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謎の刺客、サリア・マリオン

 ユリスさんの部屋へと戻ると彼は再び窓際の椅子に座り部屋の入り口に背を向けていた。


 その様子はセレナから命を狙われているという自覚が無いのか、余裕さえ感じられる。


「ん……?ああ、セレナさんですか?先ほどはどうさるましたか?」


「え……?あ……えっと……お……お手洗いに……」


「そうですか……。ですが、そんなに遠くにいなくてもよいのではないですか?セレナさん、こちらに来てはもらえませんか?」


 目が見えないにも関わらず部屋に私が入ってきたことを言い当てるユリスさん。


 その様子に私は思わず驚きながらも突然部屋を飛び出した理由を適当に伝える。


 それにしても……ユリスさん本当に見えていないんだよね……?


 私はそう思いながらユリスの言葉に従い彼に近づいていく。


 お……お願いだからセレナは出てこないでよ……。


 私は内心ヒヤヒヤしながらユリスにさんの直ぐ側へと向かっていると、不意に部屋のドアが開かれたような感じがした。


(誰だろう……?)


 そう思いながらドアの方を見るとそこには屋敷にいる一人のメイドの姿があった。


(あれ……?あの人は確か私が柱にしがみついていたときにいたような……)


 さらによく見ると手にはナイフのような物を持ち、今にもそれを投げんと構えていた!


「危ない……!」


 気が付いたときには私はユリスさんへと走り彼を押し倒していた!


 そして入口にいたメイドが投げたと思われるナイフはついさっきまでユリスさんがいたところへと突き刺さる……!


(私が咄嗟にユリスさんを押し倒さなければ今頃ユリスさんは……)


 そう思うとゾッとする……。


 一方の初撃を外したメイドは再びナイフを手に持つとこちらへと投げつける!


 今度は二本向かってきておりどうやら私も対象に入っているらしい。


(あわ……!あわわわ……っ!)


 さっきは無我夢中でどうにかなったけど、次もとは行かない。


(せ……せめてユリスさんだけでも守らなきゃ……!)


 私はユリスさんを守るように彼の上に覆いかぶさる!


 と、その時……。


(瀬玲奈!私に代われっ!)


 私の意識は半ば強引に奥底へと追いやられると代わりにセレナが姿を現したのだった……!




 ──セレナ──



 瀬玲奈の意識を強引に払い除けた私は体の主導権を奪い返すとすぐさまスカートの中に隠してるナイフを抜き投げられた二本のナイフを切り払うと、それらは私とユリスに当たることなく床へと落ちた。


「お前は何者だっ!」


「へぇ、さっきは一人で愉快なことをしていた割に中々やるじゃないか」


「そんなことはどうでもいい!お前は一体何者だっ!」


「そんな怖い顔をしなくても教えてあげるよ。あたしの名はサリア、サリア・マリオン。あたしの目的はカイゼル・フェルナンデスとユリス・フェルナンデスの抹殺だ!」


 私と同じ目的だと……?


 サリアという女の言葉に私は眉をひそめる。


 まさか私以外にもユリスを……フェルナンデス家を狙うものがいるということか……?


「お前の雇い主は誰だ!」


「そんなこと教えるわけないだろ?今のはほんのあいさつ程度だ、また機会があれば会おうぜ!その時があなたとユリスの最期だ。それじゃあな、番犬さん!」


「く……!待て……っ!」


 私は床に落ちていたナイフを拾い投げ返すもそれはサリアが逃げる際に閉めた部屋のドアへと突き刺さる。


 くそ……逃がしたか……。


 だが、サリア・マリオン……?


 聞いたことのない名だが……一体どこの手のものだ……?


 しかし……今の状況は私にとって都合がいい……。

 瀬玲奈の意識を追いやっているうちにユリスを始末するべきだな。


 私はそう思いながらナイフをユリスへと向けるのだった……。

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