表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
深遠の先へ ~20XX年の終わりと始まり。その娘、傍若無人なり~  作者: 杵築しゅん
産業革命

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/110

44 商会の拡大

 7月、無事に高等大学の卒業試験に合格し、最年少で卒業した。

 卒業と同時に、高等大学の名誉教授なるものを押し付けら……ゴホン、任命されてしまった。忙しいんだけど?


 8月1日、うちの商会の採用試験を実施した。

 例年なら高等大学の卒業生は、自国の宮廷の役人や教師になり、研究所の卒業生は、自国の原初能力部署に就職する。

 だが今年は、多くの卒業生がホワイティ商会の採用試験を受けた。


 ……新しいことに挑戦したいと望む者が半数、高給に釣られた者が半数だ。


 研究所では、大量辞職した教授や部長の席を半分埋める必要があり、有能な部長を5人教授に昇格し、卒業せずに残った主任研究員の内5人を部長に任名した。

 また、主任研究員の試験を受け合格した6人を2年枠で、4人を1年枠で採用し毎月研究費を支給する。


 ……ハーッ、次から次へと仕事が湧いてくる。


 8月15日、研究所の卒業式が行われた。

 まだ学びたいと卒業したがらない研究員に泣きつかれたけど、お願いだから卒業して。うるうるした瞳で見てもダメ。

 21日は入学試験だったけど、私は一切関わっていない。




 ホワイティ商会は、新しく【建設部門】と【燃料部門】と【収納部門】を設立することになったので大忙しだ。

 その手続きやら資材置き場やら事務所の確保なんかは、首都シュメルから一緒にやって来たアレン副商会長に丸投げした。


 忙し過ぎて過労死すると訴えられたので、事務職員として10人、営業として5人を高等大学の卒業生から採用し、ホワイティ商会本店は大所帯になった。

 当面の人手不足を補う裏技で、卒業式の翌日から10日間事務仕事を手伝えば、特別手当として1日8,000トール支払うと言ったら、全員が居残りしてくれた。


 【建設部門】では、ホワイティ商会への就職を目指し、孤児院と工場の建設に挑戦した4チーム16人を全員採用した。

 半分の8人は卒業年度ではなかったけど、優秀な研究員には早期卒業を認めると公言していたので、教授会議でしっかり裁定し卒業を認めた。

 

 ……フフ、優秀な人材は逃がさないわよ。孤児院も工場も建設途中だしね。


 【創造部門】にシュバル君他2名、【収納部門】にリドム君他2名、【燃料部門】には主任研究員だった3人を採用した。

 極貧だった炎持ちのレイラさんは、【秘書部門】で採用した。

 忙し過ぎる私のスケジュール管理をしてねと微笑んだら、「マ、マシロ様の秘書?」と言って2分固まり、頬を思いっ切りつねって大号泣を始めた。


 彼女は私の信奉者だけど、彼女が秘書なら襲撃者に遭遇した時、炎の攻撃が使えるから生存率が上がりますよと勧めたのは、セイント・ロードスだ。

 人に対し原初能力使用で攻撃が許されているのは、大陸法で決められた教会騎士、各国の王または皇太子の騎士だけである。


 ……能力持ちの多い国に、簡単に征服されちゃ敵わないもんね。


 ……聖人の秘書になるレイラは、教会騎士扱いになるらしい。


 首都シュメルの支店では、事務職員3人と営業2人をシュメル上位学校から採用している。

 どんどん事業拡大していくホワイティ商会は、まだまだ人材不足だ。

 でも、私の身の安全が優先されるので、採用条件には能力だけでなく背後関係の調査が加わる。

 特に、マセール王国出身者の採用には、教会の調査が必須だ。




 さあ、秋季休暇だ。

 8月末、秘書のレイラ24歳(マセール王国・男爵家出身)と、空間持ちでマジックバッグの作成に成功したリドム27歳(ミレル帝国・準貴族家出身)を連れ、いつものメンバーと一緒にシュメル連合国に戻る。

 2人とも極貧下級貴族家の出身だから、卒業後すぐに就職してくれた。


 実家に3日間滞在し、シュメル支店での仕事をこなす。

 私は今現在、シュメル連合国の貴族に対し、固形燃料の販売を禁じている。

 もしも私の許可なく王宮に納品したら、販売権を剝奪するとオリエンテ商会と商業連合に言い渡してある。


 それでも様々な手段を使って、固形燃料を手に入れていることは想像できる。

 貴族以外の者が購入した固形燃料を転売させたり、王宮に出入りしている業者に命じて手に入れればいいのだ。

 10月から倍の値段で王宮や貴族にも販売を開始するけど、大陸的に絶対数が足りてないから、余分な数の販売なんかしない。



 国王の親友であった父様や、王妃と従妹である母様が、辛い立場にいることは分かっているけど、聖人としてこの国の王族を許せない。

 私はこの春、教会を通じて生活困窮家族にブラックカイロを配布した。

 何故かそのブラックカイロが、3日後には王族の手に5個渡っていたと、セイント・ルビネスから報告を受けている。


 強引に取り上げたのか、お金に困った配布者が売ったのかは分からないけど、生活困窮者に与えたモノを手に入れ、平気で使用できる性根が理解できない。




「私の思考が時代に合ってないんだろうな。ごめんね父様、母様」


 私の13歳の誕生日を祝う会の後、家族3人でお茶を飲んでいる時に王族の話になり、私は養父母に謝った。


「いや、マシロは聖人だ。国王より尊いマシロが気にすることじゃない。

 私たちは、この国を捨てオリエンテ商会を他国に移しても構わないんだ。

 いや、いっそのことオリエンテ商会を弟に任せればいい」


 驚いたことに、父様はオリエンテ商会の商会長の座を降りてもいいと言い出した。しかも全然辛そうじゃない。

 母様も同じ意見だって言いながら、私を優しく抱きしめてくれる。


「だってマシロちゃん、今ではオリエンテ商会よりホワイティ商会の方が格上なのよ。マシロちゃんと一緒の方が楽しそうだし、母様も聖地で暮らしたいわ」


 てなことを言われましたが、もう暫く待っていてねと母様に伝え、父様には燃料部門だけ持って独立する方法もあるわと伝えた。


 ……さあ、タラト火山に行くわよ! 掘って掘って掘りまくらなきゃ!

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ