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深遠の先へ ~20XX年の終わりと始まり。その娘、傍若無人なり~  作者: 杵築しゅん
大寒波襲来

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34 イベント

 ブラックガイがもう無い。

 せっかく作ったブラック固形燃料も、数個を残して全て手元から離れた。

 各学校の調理場から、このまま薪を使っていたら、あと10日で薪が無くなってしまうと泣きつかれ、大鍋調理が10時間使用できるブラック固形燃料(大)を、売ってしまった・・・


 でもまあ、いいこともあった。

 実際に調理場で使用した感想とか問題点も聞けたから、正式に生産を始める時の役に立ったし、コックさんたちと仲良くなれた。

 休暇中に食材を集めたら、地球の料理を再現して貰えるかもしれない。


 大喜びだったのが、灰の後始末が不要になったこと。

 コックさんを唸らせたのは、安定した火力が持続するので調理時間のムラがなくなり、火力調節が簡単で、強火も弱火も思いのままになったことだ。

 問題点としたら、鍋の種類によってはコンロの大きさが合わず、鍋が傾いてしまうことと、炒め物の場合はどうしても火力不足になってしまう点だ。


 ……大小様々な大きさの固形燃料を組み合わせたり、高さを変えることで対応は可能な気がするので、これからの課題だ。

 ……それと、卓上コンロ用の鍋を作るのもアリだな。




 学生や研究員たちと卓上コンロ作りに励んでいたら、あっという間に今日から4月だ。

 普通なら3月末から1か月間の春季休暇に入るところだけど、雪は解ける気配もなく物流は遮断されたままである。

 雪籠りにも疲れ果て、学都の人々から笑顔が消えてしまった。


 ……うん、今こそイベントが必要だわ!


「よーし、3日の休日にルービックキ〇ーブ大会をやるわよ! 

 大会運営委員・広報委員・会場設営委員・大会申し込み受付係り・警備委員・・・あとは・・・そうそう、審査員も必要ね。

 でも今回は、バイト代は出ないわよ。これも大事な学びの一つだから」


【次世代能力研究室】の講義終了10分前に、私はそう宣言した。

「ウオォーッ」と歓声が起こり、自分がやりますと皆が手を上げる。

 あれ、バイト代なしでもいいの? ああ、お祭り騒ぎがしたいってことね。よしよし、頑張って盛り上げていこう!



 3月末の時点で、この研究室に所属している研究員は全体の9割に達している。もちろん、主席研究員や部長も多く在籍している。

 高等大学の3年生も、希望すれば聴講生として受講可能にした。


 ……大きかったのは、マシロ基金の設立ね。何の能力でもOKだし。

 ……これまで第三者が研究費を出してくれるなんて皆無だったから、主席研究員なんて目の色を変えてレポートを出してくる。


 その結果、一般の研究室では狭すぎて、講義は大講堂で行っている。

 いやもう、遣りたい放題だよ。何か?

 まさかここまで研究所の講義に関係するなんて思ってなかったから、担当講義名を訊かれて、【原初能力・次世代概論】って適当に答えたら定着してしまった。


 私は科学者でもないし、専門知識がある訳でもない。

 だから概論という原初能力領域全体のあらましを要約した学問……的な感じで誤魔化すしかなかった。

 講義内容は、ほぼ、空想と妄想の世界よ。はい、他に何かありましたっけ?


 【土】なら掘るだけじゃなく同時に固められたら凄いよね……とか、【動力】なら物体を浮かせるだけじゃ勿体ないから、【創造】持ちとタッグを組んで、組み立て方式の最新建築技術を生み出すのもありなんじゃない?……てな感じで、なんとか毎回乗り切っている私。


 ……ついうっかり、孤児院建設にこんな技術があったらいいなって欲望が、口から溢れる時もあるけど、挑戦するなら研究費を出すからいいんだよ。


 ……しかも、地球時代の知識や技術を、具体的にポロリと溢せば、あとは皆が考えてくれる。うんうん、おばさんは頑張るキミたちを応援するよ。


 いや~、研究者って、最新とか最先端とか、他に類を見ないとかって単語が好きみたいで、私の空想ばなしをキラキラした瞳で真剣に聞いてくれるのよ。

 ちょっと気が引けるけど、私の妄想ばなしを可能にする研究員も出てきて、そりゃもう大盛り上がり。


 科学の進歩じゃなくて、原初能力の進歩だけど、長い間マンネリ化し停滞していた研究が、一歩どころか二歩も三歩も進んじゃった。

 しかも、各能力を組み合わせるって概念を植え付け、不要な垣根を取っ払ったことで、より一層不可能が可能になっていく。

 私は成果主義だから、結果オーライ! 


 ……おばさんには、キラキラした瞳が眩しくて心が痛いけど、外見は美少女だから許してね。 




 さあ、やって来ました【ホワイティ商会主催 ルービックキ〇ーブ大会】!

 天気は珍しく快晴。ただし極寒。でも、凄い熱気で寒くない。

 会場は教会のご厚意で大聖堂を使わせてもらえた。

 出場者は子供から大人まで合わせて486人で、受付は大混雑だった。

 午前9時から予選を行い、勝ち残った者は本線へと進む。


 いやもう今回は大盤振る舞いよ。

 参加者のエントリーナンバーで【お楽しみ抽選会】までやっちゃうから、みんな最後まで観戦してくれる。

 優勝者には新型ルービックキ〇ーブと賞金1万トール。準優勝者には新型ルービックキ〇ーブと賞金5千トール。3位は小型ルービックキ〇ーブと賞金3千トールが用意されている。


【お楽しみ抽選会】の景品は10個。アローエクリームが5個と芳香剤3個。

 特別賞がホワイティブランドの、恋愛成就ブレスレット1個で、ラッキー賞がミニ天体望遠鏡となっている。

 ミニ天体望遠鏡は、創造部門の3人がノリで作った物だけど、一番近い星はちゃんと観える。


 優勝したのは高等大学の2年生で、準優勝は12歳の入院患者。3位は医学学校の4年生だった。

 原初能力研究所の研究員は、研究が楽しいのとバイトが忙しくて練習不足だったらしい。なるほど・・・


 ……みんなが笑顔で楽しんでくれて、本当に良かった良かった。

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

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