閻魔の色事
私は閻魔。
まずいことになった。
この地獄に落ちてきた罪人を好きになってしまった。
この罪人は、桃太郎に詐欺をして、桃太郎の財を9割近く持っていったそうだ。
桃太郎も騙されるなんて、情けないと思っていた。
ただ、桃太郎は詐欺をされたなんていう認識は全くないようだ。
しかし、実際にこの罪人が地獄に落ちて目の前に来た時に、桃太郎の気持ちが分かった。
世界中の美を寄せ集めた結晶のような顔立ちをしていた。
危うく、この罪人を天国に送りそうになった。
しかしおかしい。
私のような地獄の世界の住人には恋愛感情は皆無のはず。
これはもしかすると、悪いことが起きる前兆なのかもしれない。
数日後。
私はこの罪人と付き合っていた。
そして結婚を前提に天国にハネムーンに行った。
閻魔には、一度だけ天国に行けるという特権があった。
それを使い、この罪人と行ったのだ。
最初は罪人と一緒にハネムーンなど、どうかしてると思ったが、大丈夫。
私を裁くような存在などいないのだから。
そして天国で私と罪人が歩いていると、目の前から、鬼を見るような形相でこちらを睨みつけてくる人がいた。
桃太郎だ!
そうか、桃太郎は詐欺された後、亡くなり、天国に来たのだ。
「鬼め!人の彼女とデートするとはどういう了見だ!」
そして武器も何も持っていない私は、桃太郎に切られた。
意識がだんだんと闇に落ちていき、完全に気を失った。
目が覚めると私は地獄にいた。
そして、新たな閻魔に罪を告げられ、地獄での生活がスタートした。
地獄での生活が始まって数日後、次は桃太郎が地獄に落ちてきた。
あの綺麗な罪人も一緒に。
そしてあの罪人を賭けた戦いが、始まった。
桃太郎とは色々な勝負をした。
将棋から始まり、ゲームや、剣道も行った。
しかし勝負はなかなかつかなかった。
勝負がつかないどころか、桃太郎と仲良くなっていた。
そうしているうちに、いつの間にか罪人の姿が無くなっていた。
現閻魔の姿も消えていた。
これを機に、私は桃太郎と脱出した。
なんと、現世の鬼ヶ島とこの地獄は繋がっているらしかった。
桃太郎と鬼ヶ島に行った。
-その頃罪人は-
「よーし、上手く行った。私は実は”地獄を壊すウイルス”として作られた。閻魔を恋に落とし、地獄をめちゃくちゃにしてやった。これで今生きている人は安心して、死を迎えられる。死が怖いという理由の一つは、地獄に行く可能性があるからだ。地獄そのものを壊して仕舞えば、その恐怖もなくなる。」
-その後天国では-
地獄が無くなり、無法者たちも天国にくるようになっていた。
そこで、天国の最高司令官は鬼ヶ島にいる閻魔と桃太郎を天国に呼び、無法者たちを好きにはさせなかった。
2人が来てから、天国はすぐに平和になった。
閻魔は天国のの中で、地獄ではなく、自国を作りあげた。
その中で無法者たちを裁くのではなく、更生させることに尽力した。
そして隣には、桃太郎がいた。
閻魔と桃太郎はいつまでも幸せに暮らしましたとさ。