尋問される瀬玲奈
別室……もとい尋問室へと連行された私は服を脱がされ、ロープで縛られていた。
身につけているものと言えば下着とソックス、そしてガードーベルトくらい……。
「よくもまあ服の下にこんなに武器を隠し持っていたことですね……」
「……我がフェルナンデス家に刺客が差し向けられたと言う話は聞いたことがあるがやはりお前だったか」
ミレイユさんは私から没収した様々な武器や暗器を眺め、ヴァンさんは冷たい眼差しで転がっている私を見下ろす。
「そんなの私を知らないよぉぉぉーー!」
びえぇぇぇぇぇぇーーーー……っ!!
私はギャン泣きしながら喚き散らすも私の身につけていた服から出てきた物の数々を見ると違うと言っても信じてもらうのは難しいだろう……。
それもそのはず、武器は太ももに付けられていたナイフだけでなく、メイド服の後ろのリボンに隠されていた小型のナイフ、靴のつま先には仕込みナイフ、指に付けていたリングには毒針、さらに言えば服のポケットに粉状の毒薬が入っていたり、下着やガーナーベルトには首を絞めるためと思われるワイヤーまで仕込まれていた。
「知らないと言うがこれらは全てお前の衣服から出てきたものだ。しかし、こうもあっさりと尻尾を出すとは思わなかったが、フェルナンデス家に仇なす者を生かしておく訳には行かない」
ヴァンさんはそう言うと私の太ももに付けられていたナイフをちらつかせる。
「それらは確かに私のだけど、私のじゃないよぉぉぉ~……!」
正確には"元のセレナ・ラティクス"のであって"早乙女 瀬玲奈"のものではない。
と言っても伝わるかな……?
「何をわけの分からないことを言っている?気でも狂ったか?」
やっぱり伝わらないーーー……!
私ここで死ぬんだぁぁぁぁーーー……!
「びえぇぇぇぇーーー……!やめてぇぇぇぇーーー……!私を殺さないでぇぇぇぇーーー……っ!!」
「……ヴァン、このように泣きじゃくる者が本当に刺客なのでしょうか?もしかしたら別のものに知らず知らずにこれらの武器や暗器を持たされたと言う可能性があるのではないですか?」
「……そう見せかけているのかもしれない。これだけの武器を隠し持っていたのだ、こいつも曲がりなりにもプロのはずだ。それならこちらを油断させるために泣く演技の一つくらいしてもおかしくはない」
「う~ん……そうでしょうか……?セレナ・ラティクスさん、これらの武器は誰に頼まれましたか?」
「知らないよぉぉぉぉーーー……っ!」
「飽くまでも白を切る気か……それなら腕の一本でも折れば白状するだろう」
ヴァンさんはそう言うと私へと殺気を放ちながら向かってくる……。
「ひ……!い……や……!こ……こな……」
いや……いや……!来ないで……!
私はそう言いたかったけど、恐怖のあまりうまく声が出ない……。
さらに私は恐怖のあまり失禁までしてしまっていた。
「……漏らしたか。しかしだからと言って許すわけには行かない」
「待ってください、ヴァン。この子は本当に何も知らないのかもしれません」
「ミレイユはコイツを見逃せと言うのか?」
「そうではありませんが、黒と決まったわけではありません」
「……分かった、最悪盾ぐらいには使えるか。セレナ・ラティクス、コイツは返す。だが妙な気は起こすな」
「ひ……ひいぃぃぃ……!」
ヴァンさんは持っていたナイフを投げると私の体を掠め、縛っていたロープを切り裂くと掠めたところから僅かに血が流れ出る。
切られた……!私の体が切られた……!
血が……!血がぁぁ……!
ヴ……ヴァンさんってマンガじゃ強い人としか描かれて無かったけど、こんなにおっかない人だったの……っ!?
マンガとは全然違うよぉ……!
「セレナさん、まずはシャワーを浴びて下着を替えましょう。立てますか?」
ミレイユさんが私を縛っていたロープを解くと手を差し伸べてくれる。
た……助かった……。
そう思った途端、私は極度の緊張と解放されたと言う安堵から私は気を失ったのだった……。