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セレブ と 贅沢 と 価値観

   ☆☆☆☆☆伊良湖へドライブ☆☆☆☆☆ 



ある時、大アサリを食べたくなった。

家内をドライブに誘ったらあっさり断られ一言

「千尋を連れて行ったら?」

千尋は千尋で家内を誘ったら

「オシャレも食物もイマイチ!イヤイヤ!」 続けて

「Gパンで行きなさい。エロオヤジは洒落たとこ行かないからね。」

千尋は、普通のGパンが無かった。

あやねさんに相談して、車の中だけでオシャレをすると決めた。 

コンパクトカーで3人乗り 問題ないはず。 しかし

「オヤジさん、もう少し大きい車にしたら?」

あやねの指摘にめげず “ 金が無いから!! ”

確かに、私は金が無いとあやねに言った。 しかし、この時 私の通帳管理をあやねがやって居ることを知らなかった。毎月積み上がっていく莫大なお金は、あやねが、各銀行に振り分けていた。私と銀行に行っても、あやねにはお茶がお茶菓子付きで出る。変だと思っていた。  

伊良湖へ向かう途中、ディーラーのカ-ショップへ寄らされた。私と派手な姿の千尋とあやね どお見てもエロオヤジが愛人2人連れている様に映ったらしく、誰も相手してくれない。  私はヘコんだ。

あやねは、真っ赤なスポーツカ-が欲しいらしい。ガラスに張られたポスターを見ただけで、フェアレディZに飛びついた。なんと3000cc……3ナンバー……全てが高い。残念な事に…運悪く…何なんだ…悔しいけれど、現物がそこに、展示されていた。フェアレディZ!

あやねは、直ぐに乗り込んだ。ナビの画面がどうの…内装がどうの…ハンドルが色気が無い…言いたい事を並べ立て、こうして、ああして、これ付けて、あれ付けて…とやりだした。

私は、怖くなってイスに腰掛けて外を見ていた。

あやねの信条は、豪華・派手・高い・高級 全て自分の物。 千尋は天を仰ぎ 私はスマホをいじり出し心の中で叫んだ。 “ヤメテくれ-”

内装から外回り 付けれる物は、余分な装備まで付けていた。 これ必要?

私に聞こえたのは “赤や” 赤が重要らしい。派手な赤! 恐ろしい事に、結局決めていた。

支払いに、千尋が呼ばれ あやねの言うがままに決めたみたい。……私は知らん!…知らん事にして!!

恐ろしい微笑みのあやねが私の所に来た。

「オヤジ殿 今回 ゴチになります。」

……へ!…ワ・タ・シ?  ウソと言って!!

(心の声が顔に出ても あやねの微笑みにコテンパ-に負けた。)

千尋を見ると何故か項垂れていた。

   13歳 千尋が負けた…言い負けた。あやねの熱弁に歯が立たず。

   60歳 わたし…頭でも口でも腕力でも 病弱な私では勝てん。

好き勝手振る舞うあやねは、千尋の1番のお気に入り、事情は知らないが、現世でも昔のまま。

値段は、怖くて聞けなかった。しかし、あやねの勝ち誇った顔が今までに無い程、美しかった。


車は、バイパスを使わず下道を西に走った。

汐見坂 中頃右手に3軒の食堂があった。そこで食事を取ろおと右手に曲がった。お昼前なのに、トラックやら乗用車が多く停まっていた。やっとの思いでスペースに駐車したのにトラブルが起きた。

「オヤジ殿 ゴチになりたくない。」

「あやねは、ゴチにナリト-ナイ!!」 

涙声で、叫んでいた。本当に辛そうな顔をして、

大衆食堂に自分の姿が あり得ないらしい。高級レストランしか入りたく無いと 駄々をこねていた。しかも、自分でお金を払う気は一切無い。

千尋は呆れながら、止めを指した。

「あやね!お父様に車を買って貰って、付き合わないと車 返品になるよ。どおする?」

あやねは、ガックリ肩をおとし車から降りた。

派手な女の子が2人入れば、目立ちすぎ皆の注目を浴び、私はこっそり後に続いた。回りを見渡せば若い女の子は居なかった。おじさんばかり...。

回りの目など2人は気にもしなかった。

私と千尋は定食に決めるとあやねも同じ物を頼み貝汁を別途3人分注文した。この貝汁は、後で千尋とあやねが、大絶賛した。

食後、今来た道を戻る様に下り 右手奥に在る道の駅の方へ曲がった。千尋にダチョウの話をしてたので、そのダチョウを見に来た。道の駅の南側に大きな空き地が在りそこでダチョウが飼われていた。空き地に車を入れると右手にダチョウが飼われており左手にはサ-ファ-達の車が10台程停まっていた。奥にポツンと1台のアイスの自販機 そこへ車を止めると千尋は、ダチョウの柵の方へ走って行った。私が自販機でアイスを買っていると大変な事が起きていた。

この時、千尋のファッションは、白のブラウスにジャケットそして裾まで広がったパンツ姿、スタイルも良く背も高く年齢以上に見えた。その上 柵の前で数羽のダチョウの頭を撫でて何かしゃべって、微笑む姿は遠目に見ても 絵になる程。

そんな千尋をサ-ファ-の男達は、放って置かなかった。千尋に、2人の男が声をかけており その後ろに、十数人程並んでいた。対応が解らず怖さのみで顔面蒼白の千尋、ただ首を横に激しく振るのみ。

そんな場面を、あやねが見つけ慌てて走った。

“やめろ” と叫びながら走り 人を掻き分け 千尋を抱きしめると、 “ 散れ ”と絶叫。

千尋があやねに抱えられ戻って来ると直ぐに私に抱き付いてきた。よっぽど怖かった様で、何も言わず 私にすがり付いていた。震える千尋の背中をさすり

「怖かったね! もう大丈夫だよ!」

サ-ファ-の男達は、バツが悪そうに 私に会釈して自分達の車に戻って行った。

千尋が、落ち着いたのを見計らって、車を42号線に戻し伊良湖に向かった。しばらく走り、左手のコンビニを見つけ車を入れた。

「オヤジ殿 今度は 何ですか?」

「お茶とお菓子を買って景色を眺めよう。綺麗な景色その中に太平洋 良いと思う。」

「オヤジ殿 ロマンチストはいいですが…歳です。」

「あやねさん!ロマンに歳は関係ないよ、男のロマンは死ぬまで…!」

「ハハハハ…しゃ~ない! 付き合いますよ。」

千尋は、私とあやねの話を聞いてニコニコしているだけ。


クルマは、コンビニを出て西へ…そして 最初の信号を左に…左に道が在ると入って行き畑を通り過ぎるとフロントガラス全てが青空のみ、そして前に道が在る。クルマは急な坂を降りて行くと左手に公衆トイレ、全面に砂丘、道は右に曲がり行き止まり、

千尋は、クルマの中で声をあげて感動していた。

飲食を持ちクルマを降り、砂の上にシ-トを広げ3人で座った。右手には、切り立った崖が太平洋の波に立ち向かっていた。地平線には、大型船が見えた。

私には、千尋とあやねの頬と髪を、潮風が優しくそおっとさわり行く様が美しく映って見えた。ふと我にかえり

「千尋! 太極拳 見せて!」 すると立ち上がりながら きつい口調で あやねに

「あやね!呼吸と動きの合わせ方を見て覚えて!」

「ハイ!」 別人の様に素直な あやねの返事。

吸いながら、こう動き 吐きながら、こう動く

あやねは、頭に 叩き込んだ。

「あやね! 吐く時に、発勁を撃つと10倍の破壊力が出る。 奥義のひとつよ!」と千尋

静かな動き それでいて呼吸がハッキリ分かるように舞った。そして 発勁も見せていた。

素人目には、ちょっと違う太極拳であり太古の格闘技である。神代の時代 神が伝えたと思われる原始的な型ではあるが、格闘技の基本であり今の時代には、原型が失伝しているものも組み込まれていた。



クルマは、フェリー乗り場手前を左へ…すぐ右手に店屋が並び左手の大駐車場にクルマを止めた。

「さあ~! 大アサリ 食べよ~!」

あやねは、2軒目の店員に注文を入れに走りしっかり席まで確保した。

「さざえも美味しそう!」と千尋

大アサリとさざえを2皿づつ並ぶと 私は、

「あやねさん!帰りは運転して!!ビ-ルが飲みたくなった!」

「あ~!!私が飲みたかったのに~!」

即答のあやねだったが、ここで千尋が

「あやねさん!今日はお父様にヨイショ!!」

「ん~!今日は特別だぞ!此れからのガソリン代もヨロシク!」

「高い 大アサリとさざえになった。でもビ-ルがうまい。」

ゴキゲンで私はビンビ-ルを飲みふらふら。

千尋の肩を抱き千尋に食べさせて貰い あやねに呆れられた。家内へのお土産を買いお店を出たのは、外が薄暗くなった頃、秋の風に寒さを感じ伊良湖を後にした。

☆恋路ケ浜…知らんがな~!歩くの嫌だもん、椰子の実も知らん。


「あやねさん!田原を抜け1号線に…」

「ハイ ハイ オヤジ殿! 次はどちらに…?」

「夕飯は、お母さんは友達と食べてくるから…。私たちは、舞阪の漁港に在る食事処ね。特にあやねさんの喜ぶ味だよ。」

「オヤジ殿!本当か?嘘だったら怒るぞ!」

「あやねさん!本当だったら帰ってマッサージ!!」

食事処へ着くと、あやねはしぶしぶ私たちに付き添って入ると2階へ案内された。即座にメニューに目を遣るあやね。

私と千尋は、サシミ定食で あやねは揚げ物特注大盛。お盆に飾られた小皿と小鉢そして特注の揚げ物の数々……あやねは、喜び勇んで食べ始めると顔色を変え “ オヤジ殿! 美味しい!! 一級品!”

「あやね! マッサージ頼むね!全身だよ!」

“オヤジ殿!今日は、サービスしてやるぞ! 何処でもマッサージしてやるぞ!”

「あやねさん!やり過ぎるとコブが、2つ3つ出来ますよ!命 落とさぬ様に、気をつけてね!!」

千尋の言葉に、あやねは身震いしながらパクついていた。

自宅に着くと千尋の監視のもと あやねにマッサージをして貰った。其から、ちょくちょくあやねにマッサージをして貰っている。

後日、あやねはマッサージの件とスポーツカーの件で、家内より詰問を受けた。

「あやねさん!何時からジジ-の愛人になったの?」

「奥様!私にも 好みと選ぶ権利は有ります。出来れば、もっと若い方が…いいです。」

「ん~!そうよね、あれじゃ、何の役にも立たない!」

「それに…エロガキが恐いから!!」

2人 顔を合わせて大爆笑

エロガキと聞いて家内は大笑い。確かに千尋が付いていれば、愛人など出来るはずはなかった。

エロオヤジとエロガキ…困ったもんだとタメ息ひとつ。

しかし、しっかりと回りから愛人と思われていた。



注)2000年前後の事です。汐見坂辺りは、今、様変わりしている様です。ダチョウも居ません。しかし 42号線から南側に入ると美しい景色が、今も見えるはず。そして、大アサリとは別名が有りそちらが正解です。私が勝手にそう呼んでいるだけです。ゴメンナサイ。






  

☆☆☆☆☆☆☆雅の頭脳と価値観☆☆☆☆☆☆☆


千尋は千香に呼ばれた。

京都に行くに当たり、あやねが段取りをして浜松を朝早く出発した。

京都駅プラットホームには、濃紺のス-ツにロングヘアーそしてサングラスの2人。あやねの後輩である後藤今日子と今枝鈴子である。あまりにも目立っていたが、近寄りがたいオ-ラをまとい、壁際に佇んでいた。時間が来たところで、千尋の降りる車両のドア付近に立ち、千尋とあやねが降りると直ぐに寄り添い、千尋を守る形に並び歩調を合わせて改札へと進んだ。

大型のワンボックスのタクシーが待機しており直ぐにシャネルの店舗へと向かうが、あやねは忙がしくあちらこちらへと連絡を入れていた。

シャネル店舗の商談スペースに千香も到着していた。千香の側にはマキ達が揃っておりソファーに座りコ-ヒ-を飲みながら自己紹介をしていた。全てがあやねの段取り通りであるが、千香とマキは、知古の友の様に馴染んでいた。

まず、ファッション時計を選んでいたが、ミキとメグは、金額で夢の中だと思い現実逃避していた。

千香とマキは、金額など気にせずおしゃれを楽しんでいた。

そんな所へ、千尋が部屋へ入って来た。

マキ達3人は、直ぐ立ち上がり千尋へ一礼して、席を離れた。上座に千香はドッシリ座っており千尋に此の場に呼び出された事にムッとしていた。千尋は姉の顔色を伺いつつ声を上げようとした。しかし、マキが真っ先に口を開いた。

「千香様!まず千尋様に座って頂いて…それからです。」

千香は、回りの雰囲気を感じマキに頷いた。

マキが席の案内をすると千尋から、マキとあやねも座る様に促し、その他のメンバーは、壁を背にして立った。この時より学生の集まりではなく、社会人としての上下関係をハッキリさせた。

「御姉様!御疲れの所 わざわざお越し下さりありがとう御座います。此からの、取り引きや折衝において安物は、着れません。不満おありでしょうが…

あやねがお手伝いしますのでお選び下さい。」

「千尋! 此からの為か?」

「ハイ! お父様にも了解を取って有ります。それと あやね達、マキ達、6名もOKとの事です。特にあやねとマキは、特別枠との事です。」

「特別枠? あやねとマキ? 何だ いったい?」

「御姉様!笑わないで下さい。

  お父様が、あやねとの愛人関係の噂に喜んで愛人待遇だそうです。マキは、前回のドレス姿で谷間に ホレタと!」

「あの馬鹿!ど~しよ~も無いな。まぁ お前が承知してれば良いか!」

それから2時間程買い物に集中。

ス-ツから普段着、目についた物それぞれ買い付けた。ショップマネージャーから5名のスタッフまで付きっきりの応対であったが、あやねは、感謝どころか、お茶菓子が出ないと怒っていた。銀行ですら気を使うのに……。明細書を受け取りながら文句をタラタラ。地区担当マネージャーが、丁度挨拶に来たところで、其を聞き慌てて間に入った。

「あやね様、此度は申し訳ありません。」

「成金様対応か?馬鹿にするな!気持ちも己れのプライドも無い!もう一度セレブ対応とやらを、勉強してこい!そして、ここは日本じゃ!おもてなし とは………腐ってる!」

「本日 折角お越し頂いたというのに、この体たらく情けないです。この金本!先日より考えて折りました“雅さま金バッチ”ですが、純金にて30個サービスにて作らせて頂きます。その気持ちを持ちまして、許して頂けないでしょうか?」

“雅”金バッチと聞いた千香が

「あやね!金バッチは良いね。このメンバー並びにこの先の役職に渡したいね。千尋はどうか?」

「御姉様のおっしゃる通りです。ですが、金銀銅に分け、金の上が純金としたらどうでしょう。」

「ハハハさすが、千尋!マキその様にしてくれ!」

あやねが口を開いて

「金本さん!商魂逞しいね。返し技で1本取られたわ!担当は、マキさんに決まったよ。頼みます。」

デザインは、3パターン有り千香が即決で決めた。

話が済んだ所で、改めてあやねから

「今回、少し少ないと思いますが、後はマキさんにお願いし別途資金をお渡し下さい。」

「御姉様!マキと共に このカ-ドをお使い下さい。明細書あれば、あやねに回して下さい。此は雅の資金では無いので、気をつけて下さい。」

「千尋!上限は……有るのか?」

「ん~。無いです。」

「千尋!ナンバーは……?」

「お父様の誕生日です。」

「ここで、ジジ-が出てくるのか?うっとーし~な~。」

「お父様の預金額が、億の上の単位に行っちゃいました。“後輩を多く育てろって”…お父様が、本体資金で人材育成です。マキ•ミキ•メグの給料そして今日子と鈴子の給料も本体より出します ブランドショップ担当はマキさんに…あやねの行きつけの店を引き継いで貰います。」

「そんなに、無駄遣いしてどうする!!」

「ハハハあと5年で、世界のセレブを相手にするので……急いで、価値観の違いを知って貰いたい。それがこのメンバーです。この後の食事の方も、あやねが手配してますので、移動としますか?」

「あやね!美味しい処か?」

「任して下さい。私が選んだ店に間違えはありません。」

あやねが豪語するだけあって、ワンボックスの大型タクシー2台が5階建てビルに着くと案内の黒服でチョウネクタイの男達5人が、立っていた。エレベーターで、最上階へ上がると目に飛び込んで来たのは、東寺と思われる寺院の墨絵、京の景色と思われる。ワンフロアーが、一軒の食事処「京尽くし」 すべてが、個室だと言う。墨絵を見ながら中央入口へ向かう。絵画の1部となった格子戸が開き奥女中姿の女性が部屋へ案内した。あやねが、即座に席の案内をした。上座に千香1人。千尋達とマキ達と左右に座った。現状と少し変わるが、トップは千香であり次はマキであると知らしめた。この先3年間の予定から新商品のラインナップの計画書が、千尋から千香に渡され会社としての方針が決定した。しかし、それは骨組みであり骨組みに肉付けするのが、マキ達の仕事となる。皆の目つきが変わった。

立ち上がったマキが、気合いを入れる様に叫んだ。

「うまいもん食べたら、死ぬ気で仕事をやるぞ!」

つられる様に皆も叫んだ。 「 オ---! 」

応援のメンバーも気持ちはひとつであった。

千香は、皆を見渡して態度や目つきの違いを感じて、此が仕事なんだと今一度自分に気合いを入れ直した。学生の遊びではない……と。今回は、千尋を使い父が教えていると感じると共に、決して遊び半分の気持ちではいけないと心に誓った。しかし、父への感謝は忘れる事とした。絶対エロジジ-が図に乗る、そんな姿は、子どもとして、見苦しいから見たくない。ちょっと冷たい娘であった。


あやねもマキも気合いが入る…なにせ本日は、名物肉祭り 松阪牛のステーキ シャトーブリアン 聞いたことも無い!

特別なセレブしか入れぬ食事処。会員のみで完全予約制 何故この時あやねが、予約出来たのか?

その道の人から力強い口添えがあった。後はあやねのエラソ~な態度が一番である。 


「 雅 」という会社が、この時 千香の元にハッキリと1本化された。千尋から千香へ そして 千香の伝説が始まった瞬間である。


食後

「千香様、この後、中西本社に行く予定です。」

あやねの案内で、千香が立ち上がり

「サァ!顔合わせに行こうか!」「ハイ!」

皆が一斉に、立ち上がった。

(株)中西本社は、まだ旧店舗で振袖の関係で、八畳程の事務所を改築して床より20cm高くして畳敷きになっていた。振袖が飾られ帯がかけられ華やいでいた。事務所は、隣にプレハブで作られ自宅一部も仕事場に使われていた。中西商店を千尋の案で、株式会社とする時、あやねが動き同業仲間に参加案内をして株を分けることとして役員として会社に入社してもらった。8名の息子さんと娘さんが入社した。一般平社員の役員。その人達が、上手く会社を回していた。千香とマキ達が来ると連絡を受けた為、中西社長はじめ全役員が、感謝を伝えたくて待っていた。

ワンボックスの大型タクシー2台が、(株)中西の玄関口に着いた。千香は、マキ達を連れ真っ先に中西夫妻に挨拶をした。

「中西の社長も奥様も役員の皆様も、何時もありがとうございます。私達の企画を社長がまとめて下さり、皆さん頭を痛めていると思います。仕事がまだまだ増えて来ます。今日は、新たな担当者を交え話を聞いて下さい。」

「姉さん社長、いつもありがとうございます。お陰様で、昔に戻った様に店が活気づいて、何とお礼を言ったら良いか分かりません。今回は、移転先まで世話して頂き何と………。」

「妹が先日ここへ来た時、あのビルに登ったそうなんです。景色が綺麗だったって報告に来たんです。 私冗談で、だったらそのビル買ったらって言ったら本当に買っちゃって…お願いは5階で、景色を見ながらココアを飲ましてやりたくて喫茶店を計画してます。お願いしますね。」 と言って、側に居ない千尋を探すと昔の門の辺りで、佇む千尋を見つけ

「千尋!何してるの?ご挨拶しなさい。また 誰かと話してるの?」 千尋は、慌てて駆け出し千香の隣に来て 「すいません。お世話になってます。」

ペコリと頭を下げた。

「今度は だれ?」

「メガネを掛けた頑固そうなじいちゃんと優しそうな小さなばあちゃん…2人ともニコニコして ありがとうって。」

「姉さん ひょっとして、うちの先代のじいちゃんとばあちゃんですか?」

「そうでしょうね。この子怖いことに亡くなった人が見えるんです。御免なさいね。」

「奥さん!じいちゃんが医者に行けって! 無理しちゃいかんって!」

「私が ですか?」

「血の 病気だって!」

「千尋! あんたが、治しなさい! その方が早い!」

「も~! 子供の私に……!」ぶつぶつ文句を言いながら…千尋の右手首はクルクルと大地のエネルギーを巻き付けていた。

「奥さん!身体の力を抜いて! 眼を閉じて!」

千尋の右手が奥さんの頭にそおっとのると淡く優しく輝いた。奥さんはその場で腰が抜けた様にヘナヘナと座りこんだ。皆がびっくりするなか千香は

「今、妹が高血圧を治した処です。医者に見て貰って、治ってるから。」と あっけらかんと一言。

「妹さん!そんなことも出来るんですか!」

「生き神様よ! 偏屈な!! ハハハハ」と千香

「お父ちゃん!なんか身体が軽くなった。自分の身体じゃないみたい!」

「何度も出来ません!!私が死んじゃう!」

千尋の言葉も聞かずに………。


【千香にとって、自分の為に成らなければ、神も仏も必要なかった。千尋の事は、妹である!それだけ…自分の思い通りに使われる駒!その駒に対する愛情は異常であり、それが大いなる愛であると自分でも判っていない。この時の“生き神様”発言は、神様も妹と同じで、“自分の為に働くんじゃ!” と言い切った処である。】


「ビルの方へ行きましょ。」

「その前に、お茶でも飲んで下さい。」

中西社長の奥さんの言葉に千香は笑顔で頷いた。

事務所に入ると応接間のパテ-ションを外し十数人が座れる様にセットされていた。早速に マキ達を紹介した。マキは、これまでの会社内容を把握した上で、曖昧な部分の修正そして改善策を中西社長に提示して“雅”の責任を大きくして、(株)中西の負担を軽減した。学生企業の甘えを排除し責任ある会社としての体制を整える考えを示した。1年間の予定を伝え考えの共有をお願いした。中西社長は、マキの一言一言に感心し、自分達と器が違うと驚愕した。

そんな中、千香が

「千尋、監督さんと連絡とって見て!」 “ハイ”

「御姉様! “30分待って下さい。”との事です。」

千尋は振り返り

「中西社長 “ルモン”のマスターが今に来ます。  ちょっと 怒ってますけどね。」

「マスターが怒ってる?何だろう?」

「社長が、商売敵の喫茶店を開くと思ってるみたい。」

そうこうしている間にマスターが現れた。

現れるなり大声で

「大将! 何考えているんだ!!」

「まぁまぁ マスター 興奮しないで、話をしましょう。」

その時、マスターを止めようと娘さんが現れた。

「大将!すみません。 父 頭に血が上って!」

「マスター頼みがある!」 「なんだ!」

「娘さんに、これから作る店を任せたい。娘さんもいる事だし、お願い出来んか?」

「どお言う事だ?」と聞かれ 千尋が

「当面は、雇われママさん!軌道に乗ったら、家賃を頂きたいのですが?……どうでしょう?」

「軌道に乗るって?」

「軌道に乗るのに半年掛かります。その間、給料は、私共で お支払いします。軌道に乗ったら“ルモン”の支店にして貰い家賃収入で結構です。」

「何の店を作るつもりだ?」

「昼は、喫茶で…夜は、サロン。貧乏学生でも飲める飲み屋です。 ハイクラスの………。」

「訳がわからん!」

「娘さんなら理解して貰えると思いますよ!」

「今も、お酒を出す出さないで揉めていたとこ、私は面白いと思うわ!」

「まぁ!2人とも 5階を見て考えて、私達が先行投資するから、負担が少なくて済みますよ。」

「お嬢ちゃんが考えたの?」

「5階からの景色が素晴らしいの! リフォームに お金掛かったけど ケーキ食べながら見ると 最高!」

「すみませんね。呆れるけど それだけで店を作ったんです。  それと200名近いスタッフの溜まり場になり常時70名程は出入りすると思います。」

「御姉様!そろそろ時間です。見に行きましょう。」

「どこまで 出来てるの?」

「70パーセントです。喫茶はおおよそ……。」と言った処で、忘れてた事を思い出した。

「御姉様!御免なさい。言い忘れてた。社長!おじいちゃんが、大事にしてた掛け軸をガラスの額に入れて社長室に飾ってくれって、おじいちゃんの伝言。漢字が沢山書いてあるやつよ。大変貴重なやつだって 後で学長に教えてあげてね。」

「あんな物………どこが?」

「お座敷での遊びで、桂なんとかという人が詩を作って、坂本何とかっていう人が書いたんだって、値段付かないそうよ、これは 爺ちゃんの受け売り。」

「エ--ッ!そんな馬鹿な……!」

「何だったら、学長に聞いて見たら? 素っ飛んで来るよ。…では、この事は 後で……。」

千尋は、話を閉めた。 すると

千香は、頭をポリポリかきながら

「今、喋っちゃった。学長にそのまま……。」

「今に、血相変えて素っ飛んで来るよ。」

そんな話は聞き流し千香は澄まして、

「まぁ~ 学長放っといてビルへ行こう。」 すると

「冷徹な姉の実態を 今! 確かに見た!!」

腕を組んだ千尋がウンウン頷いて言った。

中西社長始め回りの人達の笑いを誘った。あやねやマキ達は大爆笑。

「千尋! 行くよ!!」 千香が立ち上がった。

ムッとしながら心の中で上手いこと言われたと笑っていた。一行が歩いていると、すれ違う車から声が掛かった。

「お~い!社長!大発見があったと千香君から聞いたぞ--!!」

「学長~! 今 忙しい! あ •と•で~ 。」

「わ~!! みんなして どこ行くんだ…?」

「其所の 5階建てのビルで~す。」

「社長のとこ 車置くぞ~。」

学長は急ぎ追い付いて来た。そして回りから経緯を聞きニコニコしながらビル1階フロアーに…皆について入った。工事監督から事務方も来ており和気あいあいにリフォームの進捗状況を確認して会社移転の予定もたった。

皆は、監督の案内で5階へ上がった。

豪華な内装のサロンそして大きな出窓の様な窓そして、1ヶ所は、スクリーンの様に京の景色が見えた。

皆が、景色に興奮し別世界を見たような気がし輝く明日がそこに在るような思いになった。

興奮冷めやらぬ間に、中西事務所へ戻って来た。

学長は待ちきれず、

「社長!早く見せて下さい。 掛け軸!」

「学長!楽しみそれしか無いの?」と千尋

「ないの!  無いの!」

その場のみんなが呆れる学長の返事。

中西社長は、そんな学長に呆れながらも自宅から桐の箱を持って来た。

「テーブルの上の物どかして、タオルで綺麗に拭いて頂戴!」 千尋は続けて、

「みんな近付かないでよ!唾でもかかると大変よ!これ本物!」

中西社長が掛け軸をテーブルの上に拡げた。

直ぐに、学長は残念そうに

「これ サインが違う。」

「学長!当時、自分の名を入れるわけ無いでしょう。筆跡鑑定すれば本物と判るよ。」

「天才! どうして?」

「3人の映像が見えるよ。お座敷の襖に書いて、それを芸者さんが切り取って持ち帰って行くのがね。」

「芸者さんが…?」

「桂さんの彼女!これ人の目に触れると不味い文言よ。」  そしたら 千香がポロッと一言

「これコピーして持ってたら如何ですか?」

「うん!そうしよう。さっそく筆跡鑑定してもらおう。本物なら大発見。 」

雅の社員達から「処で誰が書いたの?」

「天才君の言う通りだと、桂小五郎の詩で坂本龍馬の書になる。詩の内容も気になるね」と学長

「その人達って 有名人?」

それを聞いて学長は

「頼む! 君達 勉強をしっかりやってくれ…!」

学長は千香の言う通りコピー機で何枚もコピーして急いで帰って行った。


翌日  大学事務棟では、一部の専門紙の記者達と歴史遺産の学生達が噂の真意を確めたくて学長の話を聞きたがっていた。学長は、それを事務方に任せて京都文化博物館と国立博物館の学芸員と歴史学者

を待っていた。それと、電話で千香に“妹を貸して”と依頼しており千尋の来るのを待ち望んでいた。



△▽△▽△▽ 初めての ステージ △▽△▽△▽




千尋が、TVCMで話題になり始めの頃。

ヤマハのお膝元の浜松で千尋の最初のコンサートを開いた。一般に知られる前である事もあり会社の感謝祭として各取引企業及び関連企業そして音楽教室関係と人数制限の上で無料招待とした。

昼と夜の2ステージ 土日2日間


その前日 千尋は、本社に顔を出し斉木の案内で社長に挨拶し社内を見学させて貰った。そして社長室に戻ると社長よりギターのプレゼントがあった。

「何か、希望があれば言ってください。」

「斉木さん、紙と色鉛筆貸して!」

千尋は、自分をモデルに2頭身のマスコットキャラクターを描いた。いろいろなポーズそしてスタイルそれをギターのこの面にはこれ ここにはこれと 白と赤のギターで、細かく注文をした。

すると、斉木より

「キャラクターを使用させて、もろもろの権利は代わりに申請するから…。」

「ハハハハ あやねさんと 上手くやって!」

千尋が動くとお金を産み出して行く。斉木と共に社長は、それを目の当たりにすると絶対に手放せないと強く心に誓った。

あやねは、また仕事が増えて人を増やす事を考えた。


感謝祭を聞いた学園の学長はこの話に乗った。

学園コンサート以来、次回を煩く催促する在校生、卒業生、学園関係者そしてその親族達。

学長は、斉木さんに協力を申し込んだ。会場費その他諸々(お金を出してくれ!)。平日なら安いだろうと感謝祭の二週間後なら。

所謂これを“ 人のフンドシで…… ” 

むちゃくちゃな考えであったが それ程、学園経営の厳しさであった。

学園謝恩会として寄附を募る金額でチケットを出した。瞬く間にチケットは完売。

会社側と同じ大ホ-ルを借りて………。

昼と夜で、4000名、それが2日間で8000名。

学長から話を聞いたあやねは、目が点になり千尋に話を振った。

「和美から聞いたけど 学長もやるね!」

「やるね じゃないよ。衣装欲しいし、何やるの?」

「昭和歌謡とするしか…。他出来ないし!漫談のネタ考えないと…。」

まわりは、千尋を歌わせる事しか頭になくステージの構成は、放ったらかし。あやねから和美へ そして放送部へと話が進み曲目を30曲選び 千尋に確認を取った。

和美から学長に苦情。 挙げ句放送部の参加が決まった。その頃、斉木も頭を悩ませていた。プロを頼んでも今の雰囲気が出ない。結局 あやねを頼って学園へ来ていて放送部の企画や曲目に目を見張った。

3部に分け1部が、ギターの弾き語り。2部が歌謡曲、3部が演歌として、どの部門に力を入れるかで構成を変えることとした。放送部高学年が自分達の聞きたい歌を募ることでこの考えが思い付いた。そして、その考えを斉木が取り入れて会社側舞台構成が作られることとなる。斉木は和美と連絡を密にして、会社側ステージにも学園放送部をアルバイトとして参加させ協力させていた。千尋のステージは、どの県へ行っても放送部員は同行した。

後の事、大学を出たこの時の放送部員は、ヤマハ就職は、斉木への電話1本でなんとかなった。それ程、学園時代のステージ作りに、学生の身で在りながら社員と代わらぬ苦労を共にしてきた事を、斉木は忘れ得ぬ記憶として感謝の気持ちと共に持っていた。





一言)雑文に成りました。1月ちょっと療養の為何も出来ずボケも相まって投稿を忘れました。

曲がった腰に ムチ打って頑張りますね!!





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