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深遠の先へ ~20XX年の終わりと始まり。その娘、傍若無人なり~  作者: 杵築しゅん
三聖人

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67 救援隊の結成(1)

 聖人認定式の翌日、私は賢者であるトマスと一緒に各団体の責任者と謁見という名の経済会談をした。

 これから大陸の経済が発展していけば、各業界はどう変わるのか、どんなことが必要なのか、各団体はどう頑張ればいいのか、収益の見込みはどのくらいなのか等を話し合った。


「最後にお願いがあるんだけど、【マーヤ・リー】の予言は必ず起こると思うの。

 そこでね、大災害が起こった時に、たくさんの食料や水が必要になるから、商業連合は最低300人分の食料を9食、年末までに準備しておいて欲しいの。清潔な布や毛布もたくさん必要だわ。

 道路が寸断されたら川船が必要だし、荷馬車は大量に必要よ」


 本日の会談は敬語の必要なしって言ってあるから、全員ため口で話す。

 最初は恐縮していたけど、この場にいる私は半分聖人で、半分はこの大陸で経済をリードしているホワイティ商会の商会長だから、お金と利益、世のため人のために会話が白熱しちゃうからね。


「あの~、大地の怒りって具体的にどういう・・・」


 商業連合の連合長が、恐る恐るって感じで質問してきた。


「あれ? 大地の怒りが分からなかった? 大地が怒るんだから地震だよ」


「「地震?」」って半数が首を捻り、半数は顔色を悪くする。


「大地が大きく揺れて、家具は倒れる家も壊れる、大地はひび割れるってやつだよ。知らない?」


 半数の分からなそうな者に、トマスが分かり易く説明する。

 トマスったら、ずいぶんタラト大陸語が上手くなった。さすが地頭いいわぁ。


「もしかして、大噴火の時みたいな感じですか?」


「荷馬車協会の協会長、家が倒壊するレベルで揺れますが、噴火と違い、僅か1分足らずで町が瓦礫と化します」


 今一つピンときてない感じの協会長や他のメンバーに、私はきっぱりと厳しい現実を突きつけておく。

 内陸地震だと思うから、津波の心配はないからマシかな?

 ざわざわと皆が落ち着かなくなるけど、当然経済は混乱するだろうし、交通が遮断する可能性だってあるって付け加えておく。


 ……ここのメンバーを脅しておけば、大変なことになりそうだって噂が大陸中に拡散するはず。


 荷馬車協会も商業連合も本部はマセール王国にある。

 馬車協会の本部はミレル帝国にあるから、各国の王よりここのメンバーの方が緊張度が高いだろう。


「あの~、王都は大丈夫でしょうか?」と、金物組合の組合長が質問する。


「う~ん、1回だけとは限らないし、絶対に安全だとは言えないかな・・・神様は国王や国がちゃんと民を救わないと、天罰を下すってことだから。

 正直ね、私はマセール王国の国王にも、ミレル帝国の国王にも期待してないんだよね。だから心配。懸命に生きている民が凄く心配」


 そう言えば金物組合もマセール王国だった。

 私が凄く心配だって言ったから、皆も自国の国王や役人を思い出し不安顔になっていく。


「とりあえず、煉瓦の崩れやすい建物は補強しておいた方がいいよ」


 楽観視しないように、トマスがダメ押しでアドバイスする。

 ここに居る者は全員、この大陸の経済を回しているメインメンバーだ。

 私とトマスが本気で心配してると分かったのか、一気に顔色が悪くなる。


「ああ、大事なことを言い忘れていたわ。

 大地震が起こった時、教会の救済活動を積極的に支援してくれた組織には、その貢献度に応じて収納ボックスを、破格の半額で提供するつもりよ。

 救援物資を事前に用意してくれたら、ホワイティ商会が購入して保管することも可能だから、頑張って欲しいわ」


 ……顔色も悪く沈んでいた皆の表情が、一瞬で明るくなり瞳はギラギラと輝き始める。



 つい最近ホワイティ商会は、収納ボックス(マジックバッグ)を秋頃から販売すると宣伝開始していた。

 商売人であれば、夢のようなモノであり絶対に欲しいはずだ。

 普段使いのスーツケース並みの収納量のモノから、荷馬車程度の大きさのモノまで取り揃えての販売だけど、とっても希少だからお値段も高い。


 うちの収納部門の商会員が、凄く頑張って汎用化に成功したんだよね。

 原初能力空間持ちじゃなくても起動できたのは、ダイヤモンド原石のおかげ。

 トマスのアドバイスもあったんだけど、試した石や宝石の中で、ダイヤモンドが一番効率が良かった。

 直ぐにインカーヤ島のダイヤ鉱山を買ったよ。私と父様の連名で。


 あの叔父がオリエンテ商会の商会長になって、予想通り売り上げは激減した。

 笑っちゃうけどその責任が、私と父様にあるって文句を言いだし、父様が私関連で購入した土地は必要ないから、土地代を払えと要求してきた。

 もちろん、喜んで土地の名義変更をして土地代を払ったよ。

 

 あの叔父とその一派の皆さんは、ダイヤモンドと水晶の区別がつかないから超ラッキーだったよ。

 しかも、教会から寄付名目で買ったタラト火山の土地も、買値で手に入った。

 ブラックガイがタラト火山で採掘されるって、気付いてないってことに驚いた。




 会談終了後、私は教会の主要メンバー・医学学校・高等大学・原初能力研究所の学長や副学長・副所長、各学校の学生会のリーダーを緊急招集した。

 議題は勿論、来年に起こる大地震に対する対策と、救援隊結成についてである。


 会議の冒頭、口外厳禁と脅して皆に自分が【マーヤ・リー(予言者)】であると告げた。

 教会関係者以外は知らなかった者が殆どだったから、凄く驚いて慌てて跪こうとしたけど必要ないと止めた。


「いや私、皆さんに今のところタラータリィだって言ってましたよね?

 まあ、常識で考えたら【聖】能力を2つも持っているなんて、信じられないことかもしれません。

 でも、予言者である私が、前回の厳冬の啓示を受けたのは夏だったんです。

 だからこそ私は学都に来て、新しい燃料を考案し人々を助けようとしました」

  

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

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