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エピローグ

これで本編終了です。


ここを訪れてくださってありがとうございます。

よろしくお願いします。



 王宮で、王太子の発表がされた。

 時期国王は、リヒト王弟殿下に決定した。

 アーロン王子は魔王討伐の怪我が酷く、皇太子が務まらないと発表されたのだ。

 



 王宮の庭園にあるガゼボで、ローズマリーとフローラは並んで座っている。

 その前の席には、アーロンとカメリアが座っていた。

 ローズマリーが、アーロンに話しかけた。


「後悔されないんですか? アーロン殿下」

「ああ。リヒト叔父上とローズマリーの間に子どもが出来れば、僕も王族をやめることになるだろう」

「まだまだ先の話ですわ。どうなるか分かりません」

「そうだね。きっとそうなると思っているよ。君なら立派な王妃になるだろう」


 ローズマリーは、困ったように笑った。


「いいえ、私などまだまだです。皆の支えがあってこそなのです。リヒト様に助けられてばかりです」


 彼女は本心からそう思っている。

 アーロンは、ローズマリーの言葉に笑顔を浮かべた。

 フローラ達もアーロンの意見に賛成する。


「ローズマリー姉様なら、きっと大丈夫よ」

「ええ、ローズマリー様ならきっと立派に務まりますわ。頑張りすぎないか心配ですけれど」

「ええ? 2人とも、私そんなに無理していないと思うのですが……」

「「「してます(る)」」」


 三人の声がハモり、笑い声があがった。

 ローズマリーは、困ったように笑う。

 

「楽しそうですね」

「僕たちも混ぜてよ」


 ガゼボに、リヒト達が現れた。

 今日は、三組の結婚式の打ち合わせで集まったのだ。

 国で最も高貴な三組のカップルだ。

 リヒト達が意見を出し合う。


「まとめて式を上げたほうが、予算は助かるのですが……」

「僕とカメリアは、身内だけの気楽な結婚式がいいんだ。重厚な儀式に何日も取られるのは辛い」

「フローラはどうしたい? 二国間の結婚式だから気楽にはできないけれど、なるべく君の希望を取り入れたい」


 フローラ達も意見を出す。


「ローズマリー姉様と一緒に式を挙げられるなら、こんなに嬉しいことはないわ。ドレスも姉様に合わせたい」

「私もフローラ様達と一緒に式を挙げられたら素敵だと思います」

「2人ともそれでいいの……? 私は式はなるべく質素にして、私達の住む離宮の改修に予算を回したらいいと思うのだけれど」


 ローズマリーの意見に、リヒトは眉をひそめる。


「式は豪華にやります。式には、経済をまわし、国力を他国に見せる意味もありますから」

「そうでしたか。私は苦手なので、リヒト殿下にお任せしてもいいでしょうか」

「はい。喜んで」


 リヒトが嬉しそうに笑った。

 ローズマリーは、メイド時代にドレスを洗う大変さを知り、豪華に着飾ることが苦手になっていたのだ。

 カメリアが、コッソリとアーロンに耳打ちする。


「リヒト殿下の発言って、絶対にローズマリー様を堂々と着飾らせるいい機会だからでしょうね」

「そうだろうね。叔父上は、ローズマリーとの式をとても楽しみにしているからね」


 カメリア達は笑い合った。


 アグニス公爵は、公爵家がもつ爵位の一つの伯爵位を、妹のラフレシアへ譲った。

 カメリアの家は伯爵位と男爵位を持つことになり、王族のアーロンと結婚できる身分になったのだ。

 アーロンの母である王妃は、「初めからアグニス公爵にお願いすれば良かったのでは?」と、息子のアーロンの立ち回りの悪さに頭を抱えているらしい。

 ローズマリーは、その立ち回りの悪さもアーロン殿下が計算してのことだろうと苦笑した。

 彼は、王になることを拒絶していたのだから。



 リヒトがローズマリーの隣に座り、彼女の肩に手をまわす。

 ローズマリーは、そっと頭をリヒトにもたせかける。

 リヒトに、仲良くなる第一歩として、この動きを指導されたのだ。

 ものすごく真面目な顔をして、リヒトに寄り添うローズマリー。


 これでいいのよね……?

 フローラ達の視線が生暖かいのだけれど、これでいいのよね!?

 ……予想を超えた未来を、今迎えている。

 これから先の事は、どうなるか分からない。

 まるで暗闇を手探りで歩いているようだわ。

 それでもきっと、信頼できる夫と大切な人達と一緒なら、楽しみを作り出していけるわ。




 花の甘い香りが漂い笑い声が響くガゼボを、爽やかな風が吹き抜けていった。






(完)





 

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。



後日、加筆修正したり番外編を書いてアップできたら嬉しいです。

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