21 商団登録
新章スタートしました。
さーて、気分を切り替えて商売商売!
ここタラト大陸で商売をする時には、必ず【商業連合】に登録しなければならない。登録しないと潜りの商人になってしまう。
ラノベだと商業ギルドってとこだけど、この星にギルドは無かった。
【商業連合】は、商売人の権利を守り、様々な情報を提供し、取引額に応じた税を徴収し国に納税したり、銀行に近い仕事もしている。
新商品の特許申請も受け付け、投資者の紹介もしてくれるという。
但し、全ての取引は規定の書類を使用し、半年に一度収支報告が義務付けられている。
商工会議所と税務署と銀行と特許庁の仕事を、ざっくり賄っている感じだ。
……きっとこの組織を作ったのは宇宙人だな。1600年代の地球でさえ、ここまでの組織は無かったはずだから。
「あの~、商団でのご登録ですが、代表者は本当にこのお嬢さんですか?」
受付のお姉さんは困った顔をして立ち上がり、受付窓口の高さでは頭部しか見えない私をのぞき込んで質問する。
「何の問題もありません。こちら、オリエンテ商会のマシロ様です」
副商団長のアレンさんがそう言うと、受付の後ろに座っていた上司らしき男性2人が猛ダッシュでやって来て、受付のお姉さんを跳ね飛ばす勢いでどかし「いらっしゃいませ」「大変失礼しました」と、超低姿勢で挨拶した。
……あのー、お姉さん大丈夫?
「お嬢さまが商団を立ち上げられるとのお噂は聞いております。ささ、奥の応接室へどうぞ。シュメル支店の支店長ワイズです」
「副支店長のヤローナです。お待ちしていました」
すごい愛想笑いと低姿勢を見て、なんだか日本人的だなって思っちゃった。
支店長のワイズさんは62歳で、すっかり薄くなった茶髪を整えながら、こげ茶の瞳でにこにこと話し掛けてくる。
副支店長のヤローナさんは55歳で、アローエクリームの大ファンらしい。
……この分かり易い態度が、王族なんかと違って落ち着くわー。
あれやこれやの書類記入に悪戦苦闘し、最後に自分の【原初能力】記入欄に【創造】と【空間】と記入したら、支店長も副支店長も絶句していた。
新しい商品を開発したり、特許申請をする可能性がある店主は、必ず記入する必要があるらしい。
もちろん秘密厳守になっており、この書類は閲覧制限がかかるようだ。
これからの予定を詰めようとしたとことで、女性職員さんがお茶を運んできた。
「はじめまして商団長のマシロ様。これからホワイティ商団の担当をさせていただくマーリエと申します。
私は主に、新商品の命名から販売までをお手伝いしており、特許申請の担当もしています。
マシロ様が手掛けられた特殊ルーペ・ベルトコンベヤー・防塵マスクは、全て私が担当しオリエンテ商会で特許登録しております。
アローエクリームは、オリエンテ商会が販売元ですが、特許はマシロ様の名前で登録してあります。私も愛用しておりますが、素晴らしい商品です。
今後開発される商品は、ホワイティ商団又は、マシロ様ご本人名で登録することになります。
ホワイティ商団の担当になれて大変光栄です。どうぞよろしくお願いします」
うちの担当になったマーリエさんは34歳で、難しい特許申請取り扱い者試験に合格した才女だった。
笑うとえくぼができて、25歳くらいにしか見えないけど、シュメル支店の中では珍しく、聖マーヤ高等大学を卒業しているらしい。
明るくて、感じのいい女性が担当者でよかった。
ホワイティ商団の事務所は、オリエンテ商会の向かいにある紙問屋【ヨウシーヤ商店】の2階に決まった。ん、用紙屋?
名前を聞いて思わず笑ったけど、この星でヨウシーヤは印刷紙の意味らしい。
紙はまだまだ高級品だけど、既に印刷技術があるので儲かってるみたい。
ちなみに紙類の保管倉庫は別の場所に在るので、火災の心配も少ない。
ホワイティ商団の主な収入源は、オリエンテ商会が販売しているアローエクリームの売り上げだけど、工場の設備投資代金や従業員給与をオリエンテ商会と折半しているので、今のところ商団の取り分は2割くらいだ。
でも、特許権が私個人にあるので、1割はずっと私の財布に入ってくる。
販売開始から2年間は3割が私に入ってきたので、商団立ち上げの資金が賄えた。もちろん、ホワイティブランドの宝石販売利益の2割も貰っていた。
ホワイティブランドの宝石は現在、うちがオリエンテ商会から依頼を受け、宝石のデザインや加工をしている状態だ。
もっと資金が増えたら、宝石を購入し加工から販売まで手掛けたい。
父様はオリエンテ商会の本支店長会議で宣言した通り、一切私を甘やかすことはないし、オリエンテ商会は出資者にもなっていない。
1トールたりとも、オリエンテ商会から不明瞭なお金が流れることがないよう、監査役に叔父と叔母派閥の親族を指名した。
同時に、私に害なす可能性のある親族を追い込む作戦が進行している。ムフフ。
当座の資金は、出資者から集めた2,000万トールで回すしかない。
お爺ちゃん先生が300万、母様が500万、そして、大きな声では言えないけど、聖マーヤ教会本部が1,200万トール出してくれた。
そのお礼と言ってはなんだけど、聖マーヤ教会には、これから3年間のタラト大陸の運勢を占って渡しておいた。
感動の涙を流されたけど、当たっているかどうかは分からない。
気になるところでは、2年後の冬は厳冬で、その影響か3年後は燃料不足になり、冬に凍死者がたくさん出るというものがあった。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
第3章スタートしました。これからも、応援よろしくお願いいたします。
第3章から隔日更新になります。




