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深遠の先へ ~20XX年の終わりと始まり。その娘、傍若無人なり~  作者: 杵築しゅん
三聖人

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63 マーヤ教会の力

 6月、トマスはなんとかタラト大陸語で基本会話ができるようになった。

 トマスの原初能力は【創造】と【風】と【聖】で、タラータリィだった。

 しかし、日本のアニメで異世界転生・転移ものをみていた彼は、青い瞳なら【水】だって使えるんじゃないかと言って、毎日コップに水を出す訓練をしていた。


 いや、そういう原理じゃないんだけどと、天聖ソワレ様もセイント・ロードスも否定していたものの、何故かコップに水が・・・使えてしまった能力を使えないとは言えなくなった。

【聖・統率】の最上位者であるセイント・ロードスは、自分の能力鑑定に自信を失い落ち込んでしまった。


 でも、【水】が安定して出せるようになったら、トマスのラピスラズリの瞳には新しく水色の部分が現れ、再び鑑定したらちゃんと【水】が鑑定できた。


 ……う~ん、現代地球人の思い込みっていうか想像力って凄いよね。 

 ……私の空間収納だって、始めの頃は理解できない能力だと言われていたし。

 ……私も何かチャレンジするかなぁ・・・いや、テレポートの距離を伸ばそう。


 結局私もトマスも、教会設立以来2人目と3人目の【アルバータ】であると認定された。

 天聖ソワレ様は、三聖人が揃うのは888年ぶりのことであり、太陽神様は神のお力を広く世界中に示すことをお望みであると、全教会関係者に訓示した。


 5月初旬には大陸中に【新聖人現る。予言者・先導者・賢人の三聖人が天から使わされた。三聖人は4つの原初能力を持つアルバータである】とババーンって発表された。

 

 ……もちろん目的は寄付よ。マーヤ教は私腹を肥やすような宗教じゃないから、知識が欲しけりゃ寄付くださいって感じ。

 



 奇跡の能力と言われた【アルバータ】持ちの聖人様が現れ、教会関係者は歓喜し一気に活気づいたんだよね。民の関心が教会に向くもんね。

 この機会に教会は、有益な情報をちょこちょこと出すことにした。

 そんなちょい出しされた5月末の情報の中で、民はある事実を知ってショックを受けた。

 

 その情報は、教会に貼り出された【マーヤ・リー(予言者)様について】という、聖人の人柄を紹介する文章の中に書かれていた。

【悲しみ深きマーヤ・リー様】という一節を読んだ民は、マーヤ・リー様の御気持ちに同調し心を痛めた。


【 4年前に降臨されていた【マーヤ・リー(予言者)】様は、2年前の秋に神様から予言を受けられ、この冬は極寒になるから民に知らせ備えよと、各国の王にお知らせになりました。

 それなのに、多くの王は民には知らせず、貴族にだけ知らせたことにより、多くの民が凍死してしまった。


 その事実をお知りになったマーヤ・リー様は、深い悲しみと怒りの感情に涙され、失望のあまり以後の予言を拒まれました。

 しかしこの度、王ではなく民に直接知らせれば良いと心を開かれ、再び民のために予言を下す決心をされました。】


 家族や友人を亡くした民は、この一節を読んで当然怒った。

 特に怒りの感情が大きかったのは凍死者の多かった、シュメル連合国とギョデク共和国の民たちだ。

 自分たちは国王や貴族に無視され、王は尊い聖人様の教えに従わず、聖人様に悲しみの涙を流させたのだと。


 ……別に暴動を起こさせようとか考えてないよ。

 ……民意なんて興味のなかった王族や高位貴族や役人に、民意は無視できないと意識させるために書いた文章であり作戦だよ。




 6月に入って直ぐ、全ての教会は【マーヤ・リー(予言者)】様の新しい予言を民に伝えた。

 うん、久し振りに本気で占ってみたよ。


【 これから2年以内に、神を敬うことを知らぬ王や王族が統治する国に、大地を震わす災いが起こる。

 民を救済し正しく導くならば、神は怒りを抑えるだろう。だが、民を救わない王族や貴族には天罰が下る。

 真のリーダーたちよ今こそ立ち上がれ。神は勇気ある者の未来を照らすだろう。】


 この予言は、各国の教会から民に知らされたが、国王には知らされなかった。

 マーヤ教の信者であれば、教会を訪れるのが当然であり、神に祈りに来れば得られる予言なのだからと、天聖ソワレ様は各国の王への通達を止められた。

 知らせたところで民に伝える気もない王に、伝えるだけ無駄だからと辛辣に言い放ったとか。


 最近天聖ソワレ様は、同郷の仲間が増えて超強気だ。

 セイントやセントは、どちらかと言うと平穏や安定を望む傾向が強いから、改革するのも一苦労だったみたい。

 でも、中身おばさんだけど資金力のある私と、若くて先進的な思考のトマスという改革推進派の部下を得て、気持ちが若返ったわってガンガン政策を出していく。




 6月18日、今日は聖人認定式及び、各国の代表者や各団体の責任者を招いた三聖人のお披露目だ。

 いや、三聖人って2人しか居ないけど? 私って2回名前を呼ばれる感じ?

 私には新しく、予言者としての聖人名が授けられるだろうってセイント・ロードスが言うけど、それでいいんだろうか?


 今回天聖ソワレ様は、各国の代表者と謁見される予定だけど、【マーヤ・リーデ(先導者)】と【マーヤ・ルーダ(賢者)】は、各団体の責任者と謁見する予定だ。

マーヤ・リー(予言者)】は、そもそも神聖な存在で、下々の者の影響を受けるべきではないから、謁見なんてしないらしい。


 過去にマーヤ・リーは、未来を知りたいと望む王子に誘拐され、予言を強要されたうえに殺されそうになったことがある。

 そのため、マーヤ・リーに予言を訊きたいと望む場合は、マーヤ・リーが望むもの(命を含む)を差し出さねばならないと決められた。


 各国の王の中で、私が予言者であると知っているのはシュメル連合国だけだ。

 それでも先に、同じ聖人であるマーヤ・リーデ(先導者)に任命され、多くの発明品を世に出しているから、予言者は間違いだったと考えている可能性が高いだろう。


 ……ああ気が重い。謁見はしなくても互いに姿は見える。

 ……シュメル連合国の王族とは、視線も合わせたくない。


 ……マセール王国は、国王だけでいいから私に謁見させて欲しいと懇願しているらしい。見返りに、貴族学園に平民も入学できるようにするらしい。

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

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