った事無いよ?」
「貴船の女性! 優しい女性だよ!」
「何時会ったの? 私…知らないよ!」
「頭の中よ! お母様のボディーガードに就いてもらう。」
「何故? 魔王殿ですか?」
「魔人達の封印を解く! 父が大昔に封印した。その管理に鞍馬を置いた。時代が過ぎ去ったから鞍馬も忘れているだろう。喧嘩になるかもね。あやね!勝てるかな?」
「父が封印? あの~。 このエロオヤジじゃ無いよね?」
「ん~……。このエロオヤジ!!…だと思う。」
だと思う……の千尋の一言で私の心は落ち込んだ。
泥沼にはまった。いじけた。ソッポを向いた。涙が一滴。うつむく60歳。
私そっちのけの二人。
「クラマ…? 大陸から来たヤツですよね?
あの山から立ち上がる波動からすると同格!こちらの山では、チョット負けそう。何ですか、コイツら!」
「ハハハハ………こちらの山がクラ!怒ると怖いよ。 でも…父の前では、甘ったるい声で、すりよりゃがる。 エロムスメだよ!」
「ん~?エロガキがエロムスメって笑える!!」
「エロガキって ナンジャ! あやね!テメェ-!」
あやねは、逃げるに速かった。なんと私を盾にして、行ったり来たり、挙げ句に私の後ろにまわり叫んだ。
「奥様が!そう言ってた!!私じゃ無い!」
茫然とする千尋。 私は、吹き出した。
我に返った千尋は、怒りに任せあやねを怒つこおと、蹴り倒そおと、ゲンコツと蹴りの風圧が、私のまわりを覆った。
私は、風を切る音と風圧に恐ろしさ感じチョット、チビってしまった。私を、巻き込まないで欲しい。それでも、じゃれ会う二人。通りを目一杯使い……クルマが来なくて良かった。
大体、25歳に成ろうとするあやねとヤンキーぽい格好の13歳の千尋が喧嘩。そして、あやねは上手く逃げ回り、千尋は必死に怒つこおとしていた。
空手技が、入っての立ち回りは、回りを驚かし近寄れぬ、止められぬ、そんな喧嘩であった。これだけは言える、“巻き沿いに為るのは勘弁、関わりたくない!” 回りの参拝者達全員の考えであった。私も関わりたくない程のじゃれ会いであった。
昨日の鬱憤ばらしを、あやねが考えた様だった。あやねは、ふざけて見せているが内心必死で逃げていた。千尋の技は、鋭くあやねが技を出す隙すら無かった。それを隠して最後までふざけ通した。
私は、あやねの気持ちに感謝したが、千尋が一番解ったようだった。
私の前に一人の女の子。
茶髪であるが丸いメガネを掛け、髪の毛は両サイドに束ねてゴムで止めていた。色あせた様なTシャツにジ-ンズと風変わりなイメージの女の子。爽やかな笑顔を浮かべて深々と頭を下げた。
「お懐かしゅうございます。覚えていらっしゃいますか?」
私の記憶には、残念だが何もない。しかし私の口が勝手に喋っていた。
「クラ! 久しいな!これから先の手助けが欲しい。千尋を助けてやってくれ!」
「ハッ!!」
クラと呼ばれた女の子は、即座に片ひざをおり頭を下げ礼を執った。
あやねはその場で棒立ちになった。私の背中を見て腰を抜かさんばかりに目が大きく開かれ気絶一歩手前。私のオ-ラが、千尋以上になっていたらしいが一瞬の事。
エロオヤジが、有り得ぬと今の事を必死で打ち消した。無かった事として頭の中をアップデートしていた。1分掛からず…単純な頭である。
千尋も突然クラの登場で動きが止まった。
すぐに、クラを立たせ 千尋とあやねを呼んだ。
まわりで観戦していた参拝客達は、ホッ!!として神社の方へ歩きだしていた。
不貞腐れた千尋とすぐにでも逃げ出せる体勢のあやね。私の右と左の二人。二人の頭を撫でながら、
「いい加減にしないと…お尻 撫ぜ撫ぜだぞ!」と
ニヤつく私。
あやねとクラは、呆れて馬鹿にした表情になった。
千尋は、私の懐に飛び込んできて、
「いい加減にして--!!!!」
私は、笑って誤魔化した。それでも、久し振りに千尋を気持ちよく抱き締めていた。そして
「千尋!クラが来たから、クラマに会いに行くか?」
「お父様、1日係のハイキングみたいなものですよ!!」 白々しく一般的返答。
「千尋が居て!あやねが居て!クラが居る! 5分程で行けるだろ~。30分も歩けん!!」
「オヤジ殿は、さすが手を抜くのが上手い。自分の事は、大きな鉄板の棚の上ですか?」
ちゃかすあやね!
「当たり前だ!他人は他人!自分の為に私は生きる!」堂々たる私の発言(どうだ!)胸を張った。
「姫が上を向いてます。オヤジ殿の得意な自分勝手!!」
あやねに、おちょくられる私であった。
クラは、口と腹を手で押さえて下を向いていた。私のオ-ラの変化は一瞬だったようだ。この時 自分でも自分が解らなかった。それでも自分であった。
自分勝手こそ私である。そして自分じゃない自分も自分である。そこが重要だけど結論として “どうでもいい!” それも自分であった。
私達の場所から魔王殿まで、若ければ20分か30分。
最初から山登りなのか?ハイキングじゃないの?緩やかな山道を考えていたがチョット違った。
入り口辺りから山登り? ちょっと まて!!
見ただけで “ハァ~” 無理 疲れるのは嫌だ。
私は、伝家の宝刀を抜いた。親の特権として、
「千尋!時間が無い(事にしよう)手を抜いて!」
山登り始めた所で…目の前に白いモヤ、足元に気を付けて、 気づいたら “魔王殿”
楽できてウキウキ。スキップ踏みたい気分。
その心の底を気づかれ無いように、そっと千尋を抱き寄せ頭をナデナデ。
千尋の前に立つ事の無かったあやねが、そっと千尋の服を摘まむと
「囲まれている!! 数は数百!!」
小声で伝えると千尋の前に立った。
私は、呆気に取られていた。
「 無 礼 者 !! 」 クラが叫んだ。
同時に
千尋の全身が光った。強烈なフラッシュがたかれた様に、 ピ カ 一 と。
瞬間に、目が眩んだ。立っては、いたが突然目の前真っ白! まったく 何も見えない!!
“ 私まで、見えなくなって どうする!! ”と
大声で叫びたかった。しかし、そんな勇気も無く ジ-としていた。
すぐに、回りの木々より落下する音、数え切れず!
クラが、法力を以て寄せ集めた。
クラの網の手より抜け出た光体が3つ。
あやねの前で土下座して震えていた。
千尋が叫んだ。
「あやね! 伏せろ!!」
千尋の下げていた拳より親指が何かを弾いた。
魔王殿の正面が、ピカ一と赤く光った。すると、赤い光を打ち消す様に線香花火の様な小さな光が回りを覆った。光が、消えても其処だけスポットライトに当たっている様に見えた。
光の丸い板の様な物の中に、黒の十字架その十字架に括られた男。昔の衣装を身に纏った男……照り輝く黒の着物の修験者風……鞍馬であった。
千尋は、怒りに満ちていた。
私と千尋を解らずにいるクラマに対しての憤りが大きく、殺気まで放って居ることに激怒していた。
千尋は、静かにクラマに歩み寄った。
「クラマ! 敵に成りに来たか? 挨拶か?
殺気は、何のためか?」
「あ い さ つ に……………」
絞り出す様に 男は 言った。
その時、私の前に出ていたクラの右手が、サッと横に動いた。光の剣が、右側に向けられた。
「オヌシ!! なにしに 参った?!!」
クラの怒声が響いた。
私の口が勝手に…
「ヤメか? 大きくなったな!」
黒の着物に、赤い襦袢そして長髪を縄で縛った女性が、私の右手で土下座していた。
千尋もあやねもヤメに気付くことが出来なかった。それ程の腕である。ヤメは、クラマを止めに来たが、間に合わず慌てて私へ謝罪を……と しかし、ヤメの実力があまりに高く皆は、攻撃を仕掛けて来たと勘違いしてしまった。
千尋は、勘違いからの怒りがあまりにも強くあやねですら止められず、私が止めるしか無かった。
「クラマ! 貴様! 舐めているのか?
ブッ殺してくれる!!!!」
千尋が、真っ赤なオ-ラに包まれオ-ラからプラズマが、ほとばしっていた。雷の数百倍の電圧である。
「親方様!! 御許しを!! 兄上を!!…
御許しを!! 御許しを!!……」
ヤメは、地べたに頭をぶつける様に、何度も、何度も謝罪を繰り返していた。
「千尋! 終わりなさい! こちらへ!」
私の、一言で千尋はあきれ顔で、私の元へ戻った。
私が、クラマを指差し手招きをすると、施錠がハズレ私の前で片ひざをおり頭を下げた。
「親方様!!御無沙汰で御座います。
不様な姿を晒し申し訳御座いません。」
「クラマ!世が動いておる。天地全てを支配する御前は、何処へ行った?!! 鼻を高くするな!御前は天狗ではない。御前自身が、至高の宝ではないか!!」
クラマは、両膝を折り土下座の体勢で泣き出していた。昔を思い出していた。開山の時の苦労と民の喜び、清水を守護し、多くの導く者を教え日の本の灯りと成らんとした事。そして、今一度チャンスを頂いた喜びを、感謝を、伝える術が無い!どうしたものか…思い悩んだ。
「ヤメと魔物達を借り受ける。」と 私が言うと
「ヤメ! 龍治! しかと働け!!」 と クラマ
余分な言葉は要らなかった。
「千尋!後の事 頼むね」
「お父様!正体バレますよ。」
「ここまで! ここまで!」
クラの手より逃げ延びた三体は、頭領の龍治、妹の楓と瞳であった。この後、千尋の命令で300名以上が人の世に出た。因みに、クラは半年前京都で虐めによって殺された17歳の少女と入れ替わった。殺人に、関わった同級生三人とその親兄弟全て消し去った。真実は闇の中……警察が動いている時、クラは病院で意識不明、意識が戻ると記憶喪失、別人の様な態度に代わった。その後刑事が二人、クラについていた時、学校で、やはり虐めに加わっていた二人が、何時ものように放課後クラを殴る、蹴るの暴行。刑事は、見て見ぬふり、声も上げずやられるまま、全身傷だらけになっても刑事は、助けなかった。殴り疲れた二人は、笑いながら帰って行った。クラは、うつ伏せで暫く動けなかった。クラは泣きながら、破かれたノ-トや教科書をボロボロの鞄に入れ帰路に着いた。カバンを小脇に抱えフラフラした足取りであった。次の日、刑事が同じようについていた。クラは、学校へは行かずフラフラと山の方へ、小さな社の階段に座り ボ-と街の方を眺め1日を過ごした。次の日も……。クラに暴行を加えた二人は、鴨川に浮かんだ。それでもクラは、学校へは行かずフラフラ。鴨川に浮かんだ二人の親は失踪、兄弟は首を吊っていた。全て終わった所で、クラは刑事のクルマに近付き刑事に言った。「私が暴行されなければ、あの二人は死なずに済んだのに…ザンネンね。」
警察は、何もしなかった、そして何も出来なかった。
クラには、200名以上の護衛が居たが、あやねに凄腕100名が貸し出された。
これが、裏の部隊。
魔王殿の封印を解いた。
200名以上の魔物達。クラマの妹ヤメ。貴船神社よりクラ、クラの護衛200名以上。
千尋の新たな仲間達、
ヤマハとのトラブルを利用して、京都への傷心旅行は、誰も不信に思わない行動であった。
表の世界も裏の世界も千尋の手の中に納める為の旅行であった。
その後のホテルにて、
あやねは、ヤメの戸籍を作り、クラの母親を夕食に招いた。
私は、すぐに千尋とホテルの温水プールへ向かった。
あやねは、ショップに連絡をするとヤメとクラの衣装を勝手に決めていた。しかも専門ブティック2社に下着から靴まで注文を入れホテルで決めることに成っていた。
その上、千香にも連絡しており豪華料理とホテル名をだし確認を取った。本人を入れ5名が来ることに成っていた。(宿泊込みである!)
17時過ぎると、ホテルロビーとスウィートル-ムで、ドタバタが始まった。
私は、温水プールで千尋の水着姿に、ホ-ホ-ホ-と見とれ、あやねは、フロントへ千香を迎えに行き、部屋の中では、ヤメとクラの服装と……。
セリーヌとエルメス なんと2000万円を簡単に越えた…らしい。
ヤメは、私達と一緒に行動し、クラは、改めて引っ越しとなった。
千香は、仲間と高級レストランの雰囲気に負けず、我が道を通し賑やかな食事となった。マキ達が加わる4ヵ月程前の話しで、この後、今日子と鈴子が京都へ参加し浜松は、10名の新人が回すこととなる。
問題は、ヤマハの斉木で、自分の髪にハサミを入れザンバラ髪で土下座。
ホテルロビーである。まだ多くの人がいる前でやりゃがった。一般客でなく一般セレブの前で、全てを自分でしょい込み、自分の責任としてである。
私は、何も言えず、あやねとヤメに無理やり部屋へ案内させた。あやねは、唯オロオロするばかり。
ヤメは、別室へ逃げた。
千尋は、静かに言った。
「3ヵ月、コンサート、イベント、参加しません。
仕事は、それ以降のこと、
コンサートの時は、案内状に父母をはっきりと書くこと、座席カバーで、分からせて!
研究問題は今日子と鈴子が形を作る。続ければいい。」
斉木は涙を流し頷いていた。
「お父様、これで機嫌直して頂けますか?」
「千尋が決めたならそれでいい!でも私は今後コンサートには行かない! スナックで、歌ってくれればいい!」
「お父様!」 千尋は泣き崩れた。
「斉木さん、本当の大企業とは……まぁ~止めときましょう。今回の事、大ごとに成りすぎたので、どのツラ下げて行けますか?
千尋も聞きなさい! 他愛ないミスだからこそ、怒る私が悪くなる。普通行けませんよ!」
それまで、考え込んでいた あやねが、
「オヤジ殿! ツラの皮が特に厚いのに…厚顔無恥の権化ではないですか! 谷間覗いたり、胸触ったり…これがツラの皮が薄い人の筈がない!」
千尋の目付きが変わった、
鋭くなった、キツくなった、私を睨んでる!
泣き腫らした顔で……私の逃げ場が無い!
私の立場が……、権力が.……、すべて……、
あやねに潰された。
若い女性は、ケチの上に薄情や! そう思った。
「お父様! やってたんですか?」
「千尋!話しが替わっている!!私は無実だ!!」
「コンサート!来てくれますね?
く れ ま す ね!!!!」
「ウン」 頷くしか無かった。
若い女性の、甘い言葉と紛らわしい態度は要注意。
年寄りよ気を付けよう!!落ち込む60歳。
別室のヤメのけたたましい笑い声が腹立たしく聞こえてきた。




