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深遠の先へ ~20XX年の終わりと始まり。その娘、傍若無人なり~  作者: 杵築しゅん
時代をつくる者たち

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109 改革と躍進(2)

 さあ、文学の夜明けといこうじゃないの。

 これこそが私の夢。これこそが生まれ変わった意義・・・だった気がする。

 うんうん、書きたい作品を書き、それが売れる。なんて幸せなのかしら。

 産業革命は遣りたい訳じゃなかったけど、何事にもお金が必要だってことは経験上分かっているから、商売から入ったけど結果オーライ。


 これからは、物質面だけじゃない精神面にも良い影響を与えられたら最高。

 スポンサーシップの次は意識改革とか、身分差の中でも逞しく楽しく生きていく人たちを応援したい。

 そのための空想と妄想。その為の小説。

 辛いことがあっても、夢と希望を持つことを諦めて欲しくないから。



 ということで、読書感想文と小説の入賞者が決定し、先日各国の教会でババーンと発表した。

 ホワイティ(株)の社員が、受賞者の所属する学校へ行き、全学生の前で表彰状と副賞を手渡す表彰式を行った。


 読書感想文で最も入賞者が多かったのは、作家ブルー・アースが講演会を行ったマセール学園の学生で、2番目に多かったのはヨンド共和国の学生だった。

 高額な本を、個人で買える経済力のある国の方が応募者は多かった。

 貧乏な国の学校には、元々書物が少ないうえに読書する習慣がない。


 小説の方は、最優秀賞を受賞したのは総合大学教育学部の3年生男子だった。

 彼は、旧ミレル帝国の子爵家の次男で、新しくシュタイン大公領になってからも貴族位を維持できた数少ない貴族家の子息だ。

 学内では目立つ方ではないけど、聖マーヤ救援隊に所属していた記憶がある。


 彼の作品は、放漫で領民を虐げる父親に反発し、血の滲むような努力の末に父親を失脚させ領主となり、民と共に自領を再生させる伯爵家3男の奮闘の物語だった。

 思わず読みながら泣いちゃったよ。まだ粗削りな部分は多いけどストーリーに勢いがあり、読者は主人公に共感し惹き込まれるだろう。


 優秀賞は2人で、1人は総合大学の学生で、実家が商団を営んでいるマセール王国出身の経済学部2年の女子だった。

 彼女の作品は、男社会の中で奮闘する女性商人の話で、商会主である親の援助を貰える兄たちを羨ましく思いながらも奮闘し、友人女性と逞しく成り上がり商会を設立するサクセスストーリーだった。


 ……う~ん、こういうのを待ってたんだよね。いいよいいよ。


 そしてもう1人の優秀賞受賞者は、プクマ王国の基本学校で教師をしてる38歳の男性だった。

 彼の作品は、田舎で暮らす10歳の少年2人が、様々な体験をしながら冒険の旅に出る話で、これはもう児童書として直ぐにでも出版したいと思わせる内容だった。


 近くの町に買い物に行くという身近な経験から始まり、10日間だけのアルバイトをして、2人は初めて海を見に行く。港で大きな商船を見て異国へと夢を広げる。

 その時2人は、いつか船に乗って世界中を旅しようと誓いを立てる。

 16歳まで様々な仕事を経験し、懸命に貯めたお金で憧れだった船の旅に出掛けるところで物語は終わっている。

 続きがどうなるのか知りたいと思わせる部分も、非常に良かった。


 ……うんうん、これはシリーズ化できそうだ。

 ……作者さんには副賞としてマセール王国とヨンド共和国への旅行をプレゼントしよう。



 で、受賞した大学生の2人は、学生しながらプロ作家としてデビューし、教師をしていたダンバルさんは8月で教師を辞め、家族と一緒に聖地マーヤに越してくることになった。

 ダンバルさんの【ダンとバルの冒険記】という本は直ぐに出版され、ホワイティ(株)はスポンサーシップとして、各国の基本学校と中位学校に本を寄贈した。



 来年からは、テーマ別の作品公募を開始すると、本を販売しているホワイティ(株)の各支店や父様のミヤナカ(株)で発表した。

 小説の作家さんの他にも、挿絵を描いてくれるイラストレーターの募集をしようとしたら、学生会から待ったが掛った。

 なんでも本好きで絵心のある学生から、バイトで挿絵を描かせて欲しいと相談されていたらしい。


 ……作品に合った絵を描ければ学生でも構わないし、上手かったら専属雇用もオッケイだ。うん、ここは才能の宝庫だね。


 それ以外だと、優秀賞には選ばれなかったけど入選した社会人の3人に声を掛け、【三聖人物語】という伝記を執筆してもらっている。

 教会のイメージアップと聖人を知ってもらうことが目的だけど、教会に保存してある資料を読み解き、史実を元に物語を書くというのは簡単そうで難しい。

 プロの作家としてデビューできるならと、3人は張り切って担当聖人の伝記を書いている。


 ……この史実を元にした伝記を、演劇の脚本に使いたいという目論見もある。本は読めなくても舞台なら観てくれる者は多いだろう。


 ……産業革命はトマスにパスして、私は文学革命をすると教会で断言した。



 えっ? ホワイティ(株)の新製品や世界進出はどうするのかって?


 うちには優秀な社員がたくさんいるし、若者が中心だから新製品のアイデアもどんどん出る。

 私は代表者としてアドバイスをしたり、予算をつけるのが主な仕事だよ。

 今年中には全国に支店を出店させるけど、販売する商品は国によって違う。

 販売品の差別化は、貴族に対する牽制と戦略だから問題なし。




 秋季休暇中、私は17歳の誕生日を迎えた。

 会社の売り上げは予想以上に順調なので、各部門の責任者にはボーナスとしてヨンド共和国のリゾートホテル2泊3日の休暇をプレゼントした。

 社内結婚をしたカップルには、新しく父様がインカーヤ島に建てたホテルの宿泊券+お祝い金をプレゼントし、途中入社した社会人には引っ越し費用を払った。



 年末の寒い日の夕方、私はマシロ孤児院からの帰り道で、突然宇宙船に拉致られてしまった。

 商売も小説も順調だったせいか、マーヤ・リー(予言者)としての仕事を疎かにしてしまったようだ。

 う~ん、予知はある日突然、天から頭の中に降ってくる的に考えてたんだけど、どうやら違ったみたい。


 ……油断したわ。

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

いよいよ次話が最終話です。

どうぞ最後まで応援よろしくお願いします。

【三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~】という新作をアップしました。

読んで頂けると嬉しいです。

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