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盲目のユリス・フェルナンデス

「ん……んんぅ……ここは……?」


 あれからどのくらい気を失っていただろう……。


 気がつくと私は尋問部屋ではなくどこか別の部屋のベッドに寝かされていた。


 私は体を起こして辺りを見渡すと、部屋の中はベッドやテーブル、それにチェストといった家具しかなく、しかもそれらは隅の方置かれているだけで真ん中には何も置かれてはいなかった。


 私はその家具の配置に違和感を覚える。普通なら部屋の真ん中にも家具が置かれ、種類ももう少しあってもいいと思うんだけど……、この部屋の主はどんな人なんだろう……?


 ……て、そう言えば私お漏らししたんだった!


 慌てて自分の下着を確認すると新しいパンツを履いていた。


 これが誰のかは知らないけど、きっとミレイユさんがしてくれたのたろう、私はホッと安堵した。


 もし下着を変えてくれたのが男性のヴァンさんとかだっら恥ずかしくて死んじゃうよ……。


 さらに言えばご丁寧に私の太ももには護身用ということだろうか、スカートの中、右の太ももにナイフを装備されていた。


「それにしても……ここはどこなんだろう……?」


「ん……?やあ、気が付いたようですね」


「だ……だれ……?」


 急に声をかけられた私は驚きながらも声のした方へと目を向けるとそこには窓際に置かれている椅子に座った一人の男性の姿があった。


 その男性は後ろを向いてはいるけど、声からして私と同年代くらいだろうか、茶色い髪の男の子だった。


「さて、誰でしょう……?と言っても分かりませんよね……初めまして僕はユリス、ユリス・フェルナンデスです」


 その男の子は椅子から立ち上がると私の方へと向く。


 この人がユリス・フェルナンデス……?


 ユリス・フェルナンデス……。

 原作ではカイゼルさんの息子で確か母親は彼が幼い頃に他界していたはず。


 何ていうかとても物腰の柔らかそうな人だな……。


 原作では性格まではそこまで表現されてなかったし、モノクロでよく分からなかったけど……実際にはこんな感じの人なんだ……。


 て、あれ……?よく見たら目を閉じたままだ……。


「あの……失礼ですがあなたは目が……」


「ええ、僕は生まれつき目が見えないんです。ところで、そろそろあなたのお名前をお伺いしてもよろしいですか?」


 ユリスさんに言われ私は慌ててベッドから降りると頭を下げた。


 い……言われるまで自己紹介するの忘れてたよ……!


 ていうか、原作ではユリスさんは盲目じゃ無かったような……。


「え……?あ……!す……すみせん……!私は本日よりこのお屋敷に来ることになりましたセレナ・ラティクスと……」


 申します……。


 そう言葉を続けようとしたその時、私の右腕が勝手に動き出し、スカートの中に隠してあるナイフへと手を伸ばそうとする……!


『ユリス・フェルナンデス……!お前を殺す!』


 そう聞こえた心の声は紛れもなく本物のセレナ・ラティクスのものだった!


(だ……だめ……!セレナ!ユリスさんは殺しちゃダメ……!)


 私はどうにかセレナを抑えようとする……!


『邪魔をするな瀬玲奈!邪魔をすればお前も殺すと言ったはずだ……!』


(そんなこと言われても……!ダメなものはダメだよ……!ユリスさんを殺せばセレナはすべての罪を着せられて殺されるんだよ……っ!?)


『両親の仇を討てれば本望だ……!』


(フェルナンデス家の人達はセレナの両親を殺してなんかいない……!)


「あの……セレナさん、何か様子がおかしいみたいですが……何かあったのですか……?」


「えっと……その……!し……失礼しまーす……っ!!」


 私はそれだけを言うと呆気にとられているユリスさんを残して部屋を飛び出したのだった……。

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