70 救援隊の結成(4)
本日は第三回目の救援活動講習であり、1回目の実習訓練である。
第三回目まで残っていたのは214人で、早くも50人が脱落していた。
残っている214人中の80人は医学学校の学生で、救済活動講義が必須単位教科に指定されたから、受講はパスできない。
よって、医師コースの卒業年度である5年生28人は強制参加だし、他の22人は取得単位に余裕のある優秀な者や、【マシロ様を崇める会】の会員たちだった。
残りの30人は看護学科の学生だ。教会病院で働くことが決定してる学生20人は強制参加で、自国の医院で働く10人は有志参加だった。
「今日は、地震により倒壊した家から被災者を救出する【レスキュー班】、救済本部を立ち上げる【本部班】、【医療班】、仮設避難所を作る【総合学科班】、そして、被災状況を確認する【調査班】の5つの班に分かれて行動します。
一番人数の多い本部班は、事務・被災者の振り分け・炊き出し・人員整理の4つのチームに分かれてください」
てな感じで、前回希望した班毎に活動を開始しするよう指示を出す。
私は災害発生時に救援隊メンバーと一緒に現地入りする予定なので、初動で最低限必要な備品を空間収納から取り出し、学都の中心広場に設置していく。
本部班用の仮設テント・・・ではなく、事前に作っておいた屋根付き木枠本部(イベント用サイズ並)をポンと出し、テーブル・椅子・筆記用具等もポンポンと取り出す。
他の班用の屋根付き木枠も、一定の間隔を開けて取り出し設置する。
皆は私が取り出した大きな設備を見て驚き、ポカンと口を開けていたけど、「まあマシロ様だから」とか「空間収納だもんな」って、何となく納得していた。
……バケモノ扱いされてる感が・・・せっかくの美少女が・・・ハハハ。
前回決めておいた各班の班長と、班の中の担当チームリーダーには、今日に備えて特別研修を受講してもらっている。
各班の班長は学生会の会長や副会長で、指示を出すリーダーも学生会のメンバーである。学業も優秀な学生会のメンバー15人とは、昨年から親交を深めているから指示も出しやすい。
今回の実習は、各班が作業内容を確認したり必要な物を書き出したり、必要な備品を学都内の店で購入して回ったりが主な活動である。
必要な物品を購入させることで、救済活動にはお金が掛かることや、事前準備の重要性を学んで欲しいし、荷馬車で学都内を巡ることで、住民たちに救援隊のことも知ってもらえる。
休日をまるっと1日使って行った2回目の実習訓練は、実際に炊き出し担当チームが昼食を作り、レスキュー班は古くて倒壊している倉庫の片付け作業をし、医療班は住民の無料診療を行った。
調査班には、学都内の東区画に住む住民の、年齢分布や男女比などを調査させた。他人から聞き取りをするのは簡単そうで難しいのだ。
仮設避難所を作る総合学科班は、買い出し済みの材料を加工したり、図面通りに作業する手順確認を行った。
とても1日では作業できないから、放課後や休み時間も作業してくれる。
実習だから大きなトラブルもなかったけど、高貴な私が何故こんな仕事をと文句を言って働かなかった学生には、選択教科の単位だけあげて、今後は参加しなくていいと言い渡した。
……被災地で身分を前面に出すような者は、間違いなくトラブルを起こす。
……外見で差別的な発言をしたりする者は、救済活動には必要ないし邪魔だ。
秋季休暇の前に、第3回の実習訓練をした。
3回目は、原初能力研究所の研究員や教員や住民に協力して貰って、ケガ人の役や家を失くした者の役、様々な被災者の役をやってもらった。
次の講習は、新入生が入学する10月以降になる。
8月に卒業した者の内8人が、教会救援隊に就職してくれた。
今年もホワイティ商会への就職希望者は大勢いて、事業拡張しヨンド共和国に支店も出店したから、高等大学の卒業生から大量の48人を採用した。
原初能力研究所の卒業生は、ホワイティ商会と父様が経営しているミヤナカ商会に大多数が就職した。
……各国からの苦情? そんなの知らんわ。優秀な卒業生を獲得したければ、魅力的な職場作りをすれば?
……はあ? 昔の卒業生を主任研究員として在籍させて欲しい? 何の寝言? 授業料を貰ったってゴメンだわ。
あんまりにも各国から学び直しの陳情がきて煩いから、3か月間だけでいいから講義を受けさせてあげてと天聖ソワレ様に頼まれた。
仕方ないから、大災害の後の来年の6月からなら考慮するって答えておいた。考慮よ、決定じゃないから。
……聖人の授業料は高いわよ。特別に賢者の講義も開講してあげるから、受講者全員に救援実習参加を義務付けよう!
時間は急ぎ足で過ぎていく。
秋季休暇に入ったら、直ぐにタラト火山でブラックガイの採掘をして、行きたくなかったけどギョデク共和国に公式訪問した。
ここも旧態依然とした古い考えの貴族がうようよ居る国だけど、お隣のミレル帝国の大失態を知っているから、舞踏会や晩餐会を行うような愚行はなかった。
金になる知恵を授かりたいと、王族も三大公爵たちもギラギラした視線を私に向けるけど、何の妙案も思い浮かばない。
う~んと知恵を振り絞った私は、この国の特産品がテーブルや椅子などの木製品であることを思い出した。
学生寮と孤児院の寮に欲しかったから、組み立て式家具を大量発注してあげた。
日本のホームセンターとかに売っている、五段カラーボックスだ。
上から二段までは扉付きで、下の三段は棚のみの図を描き、サイズもきちんと記入しておいた。組み立て式だからコストも安く、大量生産できる。
寮には机と洋服ダンスしかないから、学生たちはきっと喜ぶだろう。
10月、私は15歳になっていた。
本日は、高等大学・医学学校・原初能力研究所を統合した、聖マーヤ総合大学の入学式だ。
そこで私は、マセール王国の王太子の娘であるミレア19歳と、運命的に出会うことになる。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
次話から新章スタートします。




