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深遠の先へ ~20XX年の終わりと始まり。その娘、傍若無人なり~  作者: 杵築しゅん
聖地からの使い

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22 お宝発見(1)

 10歳は商団登録と体制作りに集中したかったけど、何をするにもお金が掛かる。

 そこで芳香剤と天体望遠鏡の開発に乗り出した。


 芳香剤は、まあ、トイレが水洗じゃないからあれで、やむにやまれずだ。

 日本だって最初のうちは防臭剤じゃなく、金木犀とかの香りで誤魔化していたのを思い出したんだよね。その方が華やかな感じがして売りやすいし。

 なんとか3ヶ月で商品化に漕ぎ着けたのも、【商業連合】の職員さんがモニター協力をしてくれたお陰だ。ありがとうマーリエさん。


 ……売り出しが好調だったのは、母様が描いてくれたポスター効果だよん。


 天体望遠鏡は、お爺ちゃん先生のリクエストだった。

 聖地マーヤは高地で、星がとても綺麗に見えるけれど、天体ファンの教授や学生は、どうしても一番近い星をはっきりと観たかったらしい。

 精度のいい双眼鏡でも……って考えたけど、折角だから学術的貢献をって考え開発を開始した。


 頑張った甲斐あって、11歳の誕生日目前に天体望遠鏡は完成した。

 いや、まあ、地球で言うところのソレと比べると、子供のおもちゃ程度の性能だけど気にしない。目標物さえ見えりゃーいいんだよ。

 完成した1号機は、お爺ちゃん先生が嬉しそうに聖マーヤ高等大学へ寄贈しに行った。


 天体望遠鏡はオリエンテ商会が、各国の王宮や上位学校や貴族学園に高額で販売してくれた。まあ、うちが支払う販売手数料を考えたら当然だけど。

 開発に尽力してくれたのは、うちの宝飾部門と、新しく作った創造部門だ。

 創造部門で雇った3人は、お爺ちゃん先生が聖マーヤ高等大学から連れてきた研究オタクの皆さんだ。


 毎日が楽しくて、寝ている時間がもったいないとか言い出したから、午後6時以降の残業を禁止した。

 うちはブラック企業じゃないんだよ! はあ? 後生だから部品を持って帰りたい? ダメに決まってるやろう!


 ……で、天体望遠鏡が完成して抜け殻になっていた3人に、私はルービックキ〇ーブを作るよう指示を出した。

 ……これで暫く、何か作らせてと縋るような目で見られなくて済む。ふーっ。 




 11歳もあっという間に7か月が過ぎた。

 今日は【商業連合】にお金を貰いに行く。思わずスキップしちゃうよ。

 何のお金かというと、ルービックキ〇ーブの売り上げと特許料だ。

 金額によっては、従業員のみんなにボーナスを出す予定。

 この世界にはボーナスというものはないけど、うちは成果重視だもん。


 ……特許料を貰うのは心が痛むけど、地球の知識を広める手数料だと考えよう。私は基本的にプラス思考だ。


 ルービックキ〇ーブの製造と販売は、ぜひ【商業連合】傘下の【製造組合】に任せて欲しいと、支店長が本部から偉い人を連れてきて懇願した。

 大人も子供も遊べるルービックキ○ーブは、絶対に大陸全土に広めるべきだからと、グイグイこられて了承してしまった。

 特許料は法律通り売値の1割が私に入り、製造と販売は丸投げしたから、純利益の2割がうちの商団の取り分だ。


 ……純利益の2割は少ないけど、今回は商品より恩を売る。流行モノだし。


 ……まあオリエンテ商会だけが販売窓口っていうのもなぁ……って簡単に考えちゃったけど、父様は3日も悔し涙にくれたらしい。ごめんちゃい。



 大ヒットしているとは聞いていたけど、まだ販売開始から半年だからボーナス代が出たらいいなくらいに思っていた私は、収支報告書を3度見した。


 ……やばい、芳香剤の売り上げだけで、父様から課された独立条件の3,000万トールを越えているのに・・・


 ……特許料を入れると、一桁違う1億トールをクリアしてる。ボーナス確定!


「商会への昇格条件をクリアされていますが、商会長に就任できるのは12歳以上の者という決まりがありますので、9月のお誕生日がきたら手続きいたしましょう」


 いい笑顔で担当者のマーリエさんが言えば、支店長と副支店長も嬉しそうにうんうんと頷く。

 聞くところによると、【商業連合本部】は、シュメル支店の職員増員と建物の増設を決定したらしい。



「お金はプールされますか? 出資希望者に出資されてもいいですし、他に予定があればお手伝いしますよ」


 支店長が揉み手で訊ねるので、私は占いに出ていたことを実行するため行動を開始する。


「はい、タラト火山の麓が競売にかかると聞きました。今度は土地でも買ってみようかと」


「ええぇーっ! あの、あの未開の地を買われるのですか?」


 支店長だけではなく、マーリエさんも副支店長も、私に同行してきた副団長のアレンさんまで驚いて目を見開いた。


 タラト火山の標高は4,500メートル。この大陸の最北端に位置しており、何処の国にも属していない空白地にある。

 その姿を描いた絵を見ると、まるで富士山のような姿で美しかった。

 山麓までの距離を考えると、富士山の倍の規模の山だと思って間違いない。


 隣接しているのは、シュメル連合国とギョテク貴族共和国だけど、タラト火山の行く手を塞ぐように、4千メートル級の険しいタラト大山脈が横たわっている。

 陸から行くのも難しく、海側は絶壁で、船をつける場所も限られる。

 木材以外に目ぼしい資源もなく冬は極寒だ。だからこそ何処の国も所有権を主張しない。タラト火山は危険な活火山でもある。


 所有権を持っているのは、聖マーヤ教会である。

 教会がこの地を販売するということは、高確率で大陸に災厄が発生することを意味している。

 教会は多くの人を救うため資金調達を開始したのだと、各国の王族は戦々恐々としている。


 ……でもねぇ、この火山に燃料不足を解消できる鍵が有るはずなんだよね。

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

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