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2話:ここは暗黒皇帝の城


「あっ虎やん」


 その声が聞こえたのは、虎がオカンの口撃から逃げるように招待状の参加マークをクリックした瞬間。


「んあ?」


 見慣れない、まるで戦国武将のたたずむ城の大広間のような場所の中央で出会ったのが、


「なんでお前ここおるんや龍!?」


「メールやメール! 招待状や!」


 見慣れたオールバックの男⋯⋯龍だ。


「お前にも届いとる気しとったけどや虎、ほんまにおるとは思わんかったわ! 異世界でもおんなじとか、相棒みたいやな!」


「クサレ縁とはこのことか⋯⋯」


 なんせこの高身長スカジャン男といえば、低身長オーバーサイズパーカーの虎とは保育園からの幼なじみであり、ともに進学を拒否したプー太郎仲間であったのだが。


「くふふ⋯⋯⋯わたくしの存在を忘れていただいては困りますねえ!」


 そこにさらに、虎と龍にとってもうひとりの相棒⋯⋯クサレ縁で繋がる男がここ、異世界アフロンティアに降り立つのだからタチがわるい。


「はっ!」


「こ、このまどろっこしい喋りかたは!」


「「まさかミートかッ!?」」見上げたふたり⋯⋯その顔面に密着する花柄スリッパの底⋯⋯!


「異世界に来てまでその名で呼ばれるとはこれはええ、想像もつきませんでしたがええ、わたくしミート! 


 

 ええ!



 ついに異世界! 来ちゃいましたよええーーーーー!」


「「やかましわ降りろやボケええ!」」鼻に密着するふと足をにぎって床にたたきつける二人。


「ぶふっ⋯⋯ふふふっ!」


 そんでもって、ミートボールが余裕でおさまりそうなほどに大きな穴の鼻を鳴らして寝そべるメガネの小太りミート⋯⋯こいつは虎と龍とは、中学からの付き合いであり、『学業極めたりッ』と謎の発言を残して高校進学を辞退した、プー太郎仲間であるのだが。


「さんにん、か。 日本の未来はまだ明るいようだな」


「「だ、誰や!?」」「ふむ? 日本から太陽わたくしを奪ったのはアナタでしたか」


 どどんっ、和太鼓のうねりが虎の腹をゆさぶる。そのとき、広間にかけられた幕が横にひらくと、偉そうに片肘ついてアグラをかくオッサンがあらわれた。


 この、威厳が形を成したようなダンディーなオッサンこそが、招待状の送り主だろうか――と、虎とミートが眉間にシワをよせ、


「よく来た、ここがワシとワシの仲間たちが作った世界、アフロンティアだ」


「「「アフロンティア⋯⋯!」」」


「んで、そんなワシの名が――」


 オッサンが舌をはずませた、そのときだ。


「マスター、ご紹介はおまかせを」「ハトリね、オイっちゃんと練習したんだあっ!」両脇に二人の女がどこからか出ると、そのうちのひとり、無機質な顔をした白銀髪の美女は紙吹雪を舞い上がらせながら、メリハリのないリズムでうたうのだ。


「――ほぼほぼ無給、ほぼほぼ無休、睡眠時間は多くて三時間」


 言葉を継ぐようにして、天真爛漫なオーラを放つ、浴衣姿に忍者刀を背負った桃色髪の美少女は、やっぱり紙吹雪を舞い上がらせると、元気いっぱいに代弁する。


「――だけど食事は、3食とるもん!」


 そして中心にどしんと構えるオッサンを指先であおぎながら、


「「暗黒”と書いて“ブラック”と読む、人呼んで――」」


 彼女たちは、いうのだ。


「「――“暗黒皇帝・そりまちさん”なのです!(だよーーーーっ!)」」


「まあ気軽に、そりまちさんと呼んでくれや」



「暗黒?」「皇帝?」「そりまちさん?ですと⋯⋯?」



 早送りのように目まぐるしく進んでいた時間がピタリと止まったように硬直した三人。数秒ののち、声をもらすのだ。


「「ま、まぶしい⋯⋯! 暗黒(ブラック)だとぅ! 俺たち(ニート)の目が焼けるぅぅぅぅッ!」」「撤回しましょう⋯⋯太陽はあなたでしたか!」


 そしてニッコリするそりまちさん。


「今日から仲間だねっ!」


「「「むりでーす!!!」」」


 こうして、三人はこの世界の頂点と出会った。




「てゆーか日本人すか?」


「せいかーーーい⭐︎」

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